米国で中国人留学生向けの就職説明会、米中企業20社が参加
米国のヒューストンで25日、現地の中国人留学生団体が就職説明会を開いた。企業では石油大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ)や台湾系で世界的な電子製品受託生産大手の富士康(フォックスコン)など、米中の20社余りが参加。米国南部の中国人留学生ら、約400人が出席した。(写真は「CNSPHOTO」提供)
米国のヒューストンで25日、現地の中国人留学生団体が就職説明会を開いた。企業では石油大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ)や台湾系で世界的な電子製品受託生産大手の富士康(フォックスコン)など、米中の20社余りが参加。米国南部の中国人留学生ら、約400人が出席した。
ベクトル、企業PR展開で台北に支社開設
企業のプロモーションなどPR事業を手掛けるベクトル(東京都港区)は27日、台北市に支社を開設すると発表した。海外の拠点は7カ国・地域目となる。
ベクトルは、アジアでの事業展開を進めるため香港に中核子会社を設立しており、台湾拠点は香港法人の支社とする。同社は、台湾に進出している日本企業のPRをこれまで中国・上海市や香港などの拠点でカバーしていたが、顧客企業のニーズに合わせたサービスなどを本格的に展開するため、支社の開設を決めた。同社の広報担当者は「台湾におけるPRサービスの需要が十分あると判断した」と述べた。顧客企業から、台湾での知名度向上につなげるためのPRの相談がすでに寄せられているという。同担当者は「台湾の日系企業だけでなく、今後台湾に進出予定の企業のサポートも手掛ける予定」と語った。
ベクトルは、2011年に上海に進出。今年5月時点で北京、香港、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナムに拠点を構える。同社の14年2月期の連結売上高は前期比26.5%増の64億6,100万円、純利益は38.5%増の5億1,000万円だった。
台湾鉄道の台東新線、震度7の地震にも耐えられる設計
台湾鉄路の台東線が来月30日に電化される。台湾東部は地震活動の活発な場所として知られているが、安全面を考慮して新線は震度7の地震に耐えられる設計になっているという。(震度は台湾基準)
新線の関山−鹿野間には全長2635メートルにおよぶ高さ20メートルの高架区間がある。この地点は池上断層にも近く、地震の影響が心配されているが、鉄路改建工程局は規定に従い、全ての区間が耐震設計になっているという。
台東県池上では先日、震度5を観測する地震に見舞われたが、この高架区間やトンネルなどに被害などは見られず、電化開通予定日にも変更はない。
台湾東部では1951年の10〜12月、4回のマグニチュード7.0以上の地震を含む735回の有感地震、2302回の無感地震を観測し、85人が死亡、1200人以上が重軽傷を負う被害が発生している。
亜太電信と国碁電子の合併、帯域幅超過でNCCが審査
通信中堅の亜太電信が鴻海精密(HONHAI)の通信子会社、国碁電子(AMBIT MICROSYSTEMS)との合併を決めたことで、保有する700MHz帯と900MHz帯の帯域幅が基準を超える問題が浮上している。規定では、1社が保有する両帯の帯域幅は全体の3分の1を超えてはならないとしているが、両社の合計帯域幅は75Mで、合併後の両帯帯域幅30Mは基準を超えてしまう。ただ、特例を認めることもあると規定されており、合併計画は今後、通信当局の審査を受けることとなる。
がん発症は代謝の異常が原因か=台湾・国家衛生研究院
がんの発症は、体内のグルコース(ブドウ糖)に対する特定の酵素の異常な働きによって起きる可能性があることが、国家衛生研究院の研究でわかった。
研究院側の発表によると、人体中のブドウ糖がエネルギーに転換する過程で、解糖系酵素のピルビン酸キナーゼ(PK)M2と、発がん性があるヒストンメチル化酵素のJMJD5が腫瘍を形成し、がんの発症につながるという。
科学界では1920年頃からがんは代謝の過程において発生する疾病ではないかと考えられていたが、今回初めて乳がんと前立腺がんの発生について2種類の酵素の関係性が指摘された。研究論文は今年はじめに米国科学アカデミーの定期刊行書に掲載されている。
関係者は乳がんや前立腺がんの転移や再発についても理論上はPKM2の異常が原因だとしながらも、血糖値の制御でこれらのがんを抑制することが可能かについては研究データが少なく、断定はできないとしている。
同研究院のキョウ行健院長は、血糖値を下げる薬剤の投与で大腸がんなどの発生を抑制する臨床試験結果が出ていることに言及し、今後はJMJD5の働きを抑える薬の開発が進められることになるだろうと話している。(キョウ=龍の下に共)
総統府:両岸関係は92年合意等基礎に推進
総統府が、中国大陸との関係ではあくまで92年コンセンサスと「一つ中国、それぞれの立場表明」を原則にすると述べている。
かつて最大野党・民進党の主席を務めた施明徳氏は27日、与野党が台湾海峡両岸関係の考え方で一致できない問題を解決するとして、五つの原則を発表した。これら原則は、施明徳氏が、民進党の元立法委員や元閣僚、ならびに与党・国民党籍の蘇起・元国家安全会議秘書長、台湾の対中国大陸窓口機関・海峡交流基金会の副董事長を務めた焦仁和氏、元外交部長の程建人氏ら、与野党の両岸政策経験者と9ヶ月間にわたって討論した末の結論だという。
この五つの原則では、一方的に現状を変えないことの他、中華民国と「中華人民共和国」は1949年から並存しており、双方がすでに交戦していた政府から、分割統治を行う政府に転換していることを明確にする。さらに、「一つの中国原則」はすでに「中華人民共和国」の代名詞となっており、現状を表すことができないばかりか、台湾の2300万人にとっても受け入れられないとして、「大一中架構(大規模な一つの中国の枠組み)」を以ってそれに代えることを提案した。施明徳氏は、こうしてこそ現状に合致し、和解に向かう道になるとしている。
この「大規模な一つの中国の枠組み」とは、中華民国と「中華人民共和国」の上に、共同で「未完成」の国際法人を作り、将来は双方の同意、すなわちコンセンサスによって双方に関わる問題を処理していく。
施明徳氏は、「共同で未完成の国際法人を設立し、コンセンサスで双方が関心を寄せる問題を処理していく。それを両岸の現段階における過渡的な方法とする」と話し、この原則の下で両岸は敵対関係を消し去り、共同で平和の維持に取り組み、互いに武力を用いないことを約束すべきだと主張、どちらも相手方に不利な軍事協定をどの国とも結べず、いずれも国連などの国際組織に参加でき、他国と正常な関係を結ぶ権利があると説明した。
これに対し、総統府の殷瑋・スポークスマンは27日、馬英九・総統の両岸関係に対する考えは一貫しており、中華民国憲法の枠組みの下、「統一せず、独立せず、戦わず」という現状を維持し、92年コンセンサスと「一つの中国、それぞれの立場表明」という原則を基礎とし、両岸関係の平和的な発展を推進するものだと重ねて説明した。
白菜だけじゃない! 楊貴妃ゆかりの絵にも要注目/日本の台北・故宮展
日本で来月から行われる国立故宮博物院(台北市)の美術品の貸し出し展示。出品される231点のうち、イベント最大の目玉として注目を集めているのは、“門外不出”とされていたヒスイの彫刻「翠玉白菜」だが、日本側からの熱いオファーでリスト入りが決まったという唐代(618〜907年)の絵画「明皇幸蜀図」など、“見逃すと損をする”逸品も多い。
明皇幸蜀図は、楊貴妃を寵愛した唐の皇帝・玄宗の都落ちを描いた水墨画で、作者は不明。この絵には、755年に起きた安史の乱で皇族らが落ち延びた四川周辺の山々や、玄宗に従った騎馬の男女が描かれる。
馮明珠・国立故宮博物院院長の話によると、「(明皇幸蜀図は)国宝級の文化財で保存状況もいい」ことから、本来出品する予定はなかったものの、日本側の熱い要望に応えようとリストに加えたという。
明皇幸蜀図のほかに、山東龍山文化(前2500〜前1900年)の玉器「鷹文玉圭(玉鷹紋圭)」や、西周晩期(前9〜前8世紀)の銅器「散氏盤」なども今回の特別展で特に見応えのある名品として挙げられている。
楊貴妃は安史の乱で殺されたとされているが、一説によると、遣唐留学生の阿倍仲麻呂と共に乱を逃れて日本に渡ったという。
日本向け台湾産パイナップルの主力農家、畑の観光農園化で注目
若者の農業離れが叫ばれている台湾で、高学歴の農業従事者も少なからず存在している。特に南台湾では大学院の修士課程を卒業した男性がパイナップル栽培の達人と呼ばれる父親から関連技術を教わる傍ら、パイナップル畑を観光農園へと転換し、大成功を収めたことが話題となっている。
パイナップル畑の観光農園化に成功したのは屏東県の農家、呉堅銘さん(=写真右)。呉さんの父親はかつて日本に向けて輸出されるパイナップルを20年余り生産し続けた農家で、10数年前からパイナップルの有機栽培を行うようになり、現在は呉さんも家業を手伝っている。
あまりの忙しさで同じく修士号を持つ呉さんの妻、謝美蓮さん(左)も公務員を辞めて観光農園の経営に従事。現在は美しい風景を楽しみながらお茶を飲んだり、ドライパイナップルやパイナップル酵素、アイスキャンディなどさまざまな加工品を堪能できる屏東初のパイナップル観光農園として成長し、行楽客にとっても格好の憩いの場に変貌した。
また、見物客に楽しんでもらえるよう、農園のほかに花畑も設営。呉さん夫婦は、来園者にパイナップルへの理解を深めてもらおうと、パイナップルに関する全ての商品をそろえたいと意気込んでいる。
大混乱の南シナ海で台湾が示す「存在感」
中国とベトナムなどの周辺国が、その領有権をめぐって激しい衝突を繰り広げている南シナ海。台湾はその真っただ中に位置する港湾施設を、1億ドルをかけて増築する計画を発表した。台湾を国土の一部とみなす中国は、今のところこの動きを無視しているようだ。
問題の場所は、南シナ海に浮かぶ南沙諸島(スプラトリー諸島)の北部に位置する太平島。ここにある小さな空港に隣接する土地に、3000トン級フリゲート艦や沿岸警備隊の小型ボートが停泊できる規模の港湾施設を建造するという。さらには輸送航空機C−130ハーキュリーズの着陸を可能とする1200メートルの滑走路も新たに作られる予定だ。
来年後半に完成予定の増築計画は、台湾がこの島を自国の領土と主張する意思の表れだろう。太平島が位置するのは、フィリピン、マレーシア、ベトナムに囲まれたちょうど真ん中あたりだ。
「台湾政府は、この要求は(中国が)唯一邪魔することのできないものだと分かっている。だから中国から非難される恐れなく、自由に太平島の施設を補強できる」と、ハワイに拠点を置く調査機関イーストウェスト・センターの上級研究員デニー・ロイは言う。「中国は必要があれば、台湾の駐屯地を守ることもするだろう」
南シナ海を通る輸送船が運ぶ貨物の総額は、年間で5兆ドルに迫る。その海に位置し、各国による領有権争いが繰り広げられる南沙諸島の中で、太平島には最大規模の空港施設がある。台湾政府の今回の決定は、この海域における自国の漁師や海底鉱物探査の活動を支援する目的もあると見られる。
中国と台湾は南シナ海のほぼ全域の領有権を主張しているが、フィリピンやベトナム、マレーシア、ブルネイも石油が豊富に埋蔵されているこの海域の一部は自国のものだとしている。2008年に馬英九が台湾の総統に選出されてから中国と台湾の関係は改善したものの、両者の間にはいまだ根深い不信感が残っている。
「いずれにしろ、台湾そのものが中国の領土だ」と、上海国際問題研究所で台湾問題に関する研究員を務める張哲新は言う。「国内でどうやって領土問題が起きるというのか。もちろん台湾は中国の一部であり、太平島を含めたすべてが中国に含まれるということだ」
太平島の戦略的な重要性から、台湾政府はこの島に沿岸警備隊の職員や兵士を常駐させており、防衛のための兵器も配備している。「他国が支配する島にわれわれが侵略することは決してないが、主張は積極的にしていく」と、馬総統が所属する中国国民党の広報官は言う。
元国家安全委員会秘書長ら「大きな一つの中国」の原則提唱
施明徳・元民進党主席や蘇起・元国家安全委員会秘書などは27日、台北市内で記者会見を開き、「一つの中国」の原則に変わる新しい枠組み「大きな一つの中国」を提唱した。今後は台湾海峡両岸をまとめる国際的な法人を設立し、コンセンサスに基づいて双方の事務処理を行いたいとしている。
記者会見では5項目の不可分原則を発表。「中華民国」と「中華人民共和国」は並存し、「敵対」ではなく「分割統治」をしている双方の現状を重視する姿勢を打ち出したほか、「一つの中国」という言葉が「中華人民共和国」の代名詞となっている状態を考慮し、「大きな一つの中国」とした上で、地域の安全と平和を武力を使わずに維持する考えなどが語られた。
これに対して総統府の殷イ報道官は中華民国憲法に基づいた「統一せず、独立せず、武力行使せず」の姿勢を維持し、92年コンセンサス(九二共識)の下で両岸の平和的発展に努めると強調。与党、国民党の広報は、党の立場と異なる部分があるとしながらも、対話が行われるのはよいことだとコメントした。
一方、野党、民進党は社会の多元的な意見を尊重するとした上で、「台湾の未来は2300万人の台湾人によって決められる」との認識を語った。
中国ドラマ「パクリ騒動」で熱い火花!台湾女流作家が著名プロデューサーを提訴
5月の消費者信頼感指数(CCI)が過去6番目に高くなった。国立中央大学台湾経済発展研究センターは27日、5月の消費者信頼感指数を発表した。指数は85.59ポイントで、4月に比べて1.86ポイント上昇、2011年8月に記録された過去最高の86.89ポイントに迫った。5月の指数はこれまでで6番目に高い数値だという。
この指数を構成する6項目の指数はいずれも上昇、上昇幅が大きかったのは、株式投資のタイミング、国内景気、国内での雇用機会、耐久消費財の購入タイミング、家計状況の順で、最も上昇幅が小さく、消費者が強気でなかったのは国内の物価水準。物価上昇への懸念が根強いことが示された。
注意すべきは、物価水準以外の5項目がいずれも直近の最高水準になっていること。株式投資のタイミングは最も大きく上昇、上昇幅は4.70ポイントに達した。指数は20011年3月以来の高水準で、投資家が強気で株式市場を見ていることが分かる。耐久消費財の購入タイミングも2008年1月以来の高水準で、不動産購入意欲が依然として強いことを示している。
台湾経済発展研究センターの呉大任・主任は、「欧米の景気回復は大変安定している。昨年から年初にかけて不透明だった中国大陸は4月の経済統計が非常によかった。これらが消費者信頼感指数の好調さにつながっている」と話した。
中国ドラマ「パクリ騒動」で熱い火花!台湾女流作家が著名プロデューサーを提訴
26日、台湾の女優作家の瓊瑤が中国ドラマの盗作騒動について、ドラマプロデューサーを著作権の侵害で27日に提訴すると発表した。
2014年5月26日、台湾の女優作家の瓊瑤(チョン・ヤオ)が中国ドラマの盗作騒動について、ドラマプロデューサーを著作権の侵害で27日に提訴すると発表した。新浪が伝えた。
瓊瑤は「純愛ドラマの母」と呼ばれ、20年以上にわたって数多くのヒットドラマを生み出してきた。事の発端となったのは先月15日、瓊瑤が中国の時代劇ドラマ「宮鎖連城」について、自身の22年前のヒットドラマ「梅花烙」のパクリを指摘したことによる。同作を手がけた著名プロデューサーの于正(ユー・チョン)を厳しく批判し、放送中止を求めて国家広播電影電視総局(広電総局)に文書を送っている。
しかしその後、放送が中止されることはなく、盗作騒動の話題性も手伝って高視聴率を獲得。瓊瑤側は先月末、于正および制作側を著作権の侵害で提訴することを明らかにしていた。
26日、瓊瑤側の弁護士が、翌27日に北京市第三中級人民法院(裁判所)に訴状を提出することを発表。正式に裁判に持ち込まれることになった。于正は同日、自身の中国版ツイッターに「笑ってやり過ごそう」とのメッセージを掲載。今回の裁判に対する挑発的な意見だとして、ネットユーザーの怒りを買っている。
于正については過去のパクリの歴史も、ネット上で続々と紹介されている。中国のネットユーザーからの反応は、瓊瑤を支持する意見が圧倒的。「面の皮が厚すぎる」「パクリが常習化して感覚が麻痺しているとしか思えない」「他人が苦労して作ったものを尊重しない、無恥な行動」「パクるのは自分に才能がない証拠」「他人の作品でカネを稼ぐ人間が、よくも人を批判できるものだ」など、今回のニュースに対して于正を非難するメッセージが溢れている。
地下鉄無差別殺傷 容疑者両親が謝罪 死刑も覚悟
台北メトロ(MRT)の車内で21日、刃物を持った男が乗客を切りつけ28人が死傷した事件からまもなく1週間。現場となった江子翠駅(新北市)に容疑者の両親が献花に訪れ、謝罪の言葉を述べた。
午後4時ごろ駅に姿を見せた両親は、跪いたまま「(息子が)大変な罪を犯したことについて、亡くなられた方、被害に遭われた方に心からお詫び申し上げます」と涙ながらに謝罪。また「検察側は死刑判決を下すと思うが、息子が向き合うべき結果であり、こうすることで被害に遭われた方の傷とご家族の心が少しでも癒されれば」と極刑への覚悟を口にした。
一方、亡くなった女性被害者の姉は、謝罪をするなら霊前に来るべきだと怒りをあらわにした。息子を亡くした母親は、「家庭での教育が大切」と強調しながらも、「どんなに謝罪しても子供は戻ってこない」とやりきれない思いを語った。別の遺族も、例え社会に謝罪しても遺族に謝罪したことにはならないと不満を述べた。
初七日(初願忌)を迎えたきょう、事件発生時刻の午後4時26分には台北メトロの全駅に設置されている液晶モニターに追悼文が5分間にわたって表示された。また、江子翠駅の外には事件後から被害者などに宛てた花束やメッセージカードが続々と置かれ、カードはすでに3000枚以上届いているという
台湾が中国と強制的に統一されたら?日米の9割「国の利益に影響」
27日、米国の有力シンクタンク、戦略国際問題研究所がこのほど行った世論調査で、日本と米国の回答者の9割以上が「台湾が中国と強制的に統一された場合、国家の利益が何らかの影響を受ける」と回答した。
2014年5月27日、環球時報(電子版)によると、米国の有力シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)がこのほど行った世論調査で、日本と米国の回答者の9割以上が「台湾が中国と強制的に統一された場合、国家の利益が何らかの影響を受ける」と回答した。
調査は11カ国・地域の402人を対象に実施した。「台湾が中国と強制的に統一された場合、国家の利益が何らかの影響を受ける」と回答した割合は、米国で93%、日本で96%、台湾で89%に達した。
台湾では回答者の55%が「中国はアジア最大の強権国家になる」と予測。90%が「中国は10年以内に台湾にとって最も重要な経済協力の相手になる」と答えた。また、中国の経済発展が域内に与える影響について「良い」「やや良い」と答えた割合は79%だった。
さらに、将来的な「中国からの武力攻撃を心配している」と答えた割合は38%。「アジア・太平洋域内で米国の影響力は低下するが、影響力は継続する」とした人は55%だった。
台湾産コーヒーのおいしさ、専門家の折り紙つき!
台湾の阿里山で栽培されるコーヒーが「冷めてもおいしい」と専門家から高く評価されている。
イタリアのリミニで今年6月、ワールドコーヒーイベント(WCE)主催の国際競技会が行われるのに先立ち、出場する台湾の魏汝瑛さんら3人を激励しようと、米国クヌッセン・コーヒーの創始者、エルナ・クヌッセン女史が27日、台湾コーヒー協会の招きに応じて台湾入りした。
クヌッセン氏はコーヒーの品質向上を呼びかける“スペシャルティコーヒー”(栽培農園の特性を持つ欠点のないコーヒー)の概念を提唱したことでも知られる。
台湾の出場代表らが大会で優れた成績を収められるよう祝福を送ったクヌッセン氏は、取材中にも魏さんが淹れた阿里山産コーヒーを味わいながら「酸味や苦味が強くなく、冷めてもおいしい」と感想を述べた。
関連業者の統計によると、2003年から2012年までの10年間、台湾のコーヒー生豆輸入量は1年あたり7602トンから1万5000トンに成長、世界から注目を集めつつある。
中国福建の観光バス転落事故、台湾人の犠牲者6人に
中国福建省の〓州市で23日、台湾からの観光客ら24人を乗せた観光バスが川に転落する事故があり、27日朝までに行方不明者1人の遺体が新たに見つかった。事故で犠牲者は6人となり、依然1人の行方が分かっていない。(〓はさんずいに章)(写真は「CNSPHOTO」提供)
中国福建省の〓州市で23日、台湾からの観光客ら24人を乗せた観光バスが川に転落する事故があり、27日朝までに行方不明者1人の遺体が新たに見つかった。事故で犠牲者は6人となり、依然1人の行方が分かっていない。
行政院、ベトナムの賠償などの執行把握へ
行政院が、ベトナムでの反中国大陸運動で被害を受けた現地の台湾企業に対するベトナム側の賠償などの執行を把握していく。行政院の毛治国・副院長は27日、「ベトナム暴動事件対応チーム」の6回目の会議を開いた。先週現地入りして被害状況を確認、ベトナム側との交渉も行った、経済部の沈栄津・次長が報告。今回の訪問で交渉した結果、賠償などに関する双方の中央政府レベルの窓口を設けると共に、合同での調停および賠償委員会を立ち上げることになっている。
報告を聞いた毛治国・行政院副院長は、担当者に責任を負わせるメカニズムを作り、今後のベトナム側の賠償などの対応をしっかりと把握していくよう指示した。
国民党の台北市長選公認候補、日本の政財界関係者訪問
連戦元副総統の長男で、与党・国民党を代表して今年末の台北市長選挙に出馬する連勝文氏は27日、日本訪問に向けて台湾を出発した。
自らの市政運営顧問団を引率して訪日する連氏は滞在中、超党派国会議員組織「日華議員懇談会」の平沼赳夫会長や衆議院議員、ミスター円こと榊原英資氏など政財界関係者を表敬訪問するほか、国民党の東京支部も訪れる予定。
一行は30日午後まで滞在し、台湾に帰国する予定。
「ベビースター」のおやつカンパニーがカーライルと売却協議
5月28日(ブルームバーグ): 「ベビースターラーメン」で知られる株式会社おやつカンパニー(本社・三重県津市)が、米投資会社カーライル・グループと企業売却の協議に入っていることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
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関係者の1人によると、売却額は250億円を超える可能性があるという。おやつカンパニーとカーライル・ジャパンの広報担当者はコメントを避けた。
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インスタントラーメンの製造工程で出る麺のかけらを、スナック菓子として再加工したことで生まれた「ベビースター」。同社ホームページによると、1948年に松田産業有限会社として設立され、1959年にベビースターを10円で発売。国内販路を拡大する一方、香港や台湾、タイ、シンガポールなどアジア地域や、メキシコにも輸出している。
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会社概要によると、同社の2013年7月期の売上高は182億円。従業員数は370人。社長は松田好旦氏。
皇族の台湾旅行をふり返る新刊発売
日本統治下の台湾を訪れた皇族にスポットを当てた本、「日本皇族的台湾行旅」がこのほど台湾で出版され、学術関係者などから好評を博している。
この本は、国立台湾師範大学(台北市)で台湾史の修士号を取得した陳イ翰さんの最新作で、副題は「蓬莱仙島菊花香」。(イ=火へんに韋)
台湾が日本領に編入されて間もない1901(明治34)年から太平洋戦争が勃発した1941(昭和16)年までの40年間で、皇太子時代の昭和天皇など計27人の皇族が台湾を訪問しているが、著者は34回にのぼる皇族たちの訪台の足跡を克明に追いながら、当時の台湾の観光スポットやグルメ、時代の雰囲気、貴人を奉迎する関係者の思惑をユーモアたっぷりに紹介している。
日本統治下の台湾を扱う作品として異色の存在感を放つこの新刊について、研究機関の研究員や大学教授から「一般の読者でも親しめる歴史の本」、「著者の後について時空を超えた旅を楽しんでみては」などと評価の声が相次いでいる。
立法院、NCC委員3人の人事案に同意
立法院本会議が27日午前、国家通信伝播委員会NCCの新たな委員3人の人事案に同意した。最大野党・民進党の立法委員はこの表決をボイコット、新たな委員の任命に責任を負わない態度を示したが、与党・国民党の議員団である立法院党団が支持する中、陳憶寧氏、翁柏宗氏、杜震華氏の3人がNCCの委員となることは多数決で認められた。
陳憶寧氏は米テキサス大学オースティン校のニュース学博士で、現在は国立政治大学広告学科の教授を務めている。翁柏宗氏は国立成功大学電気エンジニアリング学科の修士で、現在はNCCの主任秘書。杜震華氏は、米ジョンズ・ホプキンス大学の経済学博士で、現在は財団法人商業発展研究院の研究員、及び商業発展・政策研究所の所長を務めている。
政府、米カリフォルニア州の乱射事件で哀悼
外交部が、米国のカリフォルニア大学サンタバーバラ校(University of California, Santa Barbara)付近で起きた銃乱射事件について哀悼の意を表した。銃乱射事件は23日に発生、容疑者を含めて7人が死亡した。そのうち3人は中華系の学生。同校は26日、1人は台湾からの移民だと明らかにしている。
学生らの心の傷に対するケアのため、学校側とロサンゼルス駐在の台北経済文化代表処はカウンセリングを提供する他、緊急時の対応も指導する。
中華民国外交部の高安・スポークスマンが27日に述べたところによると、代表処は事件発生直後から人員を派遣して現地での作業をサポートしている他、台湾の宗教団体・慈済慈善事業基金会を通して家族とも連絡をとらせている。中華民国政府は、すでに米国駐在の中華民国代表処を通じて、米国側に哀悼の意を伝えたということ。
台湾でAV関連の国際シンポジウム開催
国立台北科技大学(台北市)のキャンパスで24日、アダルトビデオや性教育のあり方に関する国際シンポジウムが開かれ、一般市民など80人近くが参加した。
このイベントは、慰安婦問題にも取り組んでいる台湾の女性支援団体、「婦女救援基金会」が主催したもので、出席した米ニューヨーク大学の教授やオランダ人の“性治療士”、台湾の衛生福利部(衛生省)の幹部職員が、アダルト動画が恋人同士にもたらす影響や大学での性教育の現状、AV中毒の原因などについて意見交換を行った。
この中でニューヨーク大教授の孫晴峰さんは、アメリカの大学生約2000人を対象としたアンケート調査を発表し、「アダルト動画を見れば見るほど、サディズムやマゾヒズムなどの性的嗜好を持つ可能性が高い」と指摘。しかし一部参加者からは「台湾の人々が観るのは日本のAVがほとんどだから、もっと関連の研究をしろ」との意見も出た。
婦女救援基金会が2012年に実施した調査によると、台湾では9割以上の人が未成年の時からAV鑑賞していたと認め、79%は毎週、22%は毎日観ていると回答したという。
自由経済区に先行、観賞魚中継センター設立へ
自由経済モデルエリア(示範区)に先行して「観賞用魚介類国際中継センター」が6月末にもオープンすることに。現在、世界の観賞魚は4000種類あまりで、頻繁に取引されるのはそのうち1000種類あまり。台湾が提供するのは400種類あまり。
台湾のライバルである、香港とシンガポールでは、保護対象となる魚類を除いて観賞魚の輸出入に制限が無い。このため世界のバイヤーはシンガポールと香港で一度に必要なだけ観賞魚を仕入れることが可能。一方、台湾から調達する場合、台湾が自ら研究開発した400種類あまりしか買うことができない。
この問題の解決に向けて、台湾南部・屏東県に位置する農業バイオテクノロジーパークでは、現在、「観賞用魚介類国際中継センター」の建設を進めており、6月末にも試験的な運営が開始できる見通しに。このセンターでは、台湾が開発した400種類あまりの観賞魚を輸出することができる他、東南アジア諸国の観賞魚を1000種類あまりを輸入し、パーク内でまとめてから輸出することが可能。このセンターの発足により、台湾が輸出できる観賞魚の品種がいっそう多様になると期待されている。
農業バイオテクノロジーパークの黄金城・主任は、「台湾はこれまで国際間の中継業務を行ったことはない。特別なケースの形でまず試験的に運営してみる。たとえば、5万匹の魚を輸入し、それを他の国や地域に輸出する。魚は生きており、しかも数が非常に多いため、実行可能かどうかを特別なケースの形を通じて試し、目標を達成できるかどうかをチェックする」と説明した。
黄・主任は、「国際中継センターを設ける目的は、将来、パークに入居する企業がシンガポールを通さずに、台湾南部の高雄国際空港から直接中国大陸に行き、中国大陸・広東省の広州、または上海の空港から全世界に送れるようにすることだ。そうなれば台湾はシンガポールに取って代われるはずだ」と意気込みを見せた。
シャープ社長“パフォーマンス封印” リストラ効果切れる2年目が勝負
2期連続で巨額赤字を計上していたシャープが、平成26年3月期連結決算で黒字転換を果たした。最終損益は115億円の黒字(前期は5453億円の赤字)と、昨年5月発表の中期経営計画で必達目標に掲げた50億円の2倍以上だ。ただ会見で高橋興三社長に笑顔はなかった。これまでは厳しい発表内容でも表情を和らげる場面はあったが、今回は仏頂面を通した。関係者は「リストラ効果による一過性の黒字で社内に『危機は去った』と勘違いが広がるのを怖れたのでは」と話している。
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■笑顔なしの意味
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「中期経営計画1年目として比較的順調に滑り出した」
. 3年ぶりの黒字転換を発表した高橋社長は厳しい表情のまま、こう語った。
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26年3月期は売上高が前期比18・1%増の2兆9271億円、本業のもうけを示す営業利益は1085億円(前期は1462億円の赤字)だった。
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部門別でも、前期は液晶や太陽電池、デジタル情報家電など4事業が営業赤字だったが、26年3月期は主要事業すべてで営業利益を確保した。25年3月期に1389億円の赤字だった液晶事業も415億円の黒字に転換した。
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さらに液晶事業では、中国の北京小米科技(シャオミ)など新興スマートフォン(高機能携帯電話)メーカーを、利益率の高い中小型液晶パネルの納入先として開拓したことで、米アップル、韓国サムスン電子のスマホ2強に依存しない態勢を構築しつつあることも示した。
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シャープの記者会見といえば、経営危機前にはカリスマ経営者らが巨額投資や世界的な市場拡大戦略などを派手にぶち上げてきた。そのカリスマたちも巨額赤字を招いた経営責任を棚上げし、それぞれ社長・会長を退任した後も経営に関与し続けたという意味で“ゾンビ経営者”と社内で批判の対象となり、最近は経営の表舞台から静かに退いている。
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高橋社長もこれまで、会見ではにこやかな表情で語りかけ、ときには経営理念などを記したカードを記者らに掲げるなどサービス精神を発揮してきた。にもかかわらず、今回は笑顔とパフォーマンスなどを封印。業績と経営戦略を淡々と説明することに徹した。
その真意は−。
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最近、高橋社長は「経営危機に陥った会社はどこでも1年目はリストラと、それによる固定費削減の効果で乗り切れる。それを使う余地がなくなる2年目こそ本当の勝負だ」と周囲に漏らしていたという。
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それを受け関係者は「苦しい時期には無理してでも笑顔をみせて社員を鼓舞してきたが、経営再建の真価を問われる2年目に入り、逆に社員の危機意識が緩むことを心配した」と解説する。
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■リストラ頼りの黒字
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昨年6月に就任した高橋社長は綱渡りの経営の連続だった。25年3月期に5453億円の最終赤字を計上した直後。自己資本比率は6%台と低迷しており、一般的に製造業で健全とされる20%以上の水準を大きく下回っていた。
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そんななか、今回の業績回復は、これまでのリストラによるコスト削減が効いた。
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25年3月期のうちに稼働率の低下に苦しんでいた大型の液晶パネルを生産する堺工場(堺市)を台湾・鴻海(ホンハイ)精密工場との合弁にして連結対象から外したほか、3千人規模の希望退職を実施。さらに海外工場を閉鎖するなどリストラを進めてきた。また管理職は24年4月から、一般社員は同5月から給与を削減していた。これらのリストラで固定費負担が軽くなったことで利益を押し上げたといえる。
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■のど元過ぎた?
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黒字転換と液晶パネルの取引先拡大などで再生への第一歩を踏み出したかにみえるシャープ。だが、意外にも高橋社長は現状に危機感を募らせているという。
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関係者は「今春で社員の給与削減が終わり、黒字化もしたことで危機的状態を抜けたと勘違いする社員が増えている。真の再生までの道のりがまだ遠いことを知る高橋社長は、表面的な業績回復で社員の危機意識が薄らぐことを心配している」と打ち明ける。
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事業環境が好転しているとはいえ、主力への育成を目指す中小型液晶パネルを巡る競争は激しく、価格下落や在庫増加などの危険性をはらんでいる。低空飛行の自己資本比率は昨秋の公募増資などで一時13%に回復したが、3月末に退職給付債務の計上により8・9%にまで下がっている。9月には1千億円に上る社債の償還期限を迎えることもあり、なお予断を許さない綱渡りの経営は続いているのだ。
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決算発表の会見で、高橋社長は「1年目の目標が達成できたからといって、3分の1の達成ではない。新たにリセットし、いまゼロからのスタートだ」と訴えた。これは記者の質問に答えた言葉だが、実はシャープ社内に向けられたメッセージなのかもしれない。
香港、台湾で大人気! ニッポンの農産物の底力【2】
日本産の野菜、果物に飛びつくのは日本人だけではない。香港には翌日到着も可能になった。輸出先進企業の取り組みから、明るい未来が見えてきた!
新潟玉木農園の玉木修氏が強調していたのは、売れるブランドをつくりつつ値段を自分で決めることの大切さだ。『日本は世界5位の農業大国』などの著書を持つ浅川芳裕氏は、国や県による海外輸出戦略は「最悪」と批判する。
「現地の小売店に補助金を出して日本の農産物を並べています。棚を金で買う。最悪のマーケティングです。小売店側は売れなくても金が入ってくるので、値づけにも陳列にも力を入れません。農産物は物流費の塊ですが、農協やその天下りの輸出団体を経由して人件費まで乗せるとありえない価格になります。日本の農産物は高いから買わないでと言っているようなもの」
商品一つ当たりに上乗せされる物流費を下げるには、取扱量を増やして航空便や船便のコンテナを埋めること。初めは先行投資と考え、物流費も販管費扱いにして商品価格に上乗せしない。現地で認知され、量が売れるようになった時点から投資の回収が始まる。これが浅川氏による「海外マーケティングの常識」だ。
「国や県の輸出担当職員は年次予算で動くのでマーケティングに必須な継続性を持てないのです。自腹を切って買ってくれるのは小売店でなく消費者であることすらわかっていません。補助金を出すくらいなら、日本国内の卸売市場に海外バイヤーを招くほうがいいのでは、と提案しているんです。バイヤーが入れば、つくりすぎで値下がりした農作物も海外に売れますよ」
自治体や農協が単発で行う輸出イベントに参加しても長期的なビジネスには結びつかないという。といって、玉木氏のように海外市場に単身で乗り込む行動力は誰しも持てるものではない。ならば、「海外に強い企業に売ってもらう」手がある。
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■プラットホーム企業にお任せ――顧客の7割が香港人。高いものほど売れる!
国内で1000軒以上の農家と取引し、食材宅配で急成長中のネットスーパー「オイシックス」は、09年に香港向けの輸出事業を開始した。香港は日本にとって最大の農作物輸出先であり、関税などの貿易障壁も低い。
オイシックスの海外事業(香港)は昨年の7〜9月期、前年比4倍の売り上げを記録。黒字化を達成している。香港に駐在する日本人にも人気だが、香港人が顧客の7割を占めるという。
「香港はほかのアジア諸国と比べて自宅で料理をする人が多いといわれています。最初の進出先に選んだのはビジネス環境の面で自然な選択です」
海外事業部部長の高橋大就氏は、外務省に9年間勤めた後、オイシックスに転じた経歴を持つ人物だ。
「一番難しいのは物流。12年には現地に自社倉庫を開設し、冷凍品や加工品は船で運ぶことでコストを下げることができました。価格が下がったことでググッと成長してきたのです」
福島第一原発の事故以来、香港政府は日本から輸入する農作物に対して放射能検査を義務づけている。高橋氏によれば、空港で検査を受けられる航空便に対して、船便の場合は検査官を倉庫に招いて検査を受けなければならない。発送から到着まで1カ月もかかり、在庫管理の手間とリスクが発生する。それでも物流コストの削減は不可欠の課題なのだ。
とはいえ、オイシックスは安売りはしていない。国内でも安心・安全を打ち出していて値段は高めだが、香港では3〜4割増しで販売しており、香港人の顧客に限ると単価は1万円を超えることも。むしろ、単価の高い華やかな商品のほうが売れると高橋氏は言う。
「日本国内では毎週もしくは隔週にお届けする定期宅配が中心ですが、香港では月1回程度の『都度購入』が多いのが現状です。桃、いちご、りんご、ぶどうといった果物に加えて、はっきりと違いのわかる野菜が人気です。安納芋、生キャラメル芋、ミニトマトなどの商品がよく売れています」
宣伝に関しては、フェイスブックをフル活用。「Oisix香港」ページのファンは7700人を超える。
「日本の農作物が輸出で伸びる余地はまだまだあります。特別な日だけでなく、日常的に日本の野菜を買っていただけるよう、よりリーズナブルな価格を目指しています」
オイシックスが契約している農家にとっては、国内と同じ基準で高品質の農作物をつくっていれば自然に販路が広がっていくことになる。ただし、「新しい取り組み」への理解は必要だ。
「一般に、海外での荷扱いは乱暴です。いちごや桃などの傷みやすい果物はすぐにダメージを受けてしまいます。専用の梱包資材を使うことが必須なので、開発も含めて厭わずにやってくれる気持ちの若い人が向いていると思います」
国内向け以上の宣伝活動も必須である。高橋氏は、フェイスブック掲載用の写真や動画撮影も生産者に依頼している。もちろん、香港の消費者の声も届く。オイシックスのようなプラットホームを利用する場合も、柔軟性とコミュニケーション能力が農家に問われる時代なのだ。