NTTデータ、中華電信とSDN技術開発・応用で提携
日本のNTTデータは、中華電信研究院と、ソフトウエアでネットワーク構成を制御する「ソフトウエア・ディファインド・ネットワーク」(SDN)の技術開発・応用で提携することを決めた。双方は2013年4月からSDN技術開発・応用について水面下で協力を続けてきた。提携の成果は双方の母体であるNTT、中華電信のインターネット事業に活用していく。
台湾鉄道が観光フリー切符限定発売 ローカル線が乗降自由に
開業127周年を迎える台湾鉄路管理局では、9日の鉄路節(鉄道の日)に合わせ、同局が運行する7つのローカル線で6月9日から9月8日まで乗り降りが自由になる特別切符「ラッキーセブン・トレイントラベルパスポート」を発売する。
この特別切符は、台鉄の支線沿線の文化や風景を楽しんでもらおうと発売されるもの。対象となるのは平渓、深澳、内湾、六家、集集、沙崙、旧山線の7路線。
販売は1270枚の数量限定で、価格は1270台湾元(約4300円)。台北駅と高雄駅の「台鉄夢工場」、台中駅の駅弁販売店で9日から購入可能。購入者には特典として、基隆、台北、新竹、台中、嘉義、台南、高雄駅の日本統治時代の駅舎をデザインした特製しおりが贈られる。
台湾の謝淑薇、女子ダブルス決勝へ
テニスの全仏オープン第13日は6日、パリで女子ダブルスの準決勝が行われ、台湾の謝淑薇(シェ・シュウェイ)と中国大陸の彭帥(ポン・シュアイ)のペアが2時間近い熱戦の末、スペインのガルビネ・ムグルナとカルラ・スアレス・ナバロのペアを6−2、5−7、6−2で下し、決勝進出を決めた。
台湾の選手が同大会の決勝に進むのは初めてで、謝・彭ペアは、今回の歴史的勝利で先月のマドリード・オープン準決勝で逆転負けした相手に雪辱を果たした。
謝は新竹生まれの28歳で、ダブルスの世界ランキングが台湾の選手で最も高い2位(1位は彭)。2008年に彭とペアを組んで以来、昨年のウィンブルドン選手権などWTAツアーの11の大会で決勝まで勝ち進み、そのすべてを白星で飾った。
台プラ4社、5月売上高で明暗=南亜が好調
台湾プラスチック(台プラ)グループ主要4社の5月売上高は前月比伸び幅で明暗が分かれた。最も好調だった南亜塑膠工業(南亜プラスチック)は電子材料の需要が旺盛で1.5%の増収。下半期の業績について、4社で唯一楽観的な見方を示している。
経済日報など各紙が伝えた。南亜の5月売上高は279億9,800万台湾元(約956億円)。呉嘉昭董事長によると、モバイル端末などのコンシューマエレクトロニクス製品や車載用電子製品、ハイエンドのネットワーク設備などの需要が拡大したことで、電子材料の販売が伸びた。またビスフェノールA(BPA)など石化製品の販売増も売上高全体を押し上げた。
台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)は0.3%の増収。ただ洪福源総経理は5月の業績について、芳香族炭化水素製品の価格の下落が響いたとして「理想的ではなかった」と述べた。
一方、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチック)と台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)はいずれも前月比で減収。台塑は、主に塩化ビニルモノマー(VCM)とポリプロピレン(PP)の製造設備で不具合が発生し、一部出荷が6月に延期されたことが、台塑化は製油プラントのメンテナンスによる関連製品の売り上げ減少がそれぞれ響いた。
福山雅治、海外初ライブで1万2000人を魅了
歌手の福山雅治が7日、台北アリーナ(台北市松山区)でデビュー以来初となる海外公演を行った。時おり中国語を交えて観客を盛り上げ、約1万2000人が甘い歌声に酔いしれた。
福山はステージを取り囲む観客に対して「台湾に戻ってきました。会いたかったよ」と中国語で挨拶をした後、日本ではファンから「ましゃ」と呼ばれていることを紹介し、台湾のファンにもそう呼んでほしいとアピール。「一起high[口巴]」(一緒に盛り上がろう)と会場を沸かせた。
台湾では役者としての知名度も高いことからテレビドラマ「ガリレオ」の主題歌「kissして」や「vs.2013〜知覚と快楽の螺旋〜」などを歌ったほか、台湾ドラマ「[イ尓]照亮我星球」の主題歌「破暁」も中国語と日本語で熱唱。同ドラマの瞿友寧監督や出演するチャン・チュンニン(張鈞ネイ)なども応援にかけつけた。(ネイ=寧の下半分が用)
アンコールでは「生きてる生きてく」や「家族になろうよ」などを披露。風船を使った演出もあり会場は一体感に包まれた。台湾でも多くの観客を魅了した福山、14日と15日には香港で公演が行われる。
台湾の芸術家、来年よりスイス常駐へ 文化部とCERNの協力で
台湾・文化部と欧州原子核研究機構(CERN)は6日、芸術科学協力プログラムの「Accelerate@CERN」に調印した。この計画に参加するのはギリシアとスイスに次いで台湾が3カ国目。芸術と科学との“出逢い”から思いもかけない新しい成果の誕生が期待される。
5日から14日までの予定でスイスとドイツを訪問している龍応台・文化部長は蔡筱穎・駐仏パリ台湾文化センター主任らとともに同日午後、スイス・ジュネーブ郊外のCERNに到着。出迎えたロルフ・ホイヤー所長が同機構とプログラムについての説明を行った。ホイヤー氏は台湾には71もの科学機関がCERNと協力関係を有しているとしてその成果を評価した。「Accelerate@CERN」は9月以降参加者の募集を開始し、共同選考で選出された2名のアーティストが来年よりCERNに常駐する。
龍部長は今回の締結は全く思いがけないもので、昨年台湾を訪問したCERNの科学者をもてなした際にCERNのアーティスト駐村計画について知り、パリ台湾文化センターを介して担当者の訪台が実現、面会したデジタルアーティストが好印象を残したと経緯を話した。さらに、このプログラムで台湾の芸術家が世界中の科学者が集まる先端科学とフロンティアの心に満ちたCERNの環境に身を置けば、彼らが受ける啓発・衝撃はどこよりも大きいに違いないと述べた。
龍部長は芸術人文分野は一見すると基礎科学と同様、実際の生活には役に立たない無用の物に見えるかもしれないが、文学・歴史・哲学・芸術は革命を巻き起こす力があり、国家の振興をもたらすもので、この点において芸術家と科学者は本質的な共通点があると語った。
この日の調印式には青春期を台湾で過ごした経験を持つノーベル物理学賞受賞者のサミュエル・ティン(丁肇中)氏も出席。ティン氏は長年CERNで宇宙用の磁気スペクトロメータ(AMS)に関する計画を主宰している。
「伝統を守れ」 先住民が道路封鎖で観光客の自然破壊に抗議
台湾東部の花蓮県秀林郷で7日、観光客の増加による環境破壊に抗議するため、地元住民らが道路を封鎖し車両の通行を阻止する騒ぎがあった。住民たちは将来的に徒歩の観光客だけを迎え入れたいと訴えている。
騒ぎがあったのは台湾原住民(先住民)のタロコ族が多く住む銅門村慕谷慕魚(ムクムギ)地区。住民代表の鍾徳光さんは2006年に観光客の受け入れを開放して以来、1日に100台余りの自動車、3000人以上の行楽客などが押し寄せるようになったと話す。
しかし、観光客の増加で直面したのが、ゴミや大気汚染、渋滞、騒音などの問題。伝統の文化や土地が破壊されるのではないかと危惧する声が地元住民からあがった。
地元集落では先月25日、“先祖の霊が宿る”場所を外部の人に侵害されたくないとして、観光客の受け入れを一時的に見合わせることを決定。入山許可証の発行も取り止め、山林などの自然を休ませる方針を固めた。
7日の抗議活動では地元警察が出動する騒ぎとなり、入山を予定していた約100人が影響を受けた。
警察側は8日、同地区への立ち入りは毎日午前と午後にそれぞれ300人だけしか受け入れておらず、週末には自動車の進入管理を特に強化していると説明。また、環境破壊の問題に関しては立て看板などを設置して注意を促すと対策を提示し、住民らに理解を求めている。
台湾の名門大学、今年の卒業生代表に日本人留学生
6月に入り、台湾ではいよいよ卒業シーズン。6月第1土曜のきょうは台北市内の国立台湾大学でも卒業式が行われた。卒業生代表として挨拶に立った日本人留学生の大西翔さんは、台湾で学んでいるうちに助け合いと社会貢献の大切さを実感したと強調した。
日本での進学の道を選ばずに5年前、大学教員の父親とともに来台した大西さん。当初中国語はできなかったが、わずか10カ月で華語検定の中高級に合格、台湾大学中国文学科に入学した。
入学当時は中国語で行われる授業について行けるように猛勉強したが何度もくじけそうになった。また、留学生は特別待遇を受けて入学し、地元学生よりレベルが低いと見られがちなのに対して、大西さんは悔しく思い、留学生の鑑となれるよう自分を励ましてきた。
大西さんは台湾大学の豊富なリソースを利用し、幅広く様々な知識を身につけるよう努めたが、学業以外にも多くの課外活動に参加。工事現場で建材を運んだり、ネパールの孤児院でボランティア活動をしたりしながら、バトミントン部で活躍し、台湾大学日本人会の幹部も務めた。
大西さんは台湾で学んだ経験が自分の物の見方を大きく変えたと語る。以前は自分さえ頑張れば成功を手にできると考えていたが、授業のノートを取ることひとつにしても友人の助けが欠かせない留学生活を送っているうちに、人生の一歩一歩全てが他の人の助けを借りなければ成り立たないと気がついた。また、ボランティア活動を通じて、人生の意義とは個人の成功だけではなく、自分が得たものを社会へ還元し他の人に幸福をもたらすことだと考えるようになった。
卒業後は日本の大手銀行に就職が内定している大西さんは、この留学で経験したことや感じたことを多くの人たちと分かち合い、台湾の美しさと優しさをもっと多くの人々に知らせていきたいと誓った。
馬総統、「悲しい歴史を忘れるな」 日中戦争記念行事で
台北市内の中正紀念堂で7日、黄埔建軍90周年および対日抗戦(日中戦争)77周年記念行事が行われ、挨拶に立った馬英九総統は、来月7日で77年となる日中戦争について「中華民族の歴史上、動員数が最も多く、犠牲・影響が最も大きかった聖なる戦い」とした上で、「侵略者の誤りを許すことはできるが、辛く悲しい歴史を決して忘れてはならない」と述べた。
この行事は、軍事学校の卒業生からなる「中華民国中央軍事院校校友総会」が主催したもので、出席した黄埔軍校(陸軍士官学校)第12期卒業生のカク柏村・元行政院長(94)は、台湾で日中戦争の記憶が風化しつつある現状を念頭に、若い世代に対してその歴史を重視するよう呼びかけた。(カク=赤におおざと)
式典では、「国家」などいわゆる愛国歌曲が斉唱され、退役将官らの音頭で出席者全員が「中華民国万歳」、「台湾人民福祉万歳」などと声高らかに唱和した。
日本会議地方議員連盟会長らが台湾訪問 欧米・台の議員等と交流
日本会議全国地方議員連盟の松田良昭会長らが7日、台北市議会で開かれた地方議会議員に関するフォーラムに出席し、台湾や欧米からの参加者らと意見交換などを行った。
このフォーラムにはカク龍斌台北市長のほか、全米州議会連盟のブルース・スター氏、台湾22県市の地方議員などが参加。カク市長は、議員は市民と政府の架け橋だとした上で、このフォーラムを機に議員の質を高めたいと語った。(カク=赤におおざと)
また、若い議員やスタッフなどの人材をどのように育成するかについて、ブルース氏は若者に大学での講演や実習、インターネットを使った国連機関のプロジェクトなどを通じて立法の過程を理解させることが重要だと述べ、松田氏は国民運動的に各地の文化イベントや模擬議会の取り組みなどに参加してもらうやり方を提案した。
大学生男女の4割超 性行為後に後悔
台湾性教育学会が行った研究調査で、男子学生の4割超と女子学生の3割が異性と性行為をしたことがあり、そのうちそれぞれ4割以上がその後、後悔していたことがわかった。
大学生の性教育に関するセミナーで7日発表された2054人の大学生に対する調査結果によると、男性の初体験の平均年齢は17歳、女性は18歳だったという。
調査では、6割以上の男子学生が異性とキスあるいは軽度な愛撫などの異性との接触をしたことがあり、そのうち44.1%が性行為まで発展した。一方、約6割の女子学生も異性と接触した経験があり、そのうち3割が性行為に及んだ。
ところが、45%の男子学生と43%の女子学生はこの行為に後悔したと回答している。
男性が女性との性行為を行った理由の上位5位は、「異性に惹きつけられたから」、「いい感じだったから」、「快楽のため」、「楽しいから」、「魅力のアピールのため」で、女性の上位5位は、「異性に惹きつけられたから」、「快楽のため」、「いい感じだったから」、「魅力のアピールのため」、「愛情表現のため」の順だった。
84歳の国宝級蒸気機関車 大勢の乗客と共に「出発進行」
今年で開業127周年の台湾鉄道管理局は7日、9日の鉄路節(鉄道の日)を前に、動態保存されている84歳の国宝級蒸気機関車の運転会を花蓮駅で行った。
LDK59は1930(昭和5)年に日本の日立製作所で製造された蒸気機関車で、同年花蓮港に輸送された後は東部の台東線で活躍し、約30年前に退役した。
この国宝級の機関車はきょう午前、花蓮駅に久しぶりに姿を現し、ヒノキ製を含む客車4両に約180人を乗せて力強く走った。
花蓮で運行業務に携わる張建暦さんは、同僚6人の協力のお陰でLDK59が保存できていると語り、雄姿の復活を喜んだ。
便器の中にコブラ! 体長1メートル 消防が捕獲
嘉義県新港郷の民家で7日、この家の人がトイレに入ったところ便器の中にヘビがいるのを見つけ、消防に通報する騒ぎがあった。駆けけた消防隊は1時間にわたる悪戦苦闘の末、体長約1メートルのコブラを捕獲した。住民にけがはなかった。
トイレに黒い物体があるのを見つけたのは、この家に住む女の子。知らせを聞いて様子を見に来た祖父は当初、ニシキヘビかと思ったという。見えていたのは尻尾の部分だけで、頭と体は下水管の奥にあったため自分で取り除くことができず、消防に通報した。
消防が調べたところ、その形状からヘビは猛毒を持つコブラだということがわかった。尻尾をつかんで引き抜こうとしたが、ヘビは必死に抵抗。水を流したり、お酢を流したりしたが効果はなく、約1時間後に熱湯を流し込んでようやく捕獲した。
新港消防分隊の陳欽明分隊長は、夏はヘビの活動が活発になる時期で、比較的涼しいトイレや浴室に入り込むことがあるとして、もし見つけた場合は速やかに消防に通報してほしいと呼びかけている。
高級クルーズ船、シルバー・ディスカバラーが台湾初寄港
高級クルーズ船の「シルバー・ディスカバラー」が8日、台湾東部の花蓮港に入港した。同船を運航するシルバーシー・クルーズの客船が台湾に寄港するのは今回が初めてで、約80人の乗客が花蓮観光を楽しんだ。
シルバー・ディスカバラーは排水量5218トン、全長102.9メートル、乗客定員数120人。小型の客船だが1日1人当たりの宿泊費は約2万3000台湾元(約7万9000円)からと、一般のクルーズ船のおよそ5倍に相当する上質な船旅を提供している。
今回花蓮港に到着したのは5月25日にインドネシアを出発したツアー。台湾原住民(先住民)のダンスに出迎えられた乗客の多くは花蓮市内や太魯閣(タロコ)渓谷で観光を楽しんだほか、日本人乗客6人は鉄道に乗り換えて北上し、桃園空港から空路で日本へ帰国したという。
環境保護イベントで老木に有機肥料の“誕生ケーキ”
5日の世界環境デーを受けて南投県南投市では8日、環境保護を訴えるイベントが催され、同市・中山公園の樹齢103年になるヤツデアオギリの木の誕生日が祝われた。市民らはバースデーケーキに見立てた有機肥料を老木に供え、周辺の清掃を行った。
このイベントでは老木のスケッチ、清掃活動、ベジタリアン料理の試食などの活動が行われたほか、雷蔵寺(南投県草屯鎮)の法師らがヤツデアオギリの木の前で幸福を祈願し、各企業からは有機肥料の“ケーキ”や大きなハートの形をしたパイナップルが供えられて人々の注目を浴びた。パイナップルの試食も行われ、肥料は小分けされて市民らが自宅の植物用として持ち帰った。
ヤツデアオギリ(掌葉蘋婆)は3〜4月ごろ赤い花を咲かせ大きな実をつける熱帯・亜熱帯の樹木。台湾では昔から街路樹などに利用され、開花期に強い匂いを放つことでも知られる。
中国大陸側が各種協議を中断・・・台湾当局、対策に「おおわらわ」
台湾紙「経済日報」によると、中国大陸側はこのところ、台湾と進めてきた各種協議を中断している。国民党による馬英九政権が2008年に発足してから初めて事態で、台湾当局は対策に「おおわらわ」の状態という。
台湾では、馬英九総統が大陸側とのサービス貿易協定の締結を強引に進めたとして、学生らが猛反発。3月18日から4月10日まで、日本の国会に相当する立法院を占拠する異常事態になった。立法院側(王金平立法院長)が、大陸側との協議を監視する法令を作ると約束したことで、学生らは立法院占拠を解いた。
なお、王立法院長は馬英九総統と同じ国民党の所属だが、馬英九総統(党主席)と激しく対立し、党籍剥奪問題をめぐって裁判で争っている(一審は王立法院長の勝訴で、党籍剥奪は認められず)。
これまで大陸との各種協定については「外交ではない」との「中華民国としての建て前」にひきずられ、行政院(台湾政府)の決定に立法院が影響をもたらすことは難しかった。大陸側との協議を監視する法令が成立すれば、行政院の動きは大きく制限される可能性がある。
大陸側は、航空、観光、海運、郵政などの重要な議題についても台湾側との協議を停止した。2014年後半に「立法院における、台湾・大陸の協定を監視する法令と、サービス貿易協定の議事の進み方を見て、協議を続けるかどうか改めて決定」との考えを示したという。
現在は、台湾と大陸を結ぶ航空便の増便、大陸からの旅客についての、台湾側の受け入れ人数と、「台湾に滞在した後、別地域への移動」するのとの可否、大陸側における「台湾への自由旅行を向止める地域の拡大」など、多くの協議が中断している。
台湾・立法院におけるサービス貿易協定の審議は、1カ月以上にわたりストップしたままであり、さまざまな分野における中国大陸側と台湾側の協議が再開されるめどは立っていない。
馬英九政権はこれまで、中国大陸との交流を強化することで、経済水準を維持しようと腐心してきた。そのため、中国大陸との協議中断という事態を補完するために、さまざな対策を取りつつあるという。
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◆解説◆
馬英九総統と王金平立法院長は、国民党が民進党に政権を奪われた時期から、一致団結して各選挙戦を戦い抜き、政権奪回に成功させた「黄金のコンビ」だった。
不仲になったのは、王立法院長が国会運営において、野党である民進党の立場などをよく配慮したため、馬英九総統が「通したい法案がさっぱり通らない」とのいらだちを抑えられなくなったからだとされる。
王立法院長は、馬英九総統について「職権乱用をしてまでも、民進党を攻撃する。手段を選ばない」と批判的だった。
馬英九総統は本籍地が湖南省。両親が共産党勢力から逃れて脱出した香港で生まれ、直後に台湾に移った。台湾で「外省人」と呼ばれる、共産党との戦いに敗れて台湾に逃れた国民党関係者や支持者とその子孫のひとりだ。
王立法院長は、台湾南部の高雄市の出身。日本統治下の1941年生まれだ。日本が中国(当時は中華民国)に引き渡す1945年以前からの台湾住民とその子孫を指す、「本省人」の一員ということになる。そのため、馬英九総統と王金平立法院長は「発想の出発点が、そもそも異なる」との指摘がある。
国民党は、「台湾は中国の一部。長期的な視野では大陸との統一を目指す。ただし共産党主導の統一には反対」との立場だ。
ただし王立法院長は国民党による「台湾の地位問題についての理解」には必ずしも同調しておらず、「台湾独立も選択肢の1つ」と発言したことがある。馬総統は、「中華民国にとって」を基準に判断しがちになるのに対し、王立法院長は「台湾にとって」が最優先と解釈することもできる。
台湾の総統には極めて大きな権限があるため、失政を招いても罷免は事実上、不可能とされる。任期は4年間で、2期までが認められている。そのため、1期目には次の総統選があるために民意に配慮するが、2期目には自らの考えに固執して暴走しかねず、その場合には歯止めが効かなくなるとの指摘がある。