経済部、韓国と中国大陸FTA実質妥結に危機感
経済部が、韓国と中国大陸のFTA交渉妥結に危機感を強めている。韓国のパク・クネ大統領と中国大陸の指導者、習近平氏は10日、中国大陸の北京で開かれているAPECアジア太平洋経済協力会議で、韓国と中国大陸の自由貿易協定(FTA)の実質的な交渉は妥結したと正式に宣言した。経済部の卓士昭・次長は10日、立法院で報道陣に対し、APEC首脳会議で発表されたこと自体は意外ではないが台湾への影響は大変大きいとし、すでに韓国駐在代表処の関係部署に、FTAの品目リストや関税の引き下げ内容などを把握するよう命じていることを明らかにした。
このFTAに対抗するためにも、中国大陸との商品貿易協定の締結が急がれることについて、卓・経済部次長は、韓国と中国大陸とのFTAの内容把握後、中国大陸側に同等の待遇、さらにはより有利な待遇を要求する考えを示した。卓・次長は、台湾と中国大陸との商品貿易協定交渉を加速し、韓国と中国大陸とのFTA発効後、半年以内には交渉を終えたいと述べている。
経済部工業局の呉明機・局長は、先ごろ調査した結果、台湾の工業製品のうち24.7%、金額にして約386億米ドルが韓国と中国大陸のFTAによる脅威を受けることになると説明。影響を受けるとされるのは鉄鋼、工作機械、自動車、液晶パネル、石油化学、テキスタイル、ガラスなど。また、中国大陸へ輸出している工業製品のうち31%は関税が課されるため、韓国製品との厳しい競争にさらされるという。
日ハムの陽岱鋼、「怪我で貢献できず悔しい」
日本プロ野球、北海道日本ハムファイターズに所属する、中華民国台湾出身の陽岱鋼・選手が9日に帰国し、10日に台北市内で記者会見を開いた。陽・選手は今季、怪我で1ヶ月間戦列を離れたが、打率.293、25本塁打、85打点のいずれも自己最高の成績を残した。また、盗塁も20回成功し、本塁打と盗塁のいずれも20以上のダブル20を達成。さらに、ゴールデングラブ賞も3年連続で受賞した。
陽・選手は今年を振り返り、ファンたちの変わらぬ応援に感謝。また、6月、試合中の怪我で欠場を余儀なくされたことについては、346試合で連続出場が途切れたことよりも、試合に出られず、チームに貢献できないことが最も悔しかったと心境を語った。そして、オフには怪我を十分治療して、来季は100%の状態でチームが優勝を狙えるようにしたいと宣言した。
今季プレーオフでブレーキになったことについては、相手チームによる情報収集と怪我や疲労による自身の体調が原因と悔しがった。陽・選手は、自分から交替を申し出たものの、コーチに「お前の代わりはいない」と言われたと明かし、「チームに迷惑をかけた」と話した。今季最も印象深い試合はプレーオフで、理由は稲葉篤紀選手と金子誠選手が引退したからだという。
陽・選手は今季、本塁打を1本打つごとに台湾元3万元(日本円約11万円)を社会的立場の弱い子供たちや原住民族の少年野球に寄付することを自分に課していた。帰国記者会見では、約束どおり75万元(日本円約277万円)を寄付。帰国期間中、これらの子供たちを訪ねるという。
越からの飼料油、ダイオキシンは含まず
家畜の餌など、飼料に用いる油を食用油に加工して販売していたことで大きな問題となった頂新製油などがベトナムから輸入していた飼料用油にダイオキシンは含まれていないことが明らかになった。ベトナムの大幸福公司から輸入されていた飼料用油に対し、検察や調査機関はダイオキシンに汚染されている可能性を指摘、衛生福利部食品薬物管理署は先ごろ、サンプル20件を国立成功大学の検査に送った。
このほどそのうち10件の初歩的な分析結果により、ダイオキシンは含んでいないことが判明した。この10件についてはこれ以上の検査は必要ないとのことで、検査報告が食品薬物管理署に送られることに。
食品薬物管理署では、報告などのデータが届いてから整理するとしており、最も早い場合は11日にも内容に関する説明が行われるということ。
MRT松山線、15日朝6時に開通
台北市民・新北市民の通勤通学の足、MRT台北新交通システムの新たな路線、松山線が15日に開通する。台北市の郝龍斌・市長は10日午後、15日の朝6時に運行を開始すると正式に発表した。
松山線は台北新交通システムにとって、台北市の東西を結ぶ三本目の路線。全長8.5キロで8つの駅がすべて地下に設けられる。西端の西門駅から東端の松山駅までを約15分で結ぶ。
松山線の開通に伴い、台北新交通システムは五つの路線がいずれも独立した形で運行されるようになり、同じ線路を異なる路線が使用することはなくなる。乗換駅は、従来の9ヶ所から12ヶ所に。新盧線と文湖線に乗るには二度乗り換える必要があるが、他の路線はいずれも一度乗り換えるだけで目的地に到着できるとのことで、乗客が特定の乗換駅に集中する状況を緩和できるものと見られている。
松山線は開通後1ヶ月間、IC乗車券のイージーカードで乗る場合は無料となる。乗り換える場合は松山線の区間だけ料金はカウントされない。台北新交通システムの一日の利用者数は延べ約182万人。 松山線開通で延べ200万人を突破する見通しに。
低出生率で生活水準低下の恐れ:中研院
台湾の低い出生率が生活水準を引き下げるとの研究結果が伝えられている。中華民国の最高学術研究機関、中央研究院(中研院)が参加する国際的な研究チームはこのほど、国連の人口統計などから、最適な出生率を計算すると共に、実際の出生率とのギャップを分析して未来の経済発展を予想した。
中央研究院によると、高所得の国の理想的な出生率は2.1で、国家財政をより余裕あるものとしたい場合は1.85だという。理想的な出生率2.1とはすなわち女性1人が一生に平均2.1人の子供を産むことを表す。消費水準を高くした場合、異なる環境によって理想的な出生率は2.15、1.7、そして1.43が考えられる。
しかし、国連の研究による台湾の平均出生率は1.26で、どの理想出生率も下回る。中央研究院経済研究所の董安・副研究員は、中華民国台湾、日本、韓国、ドイツなどの出生率は低すぎ、差が大きすぎるとし、これらの国はどうあがいても将来、生活水準が低下する恐れがあると述べた。董・副研究員は、国連の計算方式はあまく、内政部の統計によれば台湾の出生率は昨年1.065で世界最低だと強調している。
中国と韓国のFTA交渉が妥結、台湾経済に深刻な影響
韓国と中国は10日、自由貿易協定(FTA)の実質的な交渉が妥結したと正式に宣言した。早ければ来年上半期にも発効する可能性がある。これを受けて台湾の卓士昭・経済部次長(次官)は、このFTAの発効により台湾の経済成長率(国内総生産=GDP)は0.5%低下するほか、輸出総額は1.34%(37億5000万ドル)減少、総生産額は0.98%(89億ドル=約2670億台湾元)減少することが予想されると指摘。
特にパネル、石化、鉄鋼、紡織、工作機械、自動車、ガラス、偏光板の8産業への影響が大きいと説明した。卓・次長はさらに、今後3~5年に台湾の産業は2500億~6500億元の損失が発生する恐れがあると、悲観的な予想を示した。
和碩の3Q純利益、前期比3倍の47.5億元[IT]
EMS(電子機器の受託製造サービス)世界大手の和碩聯合科技(ペガトロン)は10日、第3四半期の純利益(親会社の所有者に帰属)が47億5,000万台湾元(約178億円)だったと発表した。粗利率が上昇し、純利益は前期の約3倍に増えた。
第3四半期の売上高は2,367億元で前期比約11%増加。中央社によると、粗利率は6.4%で過去最高となった。
時報資訊によると、同社の林秋炭財務長は第4四半期の出荷量について、ノートPCが前期比2~3割増、デスクトップPCとマザーボードが横ばい、携帯電話などのコンシューマエレクトロニクス製品が4~5割増になると見込んでいる。
■10月売上高は過去最高
和碩が同日に発表した10月の連結売上高は、前月比13.2%増、前年同月比で36.5%増の1,200億2,800万元で、単月ベースの過去最高を更新した。
同社は米アップルの最新のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)6」の製造を担っているとされる。和碩の単月売上高は昨年の9月に過去最高を記録して以来伸び悩んでいたが、iPhone6の好調な販売で恩恵を受けたとみられる。1~10月の累計売上高は7,867億9,500万元で前年同期比2.0%増となった。
中国大陸、台湾特使紹介時に“中華台北”の名称用いず/北京APEC
北京で10日に開催された、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の晩餐会で、主催の中国大陸が、馬英九総統特使の蕭万長前副総統(75)と夫人を「蕭万長および夫人」と紹介。APEC加盟申請の際に中華民国が使用した「中華台北(チャイニーズタイペイ)」と蕭氏の肩書きを意図的に使わなかったことが、中国大陸の中国中央テレビ(CCTV)の報道で分かった。
CCTVは英語チャンネルでも、蕭氏を「senior Taiwan politician」(台湾のベテラン政治家)と紹介し、チャイニーズタイペイなどの使用を避けた。
蕭氏はこの中国大陸側の行為に動じることなく、米国のバラク・オバマ大統領やかねてから親交のあるシンガポールのリー・シェンロン(李顕龍)首相と握手し、言葉を交わした。
日本時代に建設の旧工業研究所などが指定古跡に
台北市政府が10日に開いた文化資産審議委員会で、市内にある建物など9カ所を新たに歴史的建造物などとして登録することが決まった。日本統治時代に建設された旧台湾総督府工業研究所の建物も含まれている。台湾の複数メディアが伝えた。
台湾総督府が設置した4つの研究所のうち唯一現存している工業研究所の建物は、第2次世界大戦後に国防部空軍総司令部として使用された。歴史的、産業的な価値があるとされている。敷地内にある防空壕2カ所もリスト入りが決まった。
このほか、旧台北帝国大学工学部の校舎として1943(昭和18)年に建てられた台湾大学機械工程館や1955年に華南銀行によって建設され、台湾省政府や考試院の職員宿舎などとして使用された建物も、今回歴史的建造物として選定されることになった。
ニトリ、台湾大学に奨学金提供 日台交流促進などで
似鳥国際奨学財団は11日、国立台湾大学に対して1500万台湾ドル(約5700万円)の奨学金、同大日本研究センターに300万元(約1100万円)の寄付金を提供した。日台の交流促進や人材育成などに役立てられる。
同大ではこの日式典が開かれ、楊ハン池学長は東大や京大などと相互訪問に関する取り決めを結んでいることに言及し、日本語や文化の交流を深められ、学生の海外留学などを後押しできると喜びを語った。(ハン=さんずいに半)
奨学財団の代表理事で、ニトリホールディングス社長の似鳥昭雄氏は、教育を通じて台湾の力になれればと語り、当初は2年間としていた奨学金の提供期間を、5年間に延長すると発表した。家具店ニトリは2006年に台湾進出を果たしている。
奨学金は毎年、30人の学生にそれぞれ10万元(約38万円)が提供される。台湾大によると、日本に関連する言語、文化、テクノロジーなどを学ぶ大学生、大学院生が申請できるという。
台湾版初音ミク バーチャルシンガー「夏語遙」の音声データ配信開始
間の声をベースにした歌声合成ソフトウェア「初音ミク」などの正規販売代理店「E-カプセル」(桃園県亀山郷)が10日、台湾初となるバーチャルシンガー「夏語遙」の音声データの配信を開始した。
名前の「夏」は人々に活力を与える夏の日のイメージから、「語遙」はその歌声が遙か遠くまで届いて欲しいとの想いから付けられたという。キャラクターデザインはフリーイラストレーターのizumi氏が担当している。
提供されている音声データは日本語と中国語の2言語で、歌声合成ツール「UTAU」を通して歌唱データを作成することが可能。入力方式は台湾向けの「注音」版に加え、中国大陸などでも利用できるようローマ字による「ピンイン」版も用意されている。
「夏語遙」の音声データは非商業・非営利の範囲での使用に限り、同社の専用サイトから無料でダウンロード、利用することができる。
台湾・花蓮鉄道文化パーク、日本製の蒸気機関車展示へ
花蓮県文化局は12日から、台湾鉄路の台東線で活躍していた日本製のLDT103型蒸気機関車や貨車などを県内の鉄道文化園区で展示すると発表した。公開初日には記念式典も行われる。
台東線は日本統治時代の1919(大正8)年に軌間762ミリの軽便鉄道として部分開通。1980年に北回線が開業すると、直通運転のために1067ミリに改軌され、旧型車両は営業運転から引退した。
陳淑美文化局長によると、花蓮駅の改築に伴い駅前に保存されていた車両が移設されることになったため、文化園区での展示を打診したところ、台鉄側が快諾したという。
展示される車両は台鉄の車両工場ですでに再塗装され、12日午前に花蓮市の中心部を通って文化園区に運び込まれる予定。文化局では汽車が市街地を通過する光景を楽しむ貴重な機会だと話している。
永作博美、20数年ぶりの台湾訪問で主演映画PR
女優の永作博美が9日、主演映画「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」(2015年公開予定)が上映される「台北金馬影展(ゴールデン・ホース・フィルムフェスティバル)」に出席した。台湾の複数メディアが伝えている。
能登半島でロケを行なった台湾出身の姜秀瓊(チアン・ショウチョン)監督は、言葉が通じず、仕事のやり方に違いがある日本で1カ月以内に撮影を終えなければならず、「大きなプレッシャーを感じた」と語る。それでも、永作とは心を通じ合わせてスケジュールをこなし、困難を乗り越えた。
また、友情出演した永瀬正敏が撮影直前になって目を負傷し、眼帯をつけて現場に現れるハプニングに見舞われたが、姜監督は「クールだわ」と、そのまま出演してもらったという。
一方、20数年前のアイドル時代に台湾を訪問したことがある永作は、ほとんど印象に残っていないとしながらも、名前の中国語の読み方だけは覚えていると笑った。
台湾の対中国大陸輸出、最大5.4%減の恐れ 中韓FTA実質妥結で
中国大陸と韓国の自由貿易協定(FTA)交渉が実質的に妥結したことが10日に発表された。経済部(経産省に相当)は同日、このFTAが発効した場合、台湾の対中国大陸輸出は最大で年間5.4%(84億2000万米ドル=約9600億8500万円)減るとの試算を公表した。
中国大陸は台湾の最大の貿易パートナーで、今年1~9月の貿易額は台湾全体の21.96%に当たる972億4500万ドル(約11兆900億円)だった。一方、主要な競争相手の韓国とは、輸出品の77%が重なっている。
このため、中国大陸と韓国のFTAが発効した場合、台湾の経済成長率(国内総生産=GDP)が0.5%下がるほか、輸出総額も1.34%(約38億ドル)減ることが見込まれる。
政府ではその対応策として中国大陸との「物品貿易取り決め」締結をめぐる協議を加速させ、影響を受けやすい産業への技術・資金面での支援も行う方針。
中国大陸と韓国のFTA交渉は2012年5月に始まり、来年中にも発効する見込み。双方は貿易品目の90%を関税撤廃の対象とすることで一致した。台湾にとって特に影響が大きいとされるのは鉄鋼、工作機械、自動車、パネル、紡織、石油化学などの産業だ。
光華橋の銘板、6年ぶりに公開へ
1999年の大地震で構造に支障が出て解体された台北市の陸橋、光華橋の石で作られたネームプレート(銘板)が9日、6年ぶりに公開された。この陸橋は1971年に完成、台北市内の松江路と新生南路を結んだ。完成から2年後、台北市の牯嶺街、安東街、遼寧街、八徳路から201の屋台や店舗が光華橋の下を利用した地下二階のスペースに移動、「台北の秋葉原」と呼ばれる光華商場を形成した。
その後、1999年の大地震で構造的にも問題が出たころから、2006年に解体され、道は陸橋から一般の平坦な道路に姿を変えた。その2年後、光華橋のあった場所のそばに、光華デジタル新天地ビルが完成、光華橋の下で営業していた196店舗と、さらに西寧市場の181店舗が同ビルに入居した。
この光華橋に埋め込まれていた銘板は四つあり、当時の厳家淦・副総統が揮毫した「光華橋」三文字が刻まれていた。現在二つは台北市政府の台北探索館が保有、もう一つは台北新交通システムの忠孝新生駅に保存されている。そして倉庫で6年余り眠っていた最後の一つが9日から、光華デジタル新天地ビルの一角に、かつての写真などとともに展示されることになった。