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徹底検証 台湾・ひまわり運動はなぜ社会運動となったのか :台湾

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TSMC張・董事長、後半の半導体景気「非常に良くなる」


半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀・董事長は5日、今年後半の半導体産業の景気について「非常に良くなる」という見通しを示した。張氏は「多くの国で今年後半の景気は昨年後半より好転し、今年後半が前半より良くなる国も多い。台湾の今年後半は昨年後半、今年前半いずれと比べても良くなる」と語った。また、「モノのインターネット」については「半導体産業にとって次の重要事だ」と指摘した。

台湾「鉄道の日」記念で阿里山森林鉄道、SL列車運行へ

台湾鉄路管理局・阿里山森林鉄路管理処では6月9日の鉄路節(鉄道の日)を記念して、当日、嘉義−北門間および阿里山の沼平支線でヒノキ製の客車を牽引した蒸気機関車の列車を運行する。

阿里山森林鉄道は日本統治時代の1912(大正元)年に平地の嘉義から海抜2000メートルの二万平まで約67キロメートルが完成し、木材の運搬を始めてから百年余りの歳月が経った。台湾中南部・嘉義の阿里山は、宜蘭の太平山、台中の八仙山と並んで当時、「台湾三大営林場」の1つとされ、その貴重な木材を伐採・運搬するため阿里山に鉄道が敷設された。

鉄道の日を祝うため、阿里山森林鉄道の嘉義−北門間では、9日午前9時30分〜午後3時30分、蒸気機関車がヒノキ製の客車4両を牽引して5往復する。片道大人15台湾元(約50円)。

また、阿里山森林遊楽区(遊歩道エリア)を走る沼平支線でも、通常の区間車(普通列車)用の車両の代わりに、同じく客車4両を牽いたSLが4往復する。大人料金で片道50元(約170円)、往復80元(約270円)。

新卒者人気NO.1のボスはモリス・チャン

yes123が新卒者に対し、最初の仕事は誰の下で働きたいかについて複数回答可で聞いたところ、半導体受託生産世界最大手、台積電(台湾積体電路製造/TSMC)のモリス・チャン(張忠謀)・董事長が39.1%で1位となった。(写真:RTI)

大手就職転職サイトyes123は7日、今年卒業する大学生や兵役を終える若者の、キャリアに対する考えと計画について調べた「新卒者キャリア計画調査」の結果を明らかにした。

それによると、新卒者は、平均で23.4通の履歴書を送って初めて面接機会が1回あり、また平均で7.1社の面接に臨んでようやく1社の内定を得ると答えており、履歴書を166社に送ってようやく1社の内定が決まるという。

yes123ではまた、新卒者に対し、最初の仕事は誰の下で働きたいかについて、複数回答可で聞いた。その結果、半導体受託生産世界最大手、台積電(台湾積体電路製造/TSMC)のモリス・チャン(張忠謀)・董事長(会長)が39.1%で1位となった。2位は37.1%で大手外食グループ、王品グループの戴勝益・董事長、3位は30.6%で、海運業を中核に航空業、ホテル業も展開するエバーグリーン・グループの張栄発・総裁だった。

yes123は、現代の若者、新卒者は、仕事と休暇のバランスがとれる事を重視しているため、社員の福利を重視し、仕事と休暇のバランスがとれているイメージのある企業家が、理想のトップの対象になりやすいと説明した。

この調査は、今年5月28日から6月5日まで、インターネットで、今年卒業あるいは兵役を終える若者を対象に実施された。有効回答は1206件だった。

台湾の芸術家、来年よりスイス常駐へ 文化部とCERNの協力で


台湾・文化部と欧州原子核研究機構(CERN)は6日、芸術科学協力プログラムの「Accelerate@CERN」に調印した。この計画に参加するのはギリシアとスイスに次いで台湾が3カ国目。芸術と科学との“出逢い”から思いもかけない新しい成果の誕生が期待される。

5日から14日までの予定でスイスとドイツを訪問している龍応台・文化部長は蔡筱穎・駐仏パリ台湾文化センター主任らとともに同日午後、スイス・ジュネーブ郊外のCERNに到着。出迎えたロルフ・ホイヤー所長が同機構とプログラムについての説明を行った。ホイヤー氏は台湾には71もの科学機関がCERNと協力関係を有しているとしてその成果を評価した。「Accelerate@CERN」は9月以降参加者の募集を開始し、共同選考で選出された2名のアーティストが来年よりCERNに常駐する。

龍部長は今回の締結は全く思いがけないもので、昨年台湾を訪問したCERNの科学者をもてなした際にCERNのアーティスト駐村計画について知り、パリ台湾文化センターを介して担当者の訪台が実現、面会したデジタルアーティストが好印象を残したと経緯を話した。さらに、このプログラムで台湾の芸術家が世界中の科学者が集まる先端科学とフロンティアの心に満ちたCERNの環境に身を置けば、彼らが受ける啓発・衝撃はどこよりも大きいに違いないと述べた。

龍部長は芸術人文分野は一見すると基礎科学と同様、実際の生活には役に立たない無用の物に見えるかもしれないが、文学・歴史・哲学・芸術は革命を巻き起こす力があり、国家の振興をもたらすもので、この点において芸術家と科学者は本質的な共通点があると語った。

この日の調印式には青春期を台湾で過ごした経験を持つノーベル物理学賞受賞者のサミュエル・ティン(丁肇中)氏も出席。ティン氏は長年CERNで宇宙用の磁気スペクトロメータ(AMS)に関する計画を主宰している。

全仏女子複、謝淑薇ペアが決勝進出

フランス・パリで行われているテニスの四大大会、フレンチ(全仏)オープンは 6日、大会 13日目が行われ、女子ダブルスの準決勝で、第1シードで出場している台湾女子テニス界のエース、シエ・スーウェイ(謝淑薇)・選手と、ポン・シュアイ(彭帥)・選手(中国大陸)のペアが、スペインのペアをセットカウント 2-1で下し、決勝進出を決めた。シエ選手は、台湾の選手として初のフレンチ・オープン決勝進出となった。

シエ・スーウェイ選手とポン・シュアイ選手のペアは、第 1セット、いきなりサービスブレークのピンチを迎えるが、これをキープすると、このセットを 6-2で奪った。続く第 2セットは、先にリードされてから 5-5に追いついたものの、再びブレークされ、 5-7で奪われた。迎えたファイナルセットは、ブレイク合戦で 2-2となってから、サービスゲームをキープし流れをつかむと、そのまま一気に 4ゲームを連取、6-2でこのセットを取り、1時間 54分に及ぶ熱戦を制した。シエ・スーウェイ選手とポン・シュアイ選手のペアは、過去フレンチ・オープンでは2009年のベスト 4が最高成績で、決勝進出は初。

シエ選手のペアは 8日に行われる決勝で、昨年 2013年のウインブルドン選手権に続く、四大大会 2勝目をかけ、第 2シードのサラ・エラニ、ロベルタ・ビンチ(共にイタリア)組と対戦する。

元中日のチェン、7回途中2失点の好投も7勝目ならず

大リーグ、オリオールズのチェン・ウェイン(陳偉殷)が6日、アスレチックス戦に先発し、6回3分の1を5安打2失点で7勝目はならなかった。

チェンは1回と2回、ソロ本塁打を1発ずつ浴びるも3〜6回を1安打無失点に抑え、1点リードの7回途中で降板した。チームは小刻みな継投で反撃をかわそうとしたが、3番手として登板したダレン・オデイが8回に同点を許し、チェンの白星は消えた。
試合はオリオールズが延長11回の末、3−4で敗れた。

サントメの大統領の上海訪問で警戒

外交部が、サントメ・プリンシペの大統領の中国大陸訪問に警戒を強めている。アフリカに位置し、中華民国と正式な国交を持つ友好国、サントメ・プリンシペのマヌエル・ピント・ダ・コスタ大統領は近日中に中国大陸の上海をプライベートで訪れるとされている。

これについて外交部は6日、強く警戒する姿勢を示すと共に、サントメ・プリンシペに設ける大使館は早くから十分情報を把握していると説明した。外交部では、国家の尊厳と両国の関係に基づき、大使館を通じてダ・コスタ大統領に対し、中華民国の立場を伝えるよう指示すると共に、中華民国におけるサントメ・プリンシペの大使を呼び、中華民国としての懸念を本国に伝達するよう求めたという。

外交部によると、ダ・コスタ大統領は中華民国大使館に対し、純粋にプライベートな訪問で投資誘致のためだと説明、公式な活動は無く、中華民国との友好関係は絶対に損なわないと約束しているということ。外交部の高安・スポークスマンはさらに、「ダ・コスタ大統領は4日にこれを書簡にして馬英九・総統に送り、今年年末か来年初めに大統領として中華民国を訪問する意思を表明している」と述べた。

外交部は、政府は「活路外交政策」を堅持し、台湾海峡両岸が国際社会で平和に共存し、台湾の活動空間が守られることを主張しているが、友好国の元首が中国大陸を訪れることはやはり政治的にデリケートだとして、サントメ・プリンシペ政府が中華民国との長期的な友好関係を大切にするよう求めていくと述べた。

台湾・屏東産アップルマンゴー減産も輸出価格は昨年より上昇


台湾南部・屏東県で生産されアップルマンゴーとして知られる人気のアーウィン種(愛文芒果)は今年、開花期の寒害や病害で生産量が大幅に落ち、輸出が遅れていたが、平均輸出価格は昨年より高めだという。

愛文マンゴーの生産量が去年の半分まで落ち込む中、今年は良質のマンゴーで1個355台湾元(約1213円)と過去最高値をつけたものも。また、本来5月の収獲期が6月までずれ込み、輸出価格に影響が出ている。

屏東県政府によると、大陸向けのマンゴーは去年と同様5月中旬に出荷が開始されたが供給量が少なく、去年1キロあたり150元(512円)だったのが、今年は160〜180元(547〜615円)まで上昇。この影響で日本からの注文が一時手控えられ、入荷は6月3日になってからだったという。

同県・枋山のある農家では、去年150元だった日本輸出用が今年130元(444円)にとどまっているのは輸出時期を遅らせる政府の方針の影響だと話していた。これに対し県政府では、今年は供給量の減少で輸出規格に合うマンゴーが少なかったことに加え、中国大陸市場での価格の上昇にともない、日本が自ら入荷時期を延期したもので、政府農業委の政策とは無関係だと説明している。

一方で枋山郷農会(農協)では、今年日本への平均輸出価格は125元(427円)で、去年の110元(376円)に比べて高めを維持していると話している。

デジタルサイネージで台米の業者が協力覚書

台湾の名門大学、今年の卒業生代表に日本人留学生

6月に入り、台湾ではいよいよ卒業シーズン。6月第1土曜のきょうは台北市内の国立台湾大学でも卒業式が行われた。卒業生代表として挨拶に立った日本人留学生の大西翔さんは、台湾で学んでいるうちに助け合いと社会貢献の大切さを実感したと強調した。

日本での進学の道を選ばずに5年前、大学教員の父親とともに来台した大西さん。当初中国語はできなかったが、わずか10カ月で華語検定の中高級に合格、台湾大学中国文学科に入学した。

入学当時は中国語で行われる授業について行けるように猛勉強したが何度もくじけそうになった。また、留学生は特別待遇を受けて入学し、地元学生よりレベルが低いと見られがちなのに対して、大西さんは悔しく思い、留学生の鑑となれるよう自分を励ましてきた。

大西さんは台湾大学の豊富なリソースを利用し、幅広く様々な知識を身につけるよう努めたが、学業以外にも多くの課外活動に参加。工事現場で建材を運んだり、ネパールの孤児院でボランティア活動をしたりしながら、バトミントン部で活躍し、台湾大学日本人会の幹部も務めた。

大西さんは台湾で学んだ経験が自分の物の見方を大きく変えたと語る。以前は自分さえ頑張れば成功を手にできると考えていたが、授業のノートを取ることひとつにしても友人の助けが欠かせない留学生活を送っているうちに、人生の一歩一歩全てが他の人の助けを借りなければ成り立たないと気がついた。また、ボランティア活動を通じて、人生の意義とは個人の成功だけではなく、自分が得たものを社会へ還元し他の人に幸福をもたらすことだと考えるようになった。

卒業後は日本の大手銀行に就職が内定している大西さんは、この留学で経験したことや感じたことを多くの人たちと分かち合い、台湾の美しさと優しさをもっと多くの人々に知らせていきたいと誓った。

馬総統、「悲しい歴史を忘れるな」 日中戦争記念行事で

台北市内の中正紀念堂で7日、黄埔建軍90周年および対日抗戦(日中戦争)77周年記念行事が行われ、挨拶に立った馬英九総統は、来月7日で77年となる日中戦争について「中華民族の歴史上、動員数が最も多く、犠牲・影響が最も大きかった聖なる戦い」とした上で、「侵略者の誤りを許すことはできるが、辛く悲しい歴史を決して忘れてはならない」と述べた。

この行事は、軍事学校の卒業生からなる「中華民国中央軍事院校校友総会」が主催したもので、出席した黄埔軍校(陸軍士官学校)第12期卒業生のカク柏村・元行政院長(94)は、台湾で日中戦争の記憶が風化しつつある現状を念頭に、若い世代に対してその歴史を重視するよう呼びかけた。(カク=赤におおざと)

式典では、「国家」などいわゆる愛国歌曲が斉唱され、退役将官らの音頭で出席者全員が「中華民国万歳」、「台湾人民福祉万歳」などと声高らかに唱和した。

国発会トップ、民進党の国是会議不参加批判

台湾海峡両岸サービス貿易協定への反対運動を受けて政府が開催を決めた、経済貿易国是会議に最大野党・民進党をはじめ野党は参加しない方針。写真は5月18日に行われた同会議開催に向けての第1回顧問会議。2回の顧問会議を経てスケジュールも決定済みだが、野党の妨害で「骨抜き」となる恐れも。

野党・民進党が、経済貿易国是会議への参加を拒否していることについて、国家発展委員会(国発会)の管中閔・主任委員が、最大野党の不参加は会議の全体的な意義に影響すると批判した。

民進党は4日の中央常務委員会で、7月末に行われる予定の経済貿易国是会議への参加を拒否する方針を固めた。また、同じく野党の親民党と台湾団結連盟も参加しないという。

管・主任委員は、会議は経済の問題を純粋に話し合おうというものだとした上で、「市場開放をはじめ、台湾の未来について多くの面で意見が一致していないわけであり、みなが参加して話し合おうとせず、互いに猜疑心を持っているだけというのはよい方法だとは思わない」と述べた。

経済貿易国是会議は、今年3月に起きた台湾海峡両岸サービス貿易協定に反対する運動を受けて政府が開催を決めたもので、話し合いには政党や民間の幅広い参与が期待されている。

なお、民進党では、民進党籍の自治体の首長がこれに参加するかどうかについては制限を設けないとしており、管・主任委員は、こうした人たちの参加を歓迎する姿勢を見せた。

台湾人の心、中国から離れる?「自分は中国人」激減

台湾でこのほど行われたアンケート調査で、「自分は中華民族だ」と考える人は8割に達したものの、「中国人だ」と考える人の割合は前年同期に比べて14.3ポイント下落し、46.8%に激減した。写真は史跡を見学する高雄の学生。
2014年6月6日、環球時報(電子版)によると、台湾でこのほど行われたアンケート調査で、「自分は中華民族だ」と考える人は8割に達したものの、「中国人だ」と考える人の割合は前年同期に比べて14.3ポイント下落し、46.8%に激減したことが分かった。

台湾紙・中国時報によると、調査報告書は台湾競争力フォーラムが5日発表した。報告書は「台湾人は現実的な利益を考慮している」と指摘。中国でビジネス、活動する際は「自分は中国人だ」と名乗るが、心の中では自分は台湾人だと考えているとした。回答者の52.5%が「現実に向き合ってのことで、理解できる」と答えている。

また、年代別にみると30代では回答の変化が最も大きかった。「自分は中国人だ」と答えた割合は減少して2割、「中国人ではない」とした人は増えて16%となった。

台湾の民族意識について、台湾の専門家は「20代以下の若い世代で変化が特に激しい」と指摘。3月に学生らが立法院を占拠した「ひまわり学生運動」にみられるように、若者の間で反中意識が高まっているとした。さらに、自分を「中国人」、「中華民族」ととらえる割合がともに下がっているため、「台湾人の心が中国から離れたがっているのは明らかだ」とする見方も出ている。

台湾「鉄道の日」記念で阿里山森林鉄道、SL列車運行へ


台湾鉄路管理局・阿里山森林鉄路管理処では6月9日の鉄路節(鉄道の日)を記念して、当日、嘉義−北門間および阿里山の沼平支線でヒノキ製の客車を牽引した蒸気機関車の列車を運行する。

阿里山森林鉄道は日本統治時代の1912(大正元)年に平地の嘉義から海抜2000メートルの二万平まで約67キロメートルが完成し、木材の運搬を始めてから百年余りの歳月が経った。台湾中南部・嘉義の阿里山は、宜蘭の太平山、台中の八仙山と並んで当時、「台湾三大営林場」の1つとされ、その貴重な木材を伐採・運搬するため阿里山に鉄道が敷設された。

鉄道の日を祝うため、阿里山森林鉄道の嘉義−北門間では、9日午前9時30分〜午後3時30分、蒸気機関車がヒノキ製の客車4両を牽引して5往復する。片道大人15台湾元(約50円)。

また、阿里山森林遊楽区(遊歩道エリア)を走る沼平支線でも、通常の区間車(普通列車)用の車両の代わりに、同じく客車4両を牽いたSLが4往復する。大人料金で片道50元(約170円)、往復80元(約270円)。

徹底検証 台湾・ひまわり運動はなぜ社会運動となったのか

台湾の「ひまわり運動」は、規模としても影響力としても、近年まれにみる学生運動として注目を集めた。「ひまわり運動」が大規模な社会運動として台湾世論の支持をうけた背景に何があったのか。

 大学生たちが国会を占拠しているーーーー2014年3月に台湾でおきた、学生らによる立法院占拠事件は、世界中に衝撃を与えた。馬英九政権は3月17日、「中台サービス貿易協定」に関する委員会審議を強制的に打ち切った。これに抗議した学生らが3月18日、台湾の国会に相当する立法院になだれこんだ。学生たちは世論の支持を背景に、24日間にわたり議場の占拠を続け、一連の抗議活動は「ひまわり運動」と呼ばれた。

 「サービス貿易協定」は、中台間における「経済協力枠組み協定(ECFA)」の一環として2013年6月に締結された。台湾は中国に通信・病院・旅行・運輸・金融などの市場を条件付きで開放するとされた。台湾の64項目に対し、中国は80項目を開放するなど、台湾に有利な協定と評価する声もあった。しかし、国内弱小産業への影響や、貧富の差の拡大といった問題が根強く懸念されていた。中国資本が出版部門に進出し、言論が抑圧されるとの声もあった。
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(経済が政治問題に)

 台湾の経済は中国向け輸出に依存しているといわれる。事実、台湾の輸出はGDPの66パーセント以上を占め、このうち約4割が中国と香港への輸出だ。台湾経済が専門のアジア経済研究所・新領域研究センター次長の佐藤幸人氏は、台湾の高い輸出依存度の背景に中台の分業構造があると指摘する。

「台湾の輸出に占める中国向けの割合は2000年以降、急激に上昇した。それまで台湾国内でおこなわれていたノートブックパソコンの主力工場が、短期間のうちに中国に移転したからだ。部品を台湾から輸出し、中国で組み立てるため、半導体をはじめとする電子部品の中国向け輸出が増加した。現在では、台湾の輸出の約4割を占めるエレクトロニクス製品のうち、半分以上が半導体をはじめとする組み立て用の電子部品だ。台湾から輸出された部品の多くは、欧米向け製品の生産に使用されている」

 台湾のエレクトロニクス産業は「受託ビジネス」が多い。鴻海(ホンハイ)は、電子機器の組み立ての受託をおこなうEMSとしては世界最大の企業だ。アップルやHPから発注された電子機器を、中国の主力工場で生産している。また、台湾は半導体の世界的なサプライヤーとして、国内で製造した部品を中国の工場へ輸出する体制が確立している。TSMCは、半導体の受託製造を専門にするピュアファウンドリーとして圧倒的なシェアを誇っており、クアルコムなど半導体の設計を専門にするファブレスから発注を受けている。中国向けの輸出は比率としてはもはや拡大しなくなったが、中台の分業体制は今後も続くというのが佐藤氏の見立てだ。

「中国国内の賃金も急速に上昇している。だが、台湾の輸出依存度が急激に下がることはないだろう。台湾企業にとって中国への進出は言語をはじめとしたアドバンテージがある。サポーティングインダストリーの観点からも好ましい。部品供給基地としての台湾と、組み立て工場の中国という分業体制は今後も続くだろう。中国への工場移転は台湾にかぎった話ではない。だが、中国と台湾のロジックが経済を政治的な問題にした。台湾世論には、大企業の経営者が中国との関係を深めれば、台湾政府が中国に妥協的になるという危惧がある」(前出・アジア経済研究所・佐藤氏)


 馬英九政権になってから、中国資本による台湾への投資がはじめて可能になった。サービス貿易協定は中台の経済関係を一層深めるものだった。だが、統一の意志を明確にする中国側の姿勢を考えれば、台湾世論が中国との経済関係の緊密化を危惧するのもうなずける。
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(馬英九政権の焦り)

 「ひまわり運動」では、「反服貿(=サービス協定反対)」と並び「反黒箱(=反密室政治)」というスローガンが掲げられた。馬政権が業界団体の同意を得ずに独断でサービス貿易協定を締結をしたことから、密室政治との批判が出ていた。立法院周辺にいた大学院生(28)が「馬総統は、自分の価値観を強引に押しつけている」と話すなど、学生たちの間にも馬英九政権に対する不満は高まっていた。台湾政治に詳しい東京外国語大学の小笠原欣幸准教授は馬英九政権のこの一年の動きに注目する。

「馬英九政権は一期目で中国からの観光客の増大という成果をあげたが、中国との統一につながる政治協議には応じないという姿勢は堅持していた。しかし、最近になって馬習会談の実現や、APEC出席などの歴史的功績を希望するようになり、中国側へ歩み寄りを見せていた。馬英九総統は2013年11月、香港誌『亞洲週刊』でAPEC出席の意向を表明した。だが、APEC出席には中国側の了解が必要だ」

 小笠原欣幸准教授はこう述べ、馬英九政権がこの一年間で中国の習近平政権との駆け引きに前のめりになったと指摘した。台湾の総統は憲法上の規定で三選ができない。低支持率のまま任期を終えれば厳しい歴史的評価を受けざるを得ない。馬英九総統は、中台関係で大きな実績を上げて形成を逆転したいという焦りがみえた。

「中国側も前向きな姿勢だった。中台の初の担当閣僚会談の場を設けていた。中国の最高指導者・習近平も中台間の問題は次の世代(=次の政権)に先送りできないと発言した。だが、台湾世論はこうした中台の政権の動きに不信を深めた。馬英九総統がAPEC出席のための『おみやげ』として、中台関係の見直しを迫られるのではないかという疑念が広がった」(前出・小笠原准教授)

 馬政権の支持率は10数%を推移していた。昨年9月には王金平立法院長との政争にも敗れた。国内の支持基盤が揺らいでいる馬英九総統は、中国側へ多大な「譲歩」を強いられる可能性があった。馬総統は国益を犠牲にし、自身の功績に走るのではないかという不安が台湾世論を覆った。
若者世代の不満

 「ひまわり運動」のリーダー・林飛帆は1988年生まれの26歳だ。台湾で「苺世代」とも呼ばれるこの世代の若者たちは、1987年に解除された戒厳令を知らない世代だ。若者たちは少子化や格差拡大といった環境のなかで育ち、雇用状況の相対的な悪化に直面している。政治への不満やグローバリズムへの懐疑といった意識を強く持った世代だ。彼らが学校教育をうけた90年代には、台湾の民主化が進み、それまで学校教育で禁止されていた台湾語の課外授業もおこなわれるようになった。中国と異なった文化や歴史を持つ「台湾人」としてのアイデンティティも他の世代に比べて色濃くある。


 彼らの不満は社会運動というかたちで表出された。2008年の野いちご運動、2009年のカジノ反対運動、2012年の 反メディア寡占運動、2013年の新兵ハラスメント死亡に対する抗議運動ーーーー「ネット世代」の彼らは、SNSを活用した動員の技術に長けていた。「サービス貿易協定反対運動」も、協定が締結された2013年6月から存在していた。だが、当初の運動は限定的な広がりをみせただけで、世論を巻き込むまでには至らなかった。その理由の1つには、世代間による問題意識の差があったと思われる。

 だが、今年3月の馬政権による委員会審議の強制打ち切りを契機として、「サービス貿易協定反対運動」は「ひまわり運動」という社会運動に発展した。学生たちの立法院の占拠という超法規的な行動に、世論は一定の支持を与えた。統府前で3月30日におこなわれた大規模デモにはで50万ともいわれる数の人々が集まった。

 馬政権による協定審議の強制打ち切りが、若者たちの不満と世論の不信を結びつけたーーーーそれが「ひまわり運動」が大きなうねりを生み出した1つの理由といえるかもしれない。





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