高雄市「爆発原因は李長栄化学(LCYケミカル)の過失」
高雄市環境保護局の陳金徳・局長は2日に記者会見を開き、7月31日深夜に同市内で大規模な爆発事故が発生した原因について、流出したのがガスではなく可燃性化学物質プロピレンで、これは石化大手の李長栄化学工業(LCYケミカル)の過失が原因だとし、同社の責任を追及する考えを表明した。
陳・局長の説明によると、LCYケミカルは台湾中油(CPC)からプロピレンの供給をパイプラインで受けていたが、31日午後8時にプロピレンの輸送量が急減しており、漏れが発生したと考えられる。その後いったん輸送を停止させたが、LCYケミカルは午後10時15分に輸送を再開させた。陳・局長は、合計10トンのプロピレンが漏れたにも関わらず、LCYケミカルは管理責任を果たさず、環境保護局への通報を怠り、十分な対応措置を取らなかったと強調した。 なおLCYケミカルの李謀偉・董事長は3日午後に記者会見を開き、大きな社会不安を発生させたとして謝罪の言葉を述べた。また「事故の原因を知りたい」と述べたものの、台湾中油にパイプラインの定期的なメンテナンスを委託していると指摘し、責任の所在が自社にあることを認めなかった。
LCYケミカル、謝罪するも主因疑惑を否定
7月31日深夜から8月1日未明にかけて、台湾南部・高雄市の道路で広範囲な爆発が発生した。8月3日の段階で、28人が死亡、2人が行方不明、302人が重軽傷を負っている。事故の原因は、地下に埋設される、化学メーカー、李長栄化学工業(LCYケミカル)のパイプラインのプロペン漏れの可能性が高いとされている。
LCYケミカルの李謀偉・董事長は、3日午後、記者会見を開き、はじめて頭を下げ、謝罪の言葉を述べた。李・董事長は、事故の原因を誰よりも知りたい。すでに検察側の調査に合わせて地下のパイプラインの漏えい調査を実施しているとし、もし自社の過失が原因なら、すべての責任を負うと語った。
LCYケミカルでは、「謝罪は、爆発の被害者を気遣うものであり、自社が事故原因であることを認めるものではないと強調、責任所在は検察側の発表を待つとしている。また、爆発した4インチのパイプラインは20年使用しているが、メンテナンスは国営・台湾中油が行っていると説明している。
しかし、このことについて、台湾中油では、2日に声明を発表、プロペンを輸送するパイプラインは、所有権から使用にいたるまで、すべてLCYケミカルの所属であり、メンテナンスも同社がしているはず。両者の間にはメンテナンスに関するいかなる契約も交わされおらず、関連の費用ももらっていないと明らかにした。
なお、高雄地方裁判所の検察官は、3日、爆発を起こした4インチのパイプを差し押さえた。このパイプは、LCYケミカル所有で、腐食が激しく、爆発による大きな穴があいているという。このパイプは、なぜか、高雄市の下水管の内部を通っていた。ある石油化学メーカーは、パイプラインが2〜30年使っても、使い方が正しければ、腐食することはないが、長年水に接触していたとすると結果は違ってくると指摘している。
高雄大規模爆発 馬英九総統「総力挙げて支援する」
高雄市で起きた大規模な爆発事故で中央災害対策センターは、3日午前10時現在で28人が死亡、300人が負傷したと発表した。馬英九総統は関係する全ての機関に対し、被災地の復旧・復興作業に取り掛かるよう指示し、政府が総力を挙げて地方自治体を支援する考えを示した。
中央災害対策センターによると、負傷者のうちすでに176人が退院したものの、124人が治療のため入院を続けているほか、同日午前8時の時点で280人が指定の避難所を利用し、39人がホテルなどの宿泊施設に避難しているという。
馬総統は3日、会員制交流サイトを更新し、迅速な原因究明を求めたことを明らかにした上で、今回の事故を受けてほかの場所の地下に埋設されているパイプラインの安全性についても点検し、類似事故の発生を防ぎたいとする認識を示した。
また、「南部から北部、企業から個人、全ての国民が団結して支援に取り組んでいる」、「このような辛い時期ほど、台湾の人の心は強く結ばれる」と語り、復興への支援を激励した。
事故現場ではきょうも取り残されている人がいないか捜索活動が続けられている。台湾では今回の大規模爆発と澎湖で発生した旅客機墜落事故を受け、5日から3日間、全土で半旗が掲げられる予定。
高雄加油!日本の獅子舞で高雄市にエール
日本愛媛県松山市のパフォーマンス団体「大可賀獅子舞×鼓組」が3日、航海の女神を祀る、台北市内の松山慈祐宮で獅子舞を披露して、7月31日に爆発事件で大きなダメージを受けた、高雄市の無事平穏を祈った。
「大可賀獅子舞×鼓組」は、中国のバレンタインデーである、旧暦の7月7日、七夕にあたる2日夜に、台北市の大稲埕で行われる予定だった、花火大会でパフォーマンスを行う予定だったが、高雄の爆発事件で、この花火大会が急遽取りやめになった。
台北市の郝龍斌・市長は、3日午前、訪台中の愛媛県の神野一仁・経済労働部長、松山市の西泉彰雄・副市長、雲峰広行・副議長らと、松山慈祐宮に参拝し、高雄市のために祈りを捧げた。
「大可賀獅子舞×鼓組」も松山慈祐宮に参拝し、そこで活力あふれる獅子舞を披露した。最後にはメンバー全員が口をそろえて、中国語で「高雄加油(高雄がんばれ)」と叫び、高雄市民たちに熱いエールを送った。
メンバーの高谷周一郎さんは、マスコミのインタビューで、日本の獅子舞は神の化身であり、人々を守り、心を癒すとされている。獅子舞のパフォーマンスが、台湾の人々の心を癒し、高雄市が一日も早く元通りになってくれることを願っていると語っている。
聯発科、4Gチップ目標出荷量を2倍に引き上げ[IT]
ファブレスの携帯端末向けIC設計世界大手、聯発科技(メディアテック)の謝清江総経理は7月31日、今年のスマートフォン向け半導体チップの目標出荷量を、当初の3億セットから3億5,000万セットに引き上げたと明らかにした。うち、第4世代移動通信システム(4G)対応チップは1,500万セットから3,000万セットに上方修正した。ただ、製造コストが高い4G製品の比率が拡大することで収益への影響も指摘されている。
経済日報など各紙が伝えた。聯発科の第2四半期のスマホ向けチップの出荷量は8,000万〜9,000万セットだった。新興国市場での需要が強く、デュアルコア(2コア)やクアッドコア(4コア)の製品出荷が全体をけん引した。今四半期には4G対応のシステム・オン・チップ(SoC)の新製品の量産が始まり、第4四半期にはクアッドコアとオクタコア(8コア)の4G64ビット製品をそれぞれ発売する計画という。タブレット端末向けチップの今年の目標出荷量は、従来の4,000万セットを据え置いた。
同社の相次ぐ4G製品は米クアルコムへの対抗姿勢を示すものとみられるが、両社の価格競争の激化を懸念する指摘も上がっている。凱基投資顧問のアナリストは、「現在の聯発科の4GSoCは製造コストが高いため、来年の同社の収益に貢献するとは限らない」と慎重な見方を示した。聯発科製品の中国における販売を手掛ける、商社の大聯大投資控股(WPG)は、「中国の4Gインフラの整備は初期段階で、市場の伸びをあまり楽観視するべきではない」とみている。
■Q2純利益は前期比23.8%増
聯発科が7月31日に発表した第2四半期の連結決算は、純利益が前期比23.8%増の125億4,900万台湾元(約430億円)だった。
売上高は前期比17.7%増の541億3,300万元。スマホやタブレット端末向けの需要が強かったことなどが増収につながった。粗利益は20.7%増の268億2,400万元だった。製品ラインアップの構造転換を背景に粗利率は49.6%と1.3ポイント上昇した。本業のもうけを示す営業利益は18.0%増の127億6,000万元で、営業利益率は0.1ポイント上昇して23.6%となった。
聯発科は第3四半期の業績について、売上高が568億〜612億元、粗利率が47.5〜49.5%、営業利益率が23.0〜27.0%になるとの予測を示した。
訪日中の周美青・台湾総統夫人、「こどもコーラス」で歓迎受ける
訪日中の周美青総統夫人は3日、全日本合唱連盟が主催する「2014こどもコーラスフェスティバル」に出席し、盛大な歓迎を受けた。
周夫人は台湾原住民(先住民)の児童合唱団「原声童声合唱団」の名誉団長として昭和女子大学(東京都世田谷区)で開催された合唱イベントに出席。昭和女子大の坂東眞理子学長と全日本合唱連盟の岸信介理事長らが迎えた。
坂東氏によると、周夫人とは日本語で挨拶を交わし、同氏の著書である「女性の品格」をプレゼントしたほか、周夫人からは「翠玉白菜」のレプリカを贈られたという。
同イベントには日本各地から14組のグループ約500人が参加。「原声童声合唱団」は唯一の海外勢で、日本語曲「故郷」を含む4曲を披露した。
周夫人はこの日午後、東京国立博物館本館で展示されている日本美術や重要文化財である伝毛松の「猿図」、梁楷の「六祖截竹図」などを参観した。4日には「台北 國立故宮博物院−神品至宝−」の展示品変更に伴う特別内覧会に出席する予定。
周美青・総統夫人、日本で芸術外交
周美青・総統夫人は、3日午後、東京国立博物館の招きに応じて、日本美術展を参観した。東博は特別に、明朝以前に日本に伝えられた貴重な中国画、毛松作と伝えられる「猿図」、李迪の「紅白芙蓉図」、梁楷の「六祖截竹図」などを周・総統夫人に紹介した。
馬英九・総統の夫人、周美青・女史が、台湾の原住民族の子どもたちの合唱団、「台湾原声童声合唱団」の名誉団長として7月31日から日本を訪問している。3日には、日本の東京国立博物館(東博)の招きに応じて日本美術展を参観した。
現在日本で開催中の国立故宮博物院の収蔵品の特別展、「神品至宝展」は、8月5日から、一部の展示品の入れ替えが行われ、北宋の蘇東坡の「行書黄州寒食詩巻」など6点の書画を新たに展示する。東博では、4日、宣伝強化のための内覧会を開くが、銭谷真美館長は、これに周・総統夫人を招待、夫人からは出席の回答を得たほか、内覧会当日には、夫人が率いる台湾原声童声合唱団も歌声を披露する予定。
周・総統夫人は、6月に「国立故宮博物院神品至宝展」開幕式に出席する予定だった。1972年、両国の国交断絶後、中華民国のファーストレディーの初めての日本訪問ということで、両国の外交上の重要な一歩と見なされていた。しかし、開幕前夜、ポスターやパンフレットの一部に国立故宮博物院の正式名称にある「国立」の二文字が抜けていたことが発覚され、馬英九・総統はこれに抗議、夫人の開幕式出席も延期されることになった。このため、今回、周・総統夫人の東博訪問が持つ意義は特に大きい。
神品至宝展で新たに展示されるのは、北宋の蘇東坡の「行書黄州寒食詩帖(寒食帖)」、南宋の「江帆山市図巻」、南宋の馬麟の「静聴松風図軸」、南宋の牟益の「擣衣図巻」、金の時代の武元直の「赤壁図巻」、宋の呉琚の「行書七言絶句軸」などで、展示は9月15日まで。
トラブル頻発の台湾新幹線 ポイント故障で運休や遅延
今年すでに10回以上の運行トラブルに見舞われている台湾高速鉄路で4日午前6時38分ごろ、台中駅で落雷が原因と見られる分岐器(ポイント)故障が発生し、少なくとも列車11本が運休したほか一部で遅延が生じた。
高鉄ではこの10日間でポイント故障など5回のトラブルに見舞われている。
3日午前10時49分ごろには、苗栗県内を走行中だった左営発台北行きの130号列車が自動列車制御装置(ATC)の故障により断続的にブレーキが作動したため、台中駅に引き返し、乗客500人に影響が出た。
仙台市からの訪問団 高雄爆発の被災地に義援金を寄付
宮城県仙台市から台南市を訪れていた訪問団が3日、大規模爆発事故が起きた高雄市に義援金を送ったことがわかった。
仙台市からの訪問団は7月31日〜8月3日の日程で台南市を訪問し、「仙台フィルハーモニー管弦楽団」のメンバーらが音楽イベントで3回の公演などを実施していた。
仙台市市民局の小林弘美市民協働推進部長は、爆発事故の一報を聞き、訪問団のメンバーが驚きと悲しみを覚えたと話し、義援金を送ることにしたという。
仙台市と台南市は2006年に交流促進協定を締結し、緊密な交流を続けてきた。義援金は台南市政府を通じて高雄市政府に届けられるという。
神品至宝展、5日に一部展示品入れ替え
現在、日本の東京国立博物館で開催されている国立故宮博物院の収蔵品の特別展「神品至宝展」は、5日から一部展示品が入れ替えられる。故宮博物院の馮明珠・院長らは、4日に行われる展示品の入れ替え式典に出席するため、3日午前に東京に向かった。
台湾の原住民族の子どもたちの合唱団、「台湾原声童声合唱団」を率いて7月31日から日本を訪問している馬英九・総統の夫人、周美青・女史も、故宮代表団の名誉団長として、これらの展示品が正式に展示される前の内覧会に出席する。
「神品至宝展」は、6月24日開幕以来、のべ20万人を越える参観者が訪れている。8月5日から新たに展示されるのは、蘇軾(蘇東坡)の「行書黄州寒食詩巻」、南宋の「江帆山市図巻」、南宋馬麟の「静聴松風図軸」、南宋牟益の「擣衣図巻」、金の武元直の「赤壁図巻」、宋の呉琚の「行書七言絶句軸」などで、展示は9月15日まで。
故宮博物院によると、6点の作品のうち、蘇軾の「行書黄州寒食詩巻」は日本と深いかかわりを持っている。これは蘇軾生前の最も得意な書の作品で、乾隆年間に宮廷のコレクションとなり、1860年の円明園の火事により民間に流出、1922年に日本のコレクター、菊池惺堂氏の手に渡った歴史を持っている。1923年関東大震災のとき、東京が大火事に見舞われ、菊池惺堂氏は危険を顧みず、この作品を守った。第二次世界大戦後、中華民国の王世杰・元教育部長はこの作品を購入した。1950年にこの作品は台北に戻り、1987年に故宮博物院に所蔵されて国有となった。
東博の「国立故宮博物院神品至宝展」では、門外不出の秘宝、翠玉白菜の限定展示が話題になったが、5日から展示される蘇軾の「行書黄州寒食詩巻」がふたたび故宮博物院熱を招くことが期待される。