世界初の電動スーパーカーを開発して国際的に称賛されたクロアチアのマテ・リマッツ(Mate Rimac)氏(28)。その全てはガレージでの趣味から始まった。
高校時代から熱烈な機械マニアだったというリマッツ氏は、乗り回しているうちにエンジンを壊してしまった古いBMWを電気自動車に改造しようと思い立ち、インターネットで部品を買い集め始めた。
10年後、リマッツさんの会社リマッツ・アウトモビリ(Rimac Automobili)は電気自動車技術で世界をリードする存在になった。スーパーカー「コンセプト・ワン(Concept One)」は1台85万ユーロ(約1億700万円)で販売され、渇望されていた活気をクロアチアの起業シーンにもたらした。
首都ザグレブ(Zagreb)近郊の小さな町スベタネデリャ(Sveta Nedelja)にある工場のショールームでAFPの取材に応じたリマッツ氏は、「この分野で世界一になりたい。われわれは世界を変えようとしている」と語った。
リマッツ氏が同社を創業したのは2009年。最初の改造車についてはもうやり残したことはほぼないと感じ、今度は電気自動車を一から作ってみようと思ったのがきっかけだった。
■モーターショーでの成功
同社は2011年ドイツ・フランクフルトモーターショー(IAA、Internationale Automobil-Ausstellung)で、コンセプト・ワンを発表。クロアチアの小企業がわずか2.8秒で時速100キロに達する驚異的な電気自動車を披露すると予想していた人は一人もいなかった。
今月スイスで開かれたジュネーブ国際自動車ショー(Geneva International Motor Show)では、コンセプト・ワンの生産モデルに加え、その「双子の悪魔」と銘打ったさらに強力な「コンセプトS(Concept S)」のプロトタイプも紹介した。
このような成功を収めたことで、リマッツ氏が米国のシリコンバレー(Silicon Valley)やドイツ、イタリアといった別の場所に移住するだろうと考える人が多かったが、リマッツ氏は、6年に及んだ不況からゆっくりと回復しつつあるクロアチアで事業を継続することにこだわった。
リマッツ氏は、スベタネデリャに第2工場の建設を計画している。従業員数は今年、これまでの2倍の300人にする予定だ。平均年齢は30歳で、その多くが大学を卒業してすぐに入社した若いエンジニアだという。