東京電力は25日までに、2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故に関連し、炉心溶融(メルトダウン)の事態をより早く公式に認めるべきだったとする声明を発表した。事故発生後、数日内に公表すべきだったとした。
東電は事故から約2カ月間、炉心溶融を認めていなかった。事故を受け、周辺住民16万人以上が避難を迫られ、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故以降、最悪の原発災害となっていた。
東電は声明で、炉心損傷が5%を超えた場合、メルトダウンを宣言すべきとの内部規定が無視されていたと指摘。津波襲来後の3日間で原子炉1基の炉心損傷は50%を上回っていたものの、数カ月後までこの事実を伏せていた。
日本国民への公表は同年5月まで遅れたが、政府に対しては関連法規に従い、事故発生後の数日間内に炉心溶融が進行していることを報告していた。
炉心溶融の宣言の是非に関する判断は事故発生時、東電や日本政府内で緊張感を強いられる、政治色が濃い問題ともなっていた。東電は12年の報告書で、原発閉鎖、日本社会の不安や反核機運の高まりを恐れ、福島原発の安全リスクを過小評価する姿勢を打ち出したと認めていた。
日本の旧原子力安全・保安院(NISA)の幹部は第一原発事故発生の翌日、記者会見で炉心溶融が発生している可能性に言及。この幹部はその後、報道担当業務から外されていた。