台湾、対日関係「最良の状態」
台北駐日経済文化代表処主催の「双十節」を祝うレセプションが7日、都内で開かれ、沈斯淳(しん・しじゅん)代表(台湾の駐日大使に相当)は「馬英九総統は就任以来、台日関係を特別パートナー関係と位置づけ、特に経済、文化、観光などの交流に力を入れており、現在、台日関係はこの40年余りの間で、最良の状態となっている」と述べた。代表は、九州国立博物館(福岡県太宰府市)で一般公開が始まった台北・故宮博物院展(産経新聞社など主催)などの文化事業を通じた相互理解の進展に期待を示した。
行政院:対岸のサイバー攻撃を全力で防ぐ
江宜樺・行政院長が、中国大陸のサイバー攻撃は全力で防ぐとしている。行政院国家情報通信安全会議の召集人を務める、科技部の張善政・部長は、さきごろ、中華民国政府のウェブサイトが、中共の軍部が組織するサイバー部隊による攻撃を毎日受けていることを認めた。
与党・国民党の林徳福・立法委員は7日、立法院での質疑で、江・行政院長に対し、政府の対抗能力について質問した。江・行政院長は、中国大陸のサイバー部隊は常に政府のウェブサイトにアクセスしている他、民間のウェブサイトも攻撃してサイバー攻撃の実力を磨くと共に、我が方の機密を盗み出そうとしていると説明した。しかし、江・行政院長は、台湾は全力でこれに対抗しており、最も重要な情報インフラが影響を受けないよう守りきる能力があると強調した。
江・行政院長は、「台湾海峡両岸関係は平穏無事ではない。表面的には静かでも、水面下では、思惑が渦巻いている。中共は、台湾の様々な活動に対する攻撃の動きを絶えず行なっている。これは陸海空軍の演習だろうが、サイバー部隊であろうが同じであり、我々が気を緩めることは無い」と述べている。
武力攻撃とサイバー攻撃を同時に受けた場合の対応について、江・行政院長は、政府と軍部のシミュレーションや演習で、それに似た状況への訓練を行なっており、重要な政府機関の機能がマヒすることはないと答えた。
また、反撃のためのサイバー部隊を設置するかどうかについて、江・行政院長は、政府の専門人員は訓練を受けているが、主な任務は防衛だと説明した。
行政院、内閣改組のうわさを否定
行政院の江宜樺・院長が、年末の統一地方選挙終了後、内閣を改組するうわさを否定した。衛生福利部の邱文達・部長は、使用済み食用油が混入された、いわゆる、粗悪な「廃油ラード」の問題で引責辞任した。その後任の人選はまだ決まっていない。行政院は年末の選挙終了後に内閣を改組すると伝えられている。
最大野党、民進党の立法委員は7日、立法院での質疑で、江宜樺・院長に対して、衛生福利部の部長の後任の人選は11月末、統一地方選挙が終わってから、或いは立法院の今会期が終わってから、内閣の改組を含めて全面的に検討する可能性について質問した。
それに対して、江・行政院長は、「衛生福利部の人選と人事が非常に単純で、それが早く決まるはずだ。11月末の選挙とは無関係だ。」と説明、衛生福利部の新任部長の人選の発表について、「早ければ一週間、遅くとも一ヶ月を超えない」と強調した。
リン・ユーチュン、セカンドアルバム来月発売 日本語も特訓中
「115キロの歌天使」の称号を持つ歌手のリン・ユーチュン(林育群)が、11月5日に日本でクリスマスソングなどを収録したニューアルバムをリリースする。10月からは日本の語学学校で日本語を特訓中だという。
日本のバラエティー番組に出演後、インパクトのある体形と歌声で一躍人気者になったユーチュン。昨年11月20日には日本語曲のアルバムをリリースし、日本で本格デビューを果たしていた。ニューアルバムには「恋人がサンタクロース」「冬のファンタジー」「サイレント・イヴ」など14曲が収録されている。
ユーチュンは10月から日本で1カ月の短期留学を始めており、会員制交流サイトのファンページでもその様子をうかがうことができる。台風18号が日本に上陸し、学校が休校となった6日も日本語の勉強に励み、「一生懸命頑張ります」とコメントしていた。
米国、台湾との幅広い協力関係に期待
「台湾・アメリカ国防工業会議」で、アメリカ側がより幅広い協力関係に期待している。中華民国台湾とアメリカの政府高官は6日、アメリカ・バージニア州のウィリアムズバーグで開催した「台湾・アメリカ国防工業会議」のレセプションで、それぞれ談話を発表した。
アメリカで政治軍事を担当するトッド・チャプマン首席国務次官補代理は、アメリカのアジアに対する政策を説明した。レセプションに参加した関係者の話によると、チャプマン氏は、アメリカのアジア・リバランス政策は長期的な約束であり、アジア太平洋地域におけるパートナーシップを強調するものだとした上で、アメリカとアジアの関係は安全保障、経済、価値観と尊厳という四つの面から見る必要があると話したという。
チャプマン氏はそして、アメリカは中国大陸との軍事面での関係を引き続き強化するが、それによって台湾との関係を犠牲にすることは無く、アメリカと台湾は災害救助などの面で将来、さらに幅広い協力関係が築けると述べたという。
今回の会議では、中華民国の自主防衛が強調されている。アメリカ側は、向こう2年間、台湾への大規模な武器供与は難しく、一部の参会者は、台湾が自主的に防衛力強化に乗り出すなら、アメリカの業者がそれに協力すると話したという。
会議に参加した、淡江大学国際業務及び戦略研究所の黄介正・准教授は、アメリカ側は、台湾が自主防衛を語ることに反対しておらず、2017年以降の武器供与について、新たなスタートと期待していると話した。
韓国人気番組司会者のボディガード、香港のクラブで記者に殴る蹴るの暴行
台湾メディアによると、韓国の人気バラエティ番組の司会者が香港で、記者に暴行を加える事件が起きた。7日付で網易娯楽が伝えた。
台湾メディアの報道によると、韓国の人気バラエティ番組「Running Man」の司会者5人が先ごろ、香港でファンミーティングに出席。その後、レストランで食事を楽しんだ後、地元のクラブに繰り出して明け方まで大騒ぎした。ところが、クラブを出る際に何人かの司会者が突然、近くにいた記者に殴り掛かり、警察が介入する事態に発展した。
一方、香港メディアは、記者に暴行したのは司会者に同行していた韓国人ボディガードだと報じている。ボディガードは暴行の後、何事もなかったかのように車に乗ってその場を離れようとしたため、香港の記者らが激怒。車の行く手を遮るなど一触即発の事態となり、駆けつけた警察官が仲裁したと伝えられている。
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台湾、包装食品の38%から可塑剤成分検出 マクドナルドの商品からも
深セン特区報は4日、台湾消費者文教基金会が3日に発表した、市販の包装食品に対する可塑剤検査の結果で、包装食品の38%で微量の可塑剤が検出され、可塑剤による深刻な状況が明らかになったと報じた。
同基金会によると、大台北地域の大型商店、ファストフードチェーン店、菓子店などの包装食品に対して可塑剤検査を行ったところ、34件のサンプル中38%にあたる13件で0.1−0.4ppmの微量の可塑剤が検出された。
検出されたサンプルのなかには、セブンイレブンで販売されているおにぎりや、マクドナルドのチーズバーガーなども含まれていた。
同基金会は、現在食物の可塑剤含有量にかんする標準がないことを紹介したうえで、関連当局に対して標準の制定を呼び掛けるとともに、業者に対しても可塑剤の発生源を調査して、管理強化に努めるよう要求した。
京都の有名レストラン、“ブッチ”多発で台湾観光客の予約受け付けず?
台湾の旅行情報サイト・東森旅遊雲は7日、予約をしても実際に飲食店を訪れないケースが多発しているため、京都の有名レストラン2軒が台湾からの観光客による予約を受け付けないことにしたようだと報じた。
報道によると、台湾のあるインターネット・ユーザーはネット掲示板・PTTにこのほど、「京都に旅行する時、嵐山にあるうなぎの名店に予約を入れようとしたら、『外国人、特に台湾人で予約をしても実際に店を訪れないケースが多発しているため、予約は受け付けていない』と言われた」と書き込んだ。
こうしたケースはこのうなぎ店だけでなく、同じく京都の有名なすき焼き店でもあるという。
日本を訪れる台湾客については9月、「沖縄の石垣島でレンタカーに乗っていて事故を起こし、車を捨てて逃げた人がいたため、現地のレンタカー業者が今後、台湾人には車を貸さないことも検討している」との情報が流れたばかりで、旅行中のマナー、台湾人のモラルが問われている。
ダイドーグループ、大江生医に9%出資[商業]
飲料大手、ダイドードリンコを中核とするダイドーグループはこのほど、台湾で健康飲料などの開発・製造を手掛ける大江生医(TCI)が発行する私募普通株の引き受けを決めた。ダイドーグループのTCI持ち株比率は9%となり、両社は関係強化と協業に向けた話し合いを加速させる。
TCIは6日に開催した臨時株主総会で、私募普通株の発行と董事(取締役)の追加選任などを決議した。ダイドーグループの資本参加により、ダイドードリンコの高松富也社長がTCIの董事に就任する。ダイドードリンコによると、資本参加はグループとして行い、出資額は非公表としている。
ダイドーグループ傘下の大同薬品工業は、4月にTCIと戦略的提携の覚書(MOU)に調印しており、機能性飲料の新商品の開発や将来の中国進出などを目指す。ダイドードリンコは、TCIへの資本参加を双方の関係強化に向けた第一歩と位置付けている。同社の広報担当者は「協業の具体的内容について、現時点で決まったものはない。TCIの株式を保有することで、今後より積極的に話し合いを進める」とコメントした。TCIの広報責任者は「大同薬品工業とは、生産現場の幹部同士が意見交換するなど、関係が深まっている。さらにダイドードリンコの高松社長が当社の董事に加わることで、中国進出をはじめとした戦略の検討が進むだろう」と述べた。
ラミゴがロッテと日台交流試合 台湾で31日から
台湾プロ野球のラミゴモンキーズは7日、千葉ロッテマリーンズと31日〜11月2日に桃園国際球場で交流試合を行うと発表した。ロッテにとっては初の台湾遠征となる。(レキ=土へんに歴)
ロッテは、キャプテンの鈴木大地内野手、角中勝也外野手、益田直也投手ら一部の主力選手が出場予定。一方、ラミゴは、2012年のアジアシリーズで準優勝に輝いた強豪チーム。今年6月にも2年ぶりの半期優勝を果たしている。
出場選手などの詳細については、今年の年間王者を決める「台湾シリーズ」の終了後に発表される。両チームはこれまでにもロッテ側が球団OBの荘勝雄氏をコーチとして派遣するなど交流を行っている。
中経院、通年経済成長率を3.46%に上方修正
台湾のシンクタンク、中華経済研究院が7日、今年通年の経済成長率を3.46%に上方修正すると共に、2015年の経済成長率についても3.53%の推計値を発表した。中華経済研究院の呉中書・院長は、現時点での経済情勢について、「台湾の経済成長率は一昨年の1%あまりから、昨年の2%あまり、今年の3%あまり、そして来年も3%あまりと、年々上昇している。このような趨勢は、台湾のみならず、多くの外国の経済実体でも見られる。中華民国台湾は輸出主導型の国家であり、世界経済が緩やかに回復するならば、台湾の経済も同じパターンになるだろう。」と説明した。
一方、行政院主計総処も7日に9月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.03%低下する、104.81と発表した。年間増加率は0.72%。これは過去7ヶ月来の最低。そのうち、昨年、台風が多く、野菜価格が高騰したため、比較の基準が高くなった。今年、野菜価格は昨年より20.89%と、大幅に値下がりしたため、食物類の消費者物価指数は、昨年に比べて1.40%しかあがっていない。これは過去8ヶ月来の最低。
しかし、卵類が昨年同期比11.15%、肉類は11.12%高くなっている。そのうち、豚肉の価格は73ヶ月来の最高を記録した。外食の費用も4.43%高くなっている。交通と通信類は、石油製品と燃料価格が昨年比6.19%下がった影響で、昨年に比べて1.33%低下し、過去5年来の最低となった。
なお、9月の卸売物価指数(WPI)は、昨年の同じ時期に比べて0.67%低下した。その主な原因として、石油製品とコンピュータ、電子製品と光学製品の価格の低下があげられる。
東京で台湾の国慶日祝賀会 福田元首相ら出席者多数
中華民国の建国記念日に当たる10月10日の国慶日を前に、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)主催の大規模な祝賀レセプションが7日、東京で開かれた。福田康夫元首相など各界から約1600人が出席した。
代表処の沈斯淳代表は、2008年の馬英九政権発足以来、台湾は日本との関係を特別なパートナーシップと位置付けていることに触れ、双方の関係は過去40年で最良の状態にあると強調。九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開催中の故宮博物院特別展や活発な人的往来などを取り上げ、関係のさらなる緊密化に期待を示した。
日台の関係強化を目的に超党派で結成された日華議員懇談会の平沼赳夫会長によると、同懇談会のメンバーは295人に達しているという。岸信夫衆議院議員は、日本版台湾関係法の制定について、研究段階だとしながらも、いかに最良の日台関係を構築できるか検討していると話した。
『KANO』近藤監督記念碑、松山市で除幕式
日本占領時代の1931年に日本の甲子園大会で準優勝した、嘉義農林学校野球部を率いた日本人監督、近藤兵太郎氏の記念碑が、近藤氏の故郷である日本の愛媛県松山市で作られ、台湾中南部・嘉義市の黄敏恵・市長が6日の除幕式に出席した。
この歴史は今年、台湾映画『KANO』となって大ヒット、日本では『KANO 1931海の向こうの甲子園』というタイトルで、来年1月に公開されることになっている。
嘉義市によると、映画『KANO』が今年2月22日に、嘉義市でプレミア上映会と、当時の凱旋パレードを模したイベントを行った際、日本の松山市からも関係者が参加した。『KANO』の日本での公開が縁結びとなり、今回、嘉義市の黄・市長は招きに応じて訪日、愛媛県の中村時広知事、松山市の野志克仁市長らと共に除幕式に出席した。除幕式には、近藤氏の親族の他、映画で近藤氏を演じた日本の永瀬正敏さん、並びに出演した台湾の俳優たちもかけつけた。
黄・嘉義市長は、松山市は優れた野球選手を数多く輩出している「野球王国」だと称えると共に、映画のセリフを引用して、変化の激しい今の時代、必要なのは「勝つことばかり考えず、負けないことを考える」ことだと話した。
黄・嘉義市長はそして、近藤監督が率いたのは台湾の原住民族、漢民族、そして日本人による混成チームであり、彼らは団結していたばかりでなく、気持ちも兄弟のようだったと説明、台湾と日本はこうした精神を学び、スポーツ、芸術、文化、及び経済分野での交流を強化し、多元的な関係を発展させていくべきだと呼びかけた。
野球のアジアシリーズが中止に 初の日台共催ならず
台湾のプロ野球リーグ「中華職業棒球大連盟」(CPBL)は7日、11月に台湾で開催予定だった「アジアシリーズ2014」の中止を正式に発表した。
同大会の運営委員会は、CPBLの黄鎮台会長(コミッショナー)の辞任や仁川アジア大会の影響による韓国の参加見送り、日本野球機構(NPB)が11月に日米野球開催を決めたことなどを考慮し、中止の判断を下したとしている。
今年の大会は初めて日台の共同で開催される予定だったほか、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の公認大会となっていた。来年以降の方針などについては、年明けに開かれる運営委員会で話し合われる。
アジアシリーズは2005年から開催され、09、10年の中止を挟み、今年で8回目を迎えようとしていた。これまで台湾、日本、韓国、中国大陸、オーストラリアなどのチームが出場し、昨年はイタリアのチームが欧州勢として初めて招待された。
台湾で活躍する日本人タレント、台湾産日本酒をPR
歯科技工士で、タレントとしても活躍する日本人、瀬上剛さんが5日、イメージキャラクターを務める台湾産日本酒の関連イベントに出席し、参加者らと共に台湾グルメなどを楽しんだ。
お酒を飲みながら食事をするのが好きだという瀬上さんは、中でも台湾産の日本酒「玉泉清酒」は、台湾らしい優しい香りのするお酒だとアピールした。イベントでは専門家によるお酒の味わい方に関するレクチャーなども行われ、会場を盛り上げた。
猫の絵画展開催で命の尊さ訴え
台北市中正区の戸政事務所(戸籍管理事務所)で今月31日まで、台湾のイラストレーターが描いた猫の作品20点が展示されている。
絵画の作者は余イン錚さん。本業はデザイナーだが、猫の持つ独特の曲線美に魅せられて野良猫などを題材にした絵を描き続けている。(イン=均の土へんを日へんに変える)
台湾ではペットを飼う人が増えており、戸政事務所では作品展を通じて自他の命を尊重し、猫の目線からその気持ちや考え方、美しさを感じ取ってほしいとしている。
台湾の弱小校を甲子園に導いた日本人監督の顕彰碑がお披露目
松山商業学校(現・松山商業高校)野球部の初代監督で、日本統治時代の1931(昭和6)年に嘉義農林学校(嘉農/現・嘉義大学)を甲子園へと導いた近藤兵太郎氏の顕彰碑の除幕式が6日、松山市内で行われた。
式典には台湾映画「KANO」で近藤監督役を演じた永瀬正敏さんなどのほか、エースの呉明捷を演じたツァオ・ヨウニン(曹佑寧)さんや黄敏恵嘉義市長らも台湾から招かれた。
黄市長は、「勝ちたいと思うな、負けられないと思え」と映画の中に登場したセリフを使って挨拶。嘉農では台湾原住民(先住民)、漢民族、日本人の混成チームが兄弟のように団結したことに言及し、スポーツ、芸術、文化、経済など多岐にわたる分野で台日間の協力関係が深まればと期待を寄せた。
顕彰碑は松山中央公園にある坊っちゃんスタジアム前に建立された。近藤氏が指導の際に唱えた「球は霊(たま)なり」などの言葉が刻まれている。
台湾軍「座して待つわけにいかない」・・・潜水艦建造を表明、米国企業の協力に期待
台湾・聯合報によると中華民国海軍造船発展センターの邵維揚主任は6日、米国内で同国の軍需産業企業関係者と意見を交換した。台湾側が米国企業が参画した上での潜水艦建造の希望伝えると、米国企業の関係者も意欲を示した。
会議は6日、米バージニア州ウイリアムスバーグで行われた。会議の焦点は潜水艦による脅威だった。台湾国防部の邱国正副部長は会議終了後、潜水艦戦力の非対称性が台湾にとって重大な問題と説明。中国を名指しはしなかったが、潜水艦戦力の脅威を強調した。
邱副部長は「台湾側は長い間、軍部の態度も明確にし、米国側が台湾に潜水艦を売却することを待ち望んでいた。しかし、待ったままにはできない。台湾は自分で建造する」と述べ、米国側の協力を希望する考えを明らかにした。
中華民国海軍造船発展センターの邵主任も、台湾が13年間も求めていたのに米国政府は潜水艦の売却を認めてこなかったとして、「双方の工業界の働きかけの元で、米国側が(自国の)軍需産業企業がわが方の潜水艦建造に参画することを認めてくれてもよい」と述べた。
邵主任は、米国企業が参画する方式として、まずは米国側が建造して台湾に売る選択肢があると主張した上で、「一部の装備を米国企業が作り、台湾に売却」という方法があり、それも無理なら、台湾側の求めに応じて米国企業が「技術顧問」として協力する方法もあると述べた。
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◆解説◆
米国は1970年代前半には台湾に潜水艦を売却したが、それ以降は応じなくなった。台湾は1980年代になってオランダからヴァールトフィス級潜水艦(改良型)を2隻購入した。当初計画では6隻を購入するはずだったが、中国が大使引上げなどオランダに強い圧力をかけたため、計画が縮小されたとされる。米国は台湾に潜水艦搭載型の対空ミサイルの売却はしているが、潜水艦そのものの売却には応じていない。
中国は通常動力の潜水艦以外に、敵本土への核ミサイル攻撃任務とする「戦略型原子力潜水艦」、敵部隊への攻撃と味方部隊の防御を担当する「攻撃型原子力潜水艦」のいずれも保有している。
9月末の外貨準備高、台湾と日本ともに減少 ユーロ安で
台湾の中央銀行が6日発表した9月末時点の外貨準備高は、前月末比23億7000万米ドル減の4206億9600万米ドル(約45兆7000億円)と、2カ月連続で減少した。
ユーロなど主要通貨の対米ドルレートの下落で、ユーロ建て資産の米ドル換算額減少分が、外貨準備の運用収益を上回ったことが原因として挙げられている。
日本も台湾と同じくユーロ安の影響で外貨準備高が減少したものの、9月末は1兆2644億500万ドル(約137兆4020億円)と依然中国大陸(3兆9932億ドル=6月末)に次ぐ世界2位。3位はロシア(4568億ドル)、台湾は4位だった。
9月末時点で外資による台湾の株式・債券保有額(時価ベース)、台湾元の預金残高は外貨準備高の67%に相当する計2799億ドル(約30兆4100億円)に達している。
台湾の対中経済依存度を低下させるために米国ができること
8月1日付の米ヘリテイジ財団のサイトで、William T. Wilson同財団上席研究員が、 台湾経済は中国一国への過度の依存構造を脱却し、FTAやTPPを通じ、より多くの国々との経済関係を強化しなければならない、米国はそのために台湾を支援すべきである、と論じています。
すなわち、冷戦時代、台湾経済は米国に依存していたが、この関係は今日、中国に取って代わられた。
台湾は1980年代後半から1990年代前半にかけて、高い一けた台の経済成長を達成した。しかし、そのあと成長は減速してきた。
台湾はアジアにおける自由貿易協定(FTA)の枠組みから締め出され、輸出、対外投資の面でもますます中国に依存するようになっている。
その結果、台湾経済のファンダメンタルズは悪化している。中国中心の経済関係の結果、台湾経済は衰退の傾向を見せている。
台湾の経済面での「現状維持」はこのままでは持続できなくなるだろう。台湾経済には正しい政策への軌道修正が必要であり、台湾が二国間または多国間の枠組みの中で、アジア太平洋の他の多くの国々と関係を強化するよう、米国は働きかけるべきである。
米国では「台湾関係法」との関連で安全保障面での米国の役割について議論されることは多い。しかし、中国の台湾経済への影響力拡大やそのような中国の威圧的攻勢への対処については、あまり注意が払われてこなかった。
2000年から2013年にかけて、台湾と中国(香港を含む)の貿易量は年率18%の割合で急増してきた。その結果、今日、中国は台湾の最大の貿易相手であり、台湾の輸出の40%が中国向けである。
対外投資においては1991年から2011年にかけ、中国の占める割合は10%から84%まで拡大した。
最近3年間(2011-13年)の台湾の経済成長率は2.6%に低下している。ちなみに、過去に遡れば、1984-97年は7.6%、1998-2007年は4.5%、2008-13年は2.9%である。
中国の対台湾政策の最大の眼目は経済関係そのものにはなく、政治的に台湾を統一することにある。経済的手段を用いて、台湾に深く浸透しようとしている。
米国としては、この安全保障上のパートナーであり、民主主義の光である台湾の経済状況を黙って見ているだけであってはならない。TPPやFTAの枠組みの中に台湾を引き入れ、二国間では米台間で投資協定を結ぶなど、台湾を経済的孤立から脱却させるように尽力すべきである、と論じています。
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上記論説は、台湾経済は中国に依存しすぎており、このような関係を続けることは台湾の「現状維持」にとっても危機的状況を招きかねない、と警鐘を鳴らしています。このような指摘は至極もっともなものです。
これまで、米国人専門家の中では、本論評の言うように「台湾関係法」との関連で、安全保障面での台湾の「現状維持」を論じるものが多く、中台間の経済関係に目を向ける人は少なかったので、ウイルソンによる本論評は注目に値します。
専門家の一部には、台湾の一人当たりGDPは20,000ドルを超えたので、すでに先進国の水準に達しており、経済の成熟化に伴い成長率が落ちるのは自然の理である、という人もいます。しかし、輸出、対外投資の対中依存度の極端な大きさ、台湾経済のファンダメンタルズの悪化等を考えれば、その異常さは容易に理解できます。
中国の対台湾政策の手法は、台湾人の言う「軟土深掘」です。相手の土が軟らかい間は、どこまでもこれを掘り崩そうとします。コンクリートのように固いものにぶつかった時に、初めて方向転換します。今日の中国は、台湾に対し軍事力を直接行使することなく、経済力と人的な往来を通じて、影響力をじわじわと拡大してきました。そのうち熟柿が落ちるように落ちてくると考えていたかもしれません。少なくとも、今年3月の台湾における大規模学生抗議活動まではそう考えていたにちがいありません。
このような中国の対台湾政策に対し、米国が取るべき方策は、台湾の対中国経済依存度を低下させるために、TPPやFTAの枠のなかに台湾を取り込むことである、との本論評の趣旨は、日本にもそのまま当てはまります。日本政府はすでに台湾のTPP参加に歓迎の意を表しており、また、FTAについては長年の課題として検討を進めてきた経緯がありますが、日台間でこれが締結されれば、その象徴的意味は極めて大きいと言えるでしょう。