米大統領選で共和党からの指名獲得を目指している実業家のドナルド・トランプ氏は昨年6月の出馬表明以降、米国とメキシコとの国境に壁を建設することを提案している。トランプ氏が提案する壁を実際につくるとなるとどうなるのかを探った。
建設の専門家によれば、軽量コンクリートブロックで出来た壁が最も強固なものとなりそうだという。しかし、そうした壁を建設するためのプロセスは、それぞれのブロックを一つずつ国境に沿って積み上げるというもので、あまりにも多くの労働力を必要とするため現実的な選択肢ではないという。
他には、液状のセメントを南西部の国境に沿って流し込むというような方法もあるという。しかし、そうした高い気温のなかでセメントを固化させると、壁がもろくなる可能性があり、プロジェクトが文字通り「崩壊」する危険性が出てくる。
もし、軽量コンクリートブロックが難し過ぎ、セメントを流し込んで作る壁がもろすぎるとすれば、専門家によれば、うまくいく選択肢としては、あらかじめ生成したコンクリートのパネルを使うのが良さそうだ。
それぞれのパネルは、地面からの高さが20フィート(約6メートル)で、少なくとも5フィート(約1・5メートル)を地面に埋め込み、幅は10フィート(約3メートル)。これを約2000マイル(約3200キロ)の国境線に沿って補強用の鉄材とともに並べていく。
民間技術者の試算によれば、パネルは少なくとも3億3900万立方フィートのコンクリートが必要で、約226万トンの鉄も必要となる。
トランプ氏は壁の建設にかかる費用が80億ドル(約9000億円)になるのではないかと見てる。
高速道路のパネルの費用を基に計算すると、壁だけで約100億ドル(約1兆1000億円)の費用がかかりそうだ。この費用は、国境のさまざまな地形などは考慮していない。
トランプ氏は建設費については、米国ではなく、メキシコが負担するとしている。