米アップルが、同社製スマートフォン「アイフォーン」のロック解除をめぐり米連邦捜査局と繰り広げている法廷闘争に3日、IT大手各社が参戦し、政府によるロック解除の強制が許されれば危険な前例となると警告した。
グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ヤフーなど、アップルの主要競合企業が加盟する3つの協会、インターネット協会、i2連合と米コンピューター通信産業協会(CCIA)は、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者が使用していたiPhoneのロック解除命令に抵抗するアップルを支持する共同法廷助言書を発表。
CCIAは声明で、「仮に政府の主張が通れば、インターネットの生態系が弱体化し、ハッカーなどの悪意ある主体に対し、ネット利用者はさらに無防備になる」と述べている。3協会によると、助言書は同日中に米カリフォルニア州の連邦裁判所に提出される予定だ。
米世論を二分し、警察当局によるデジタル機器へのアクセス制限の是非をめぐる白熱した議論を巻き起こしているこの法廷闘争については、さらに多数の企業や団体が助言書を提出する見込みだ。
CCIAのエド・ブラック会長は、「さまざまな業種の企業やIT業界の間で、この事案が危険な前例を作る可能性に対する広範で深い懸念が広がっている」と指摘。「IT業界は政府が情報を欲しがっていることを理解し、われわれの安全を維持する政府の使命を尊重しているが、この件にかかわる、より広い意味でのセキュリティーと信頼の問題についても、裁判所が適切に考慮することを望む」と述べた。
問題の発端は、昨年12月にサンバーナーディーノで起き14人が死亡した銃乱射事件の容疑者の一人が使用していたiPhoneのセキュリティーロック解除を求めたFBIの要請を、アップルが拒否したことだった。アップルは、ロックを解除する唯一の方法は弱体化させたOS(基本ソフト)の導入であり、このOSが漏出してハッカーや外国政府に悪用される恐れがあると主張している。
CCIAには、アマゾン・ドットコム、パンドラ、サムスン電子などアップルの競合企業が加盟。インターネット協会には、ドロップボックス、マイクロソフト、ヤフー、フェイスブックが加盟している。グーグルは、上記2協会に加え、i2連合にも加盟している。
一方、これとは別にツイッターも、イーベイやリンクトイン、エアービーアンドビー、レディットなどIT企業16社と共同で、アップルを支持する法廷助言書を提出した。
さらにインテルも、アップルを支持する独自文書を裁判所に提出すると発表。またAT&T(AT&T)もアップル側に参戦し、ロック解除命令は警察当局の権限を越えており、議会で決められるべき問題だと主張した。