蔡・主席、有権者の支持に感謝
民進党の蔡英文・主席(左から三人目)は29日夜、民進党の幹部を率いて、党本部で記者会見を開き、勝利宣言を発表すると共に、支持者に感謝した。
最大野党、民進党の蔡英文・主席は29日夜9時前に記者会見を開き、選挙結果について談話を発表した。
蔡・主席は談話の中で、民進党は、「(有権者の厳しい視線に)戦々恐々とした態度で支持者の期待に応えていく」と話すと共に、与党・国民党の惨敗を教訓にする考えを示した。蔡・主席は、台湾はチェンジ(変化)の時期にさしかかっていると指摘、民進党は今後もこうしたチェンジをフォローしていくと述べ、地方から出発して台湾を取り戻すと宣言した。
国民党惨敗で馬総統が謝罪 民進党は大躍進=台湾・統一地方選
29日に投開票が行われた統一地方選挙で、最大野党・民進党が4つの直轄市(桃園、台中、台南、高雄)を含む13の県市を制し、地滑り的大勝を収めた。一方、与党・国民党が保持できたのは直轄市の新北市など6県市で、選挙前の15から大きく後退した。
民進党創立以来の勝利を受けて、同党の蔡英文主席は同日の記者会見で、これは台湾市民の勝利だとした上で、今後、地方から台湾を取り戻していくと語り、2016年の総統選挙での政権奪取に強い意欲を示した。
一方で惨敗を喫した国民党主席の馬英九総統は、皆を失望させたとして、支持者に対して謝罪するとともに、市民の声は受け取ったとして、できる限り迅速に改革案を提出すると語った。敗戦を受けて同党の秘書長(幹事長)、行政院長(首相)が辞任することになった。
事実上の中間選挙であった今回の統一地方選挙の結果は、2年後の総統選挙の行方にも大きな影響を及ぼすだけに、国民党は今後、改革が急がれる。
台湾・桃園市長選、民進党の鄭文燦氏が初当選
29日に投開票が行われた桃園市長選で最大野党・民進党所属の鄭文燦氏(47)の当選が決まった。桃園県は12月25日に直轄市に昇格するため、同氏は初代桃園(直轄)市長となる。
鄭氏は2009年にも、与党・国民党所属の呉志揚氏(45)と桃園県長の座を争い、約5万票差に迫る接戦となるも敗れていた。今回の選挙では、11月上旬に行われた支持率調査でTVBSなどが呉氏の優勢を伝えていたが、今年5月に副県長が汚職容疑で逮捕されるなど呉陣営側の問題もあり、大方の予想に反して鄭氏が勝利し、雪辱を果たした。
今回の統一地方選挙では国民党の地盤であった直轄市の台北市、台中市などで同党候補が敗れ、勢力図が大きく塗り替わっている。
台湾・新北市長選、現職の朱立倫氏が僅差で再選
29日に投開票が行われた新北市長選で与党・国民党所属で現職の朱立倫候補(53)の再選が決まった。朱氏の得票率は50.06%(95万9302票)で民進党所属の游錫コン候補(66)とは1.28ポイント差だった。(コン=[方方]の下に土)
今回の選挙で同氏は、公約に掲げていた鉄道の新線建設計画や公営住宅の整備を実現していないとして、対立候補から批判を受けていたが、予想以上の接戦を制し辛勝した。
朱氏は当初、国民党のホープとして2016年の総統選の有力候補の1人とみなされていたものの、6月下旬、「(当選した場合)必ず4年の任期を全うする」と語り、再選に向け出馬を決めていた。
今回の統一地方選挙で国民党は、直轄市の台北市、桃園市(12月25日に県から昇格)、台中市、台南市、高雄市で擁立候補がいずれも敗れた。朱氏は同党唯一の直轄市の市長として、今後の手腕が問われている。
柯文哲氏:選挙の終了は責任の始まり
台北市長選挙に立候補した、柯文哲・候補(無所属)は29日夜、7時半過ぎに記者会見を開き、当選を発表した。
柯文哲氏は、選挙の終了は責任の始まりだとし、今後はさらに慎重で謙虚になり、市民の監督の下、選挙運動期間中に発表した公約の実現に向けてさらに努力すると話すと共に、与党・国民党の公認候補である、連勝文・候補の指摘にも謝意を表明した。
柯文哲氏は、まず台湾、台北市民に感謝した。そして、政治を信頼することはすなわち、良心を取り戻すことだと述べると共に、みなが政治を信頼すること、開放的な政府と公開、透明を信頼すること、人間は夢があってこそ偉大になることを信じること、みなの智恵は個人の価値を上回ると信じること、民主は人民がすべてを決めると信じること、これらの信頼の力は、台北市のチェンジを実現したと喜んだ。
台湾・高雄市長選、現職の陳菊氏が圧勝 爆発事故などの影響受けず
29日に投開票された台湾の統一地方選挙で野党・民進党所属で現職の陳菊高雄市長(64)が元高雄県長で国民党所属の楊秋興氏(58)に大差をつけ、当選を固めた。中央選挙委員会(選管)の発表では、午後9時時点で99万票以上を獲得した陳氏は、楊氏の約45万票を大きく上回り、得票率は68.11%だった。
同市では今年夏に大規模爆発事故が発生し、デング熱の感染被害も拡大。一方の楊氏は県長時代に施政満足度が高かったことなどから、陳氏の選挙情勢に影響を与えるのではとの見方が出ていた。
だが、陳氏は台北市長選と同様に2016年に予定されている総統選挙の行方を占う指標の1つと目されていた今回の高雄市長選を制し、市民の期待に応え自らの選挙公約を実行すべく、今後も責任を担っていくと再選の抱負を語った。
1979年に高雄で起きた民主化を求める反体制運動弾圧事件(美麗島事件)で投獄したこともある陳氏は、1950年宜蘭県生まれ。国立中山大学で公共政策の修士号を取得後、国民大会代表や台北市・高雄市で社会局長、民進党代理主席などを歴任、2010年に高雄県・市合併後の初代高雄市長に就任した。
台湾・台北市長選、無所属の柯文哲氏が勝利へ 与党・国民党の牙城崩す
29日に投開票が行われた台北市長選で、野党が後押しする無所属候補で医師の柯文哲氏(55)は、初当選がほぼ決まった。無所属の候補が台北市長を務めるのは1994年の直接選挙開始以来初めて。
柯氏は事実上の一騎打ちとなっていた与党・国民党候補の連勝文氏(44)の陣営から、台湾大学病院に開設した個人口座を使った不正や、臓器売買などの疑惑を指摘されていた。しかし、いずれも違法性や関与はなかったとして収束し、支持率には大きな影響を与えなかった。
一方、連陣営は馬英九政権の支持率低迷などにより苦戦を強いられ、自陣営での票固めを行い巻き返しを図っていた。だが、批判の対象となっていた「特権階級」のイメージを払拭できず、柯氏を「皇民化された人の子孫」とする関係者の失言なども重なったことで、相手候補のリードを崩すことはできなかった。
台北市は、1994年に与党勢力が分裂したことで当選を許した民進党の陳水扁氏を除き、長らく国民党の候補が市長を務めており、同党は今回の敗北で“首都”の地盤を失うことになった。
江・行政院長、選挙惨敗で引責辞任
与党・国民党が中央政府の直轄市、6都市のうち、新北市を除く5都市で敗北した責任をとって、行政院の江宜樺・院長は29日夜、引責辞任した。台湾のケーブルテレビの報道によると、総統府サイドはすでに江宜樺・院長の辞任を批准したという。
江宜樺・行政院長は、夜8時過ぎに記者会見を開き、今回の選挙結果から政府の施政は国民に認められていないことが分り、国民は選挙を通じてその気持ちを伝えたと、与党の敗北を認め、自らの引責辞任と総統の批准を明らかにした。
与党・国民党が自治体9つ失う惨敗
与党・国民党は29日の統一地方選挙選挙前、22の自治体(直轄市6、それ以外の県・市16)のうち、直轄市は4つ、それ以外の県・市は11を握っていたが、そのうち、9つを失う惨敗となった。直轄市は新北市のみに。自治体のうち、国民党が獲得したのは6、最大野党の民進党が13、無所属が3。
国民党惨敗、馬・総統は党首辞任に触れず
与党・国民党の党首を兼務する馬英九・総統(右から2人目)は29日、記者会見を開き、国民党が統一地方選挙で支持者を失望させて惨敗を喫したことについて謝罪した。
与党・国民党の党首を兼務する馬英九・総統は29日夜9時過ぎに、統一地方選挙での国民党の惨敗について談話を発表した。馬・総統は、党員とすべての支持者にわびると共に、改革案の早期提示を約束した。
馬・総統は、国民党は今回の敗北でくじけることなく、今後も党、台湾、中華民国のために奮闘し続けると述べ、当選した党員に感謝すると一方、野党と無所属の当選者に対しても選挙がもたらした対立はこれまでとし、共に中華民国のために努力するよう呼びかけた。
29日に行われた大規模な統一地方選挙で、国民党は、台湾の22の県と市のうち6つの地方自治体でしか県・市長ポストを得られず、未曾有の惨敗を喫した。馬・総統が責任をとり、党主席を辞任するかどうかに注目が集まっているが、馬・総統はそれには触れなかった。
29日に行われた、中華民国台湾の選挙史上で最大規模の統一地方選挙の結果が夜に明らかになった。中央政府の直轄市6都市を含む、22の県と市のうち、与党・国民党は、現在の15席から9席激減し、6席となった。それに対して、最大野党・民進党は、これまでの6席から13席に急増し、無所属も1席から3席に増えた。
中央選挙委員会の統計によると、この選挙の有権者数は1851万1356人。立候補者数は1万9762人で、1万1130人の公職者が選出された。投票率は67.59%だった。直轄市6都市(台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市)の有権者数は1270万9746人で、投票者数は842万8005人、投票率は66.31%だった。これは前回選挙時(2010年)の投票率71.71%よりやや低くなっている。
国民党は直轄市6都市のうち、台湾北部の新北市だけで再選を果たし、残りの5都市で惨敗を喫した。民進党は、北部の桃園市、中部の台中市、南部の台南市、高雄市で圧勝、無所属の柯文哲氏は台北市長選で初当選した。
国民党は6都市で338万5081万票を獲得、得票率は40.81%、民進党は397万9329票獲得、得票率は47.97%だった。
直轄市6都市の市議会議員選挙では、民進党は167議席を獲得、得票率は41.63%だった。国民党は151議席を獲得、得票率は36.49%だった。無所属、または政党の推薦を受けていないものは42議席、得票率は14.08%だった。
直轄市を除く、県長(県知事)と市長の枠では、投票率は70.40%だった。国民党の得票率は40.48%、民進党は46.66%だった。国民党が政権を握っている台湾北部の基隆市、新竹市、中部の彰化県、雲林県、嘉義市、離島の澎湖県などの県と市では、いずれも民進党が勝利した。
県議会議員と市議会議員の枠では、国民党は235議席を獲得、得票率は37.62%だった。民進党は124議席獲得、得票率は27.59%だった。無所属、または政党の推薦を受けていないものは161議席、親民党は4議席、台湾団結連盟は4議席、緑党は1議席、樹党は1議席、労働党は1議席、台湾第一民族党は1議席。
中央選挙委員会は29日夜11時25分にすべての開票作業を終わらせ、12月5日に当選者名簿を公表する。当選者らは12月25日に正式に就任する。
<台湾>統一地方選の与党国民党敗北 対中融和路線も岐路に
台湾の統一地方選での与党・国民党の敗北により、馬英九政権が進めてきた対中融和路線は岐路に立たされることになる。将来の統一を目指す中国は国民党を軸に台湾との関係強化を進めてきたが、馬政権が「レームダック(死に体)化」すれば、次期総統選を見据えて馬総統と距離を置く可能性もある。
国民党は終盤で劣勢をはね返そうと、中国との安定した関係が台湾の発展につながるとして対中関係重視を強調し、中台サービス貿易協定に反対する野党・民進党への批判を強めたものの、有権者に支持を広げられなかった。2008年の政権発足以来、中台関係の改善を政権最大の功績と自負してきた馬総統にとっては大きな痛手だ。
中国側にとって懸念材料となるのは、台北市長選で無所属新人で当選した柯文哲氏の存在だろう。中台が関係改善の基礎と位置づけている「1992年合意」について、中国の台湾政策を担う国務院(政府)台湾事務弁公室トップの張志軍主任が25日、柯氏が当選した場合も92年合意の共通認識を持つよう望むと発言したのに対し、柯氏は「92年合意の内容は何?」と疑問を呈して波紋を広げた。92年合意は「一つの中国」を認めつつ、その解釈は中台各自に委ねるとの内容だ。柯氏は当選後、中国との経済交流を継続するとしたが「重要なのは、全ての人が共に享受し、特権階級のものにならないことだ」とけん制した。
中国国営新華社通信によると、台湾事務弁公室の馬暁光報道官は29日夜、「両岸(中台)同胞がようやく得た成果を大切にし、両岸関係の平和的発展を共に守り、引き続き推進するよう望む」とコメントした。
台北市長選では与党ホープも無所属新人に敗北
台湾で29日に投開票された統一地方選で、与党・国民党は台北市長選で野党系無所属新人にポストを奪われるなど惨敗した。選挙戦では若者の就職難など格差社会が影を落とし、馬英九政権への不満が露呈した。残り任期1年半の馬政権は求心力の低下を招く恐れがあり、厳しい政権運営を迫られることになりそうだ。
台北市長選で国民党は党重鎮の連戦・名誉主席の長男で次世代のホープとされる連勝文氏(44)を擁立したが、無所属新人で台湾大の医師、柯文哲氏(55)に敗れた。国民党は1998年に馬英九氏が当選して以来4期連続で守ってきた有力地盤を失った。馬政権への支持が低迷する中、党内支持者の動きが振るわず、一部の票は柯氏に流れた模様だ。父の連戦氏は親中派で、今春に中台サービス貿易協定に反発する学生運動で噴出した有権者の対中警戒感も、国民党には逆風となった。
一方、柯氏は既成政党による激しい政争を嫌った若者ら無党派層に支持を広げ、「柯文哲現象」と言われた。野党大連合を呼びかけ、政党色に染まらない独自のスタイルが奏功。同市長選で無所属候補の当選は初めてとなる。柯氏は「選挙で台湾人民が変革を求める決意を感じた」と語った。独自候補擁立を見送った民進党を含め、既成政党は無党派層に対する戦略強化が求められそうだ。躍進した民進党の蔡英文主席は勝利宣言し「歴史的改変の序章」と述べた。
一方、国民党の中部の牙城である台中市でも同党現職の胡志強氏(66)が民進党新人の林佳龍氏(50)に敗れた。胡氏は合併前の旧市長時代を含め任期が13年に及び、「多選」批判を浴びた。財界の後押しを受けて猛追したが、及ばなかった。
国民党大敗の背景には、若者が低賃金にあえぎ、都市部では住宅価格の高騰で家が買えないなど将来への不安が募っていることが挙げられる。10月の失業率は3・95%で前月より若干改善したが、15~24歳では13・02%と高いままだ。
10月には台北や台中で、若者ら1万人以上が高級マンション前の路上に座り込み、政権への怒りをぶつけた。
学生運動で若者らに広がった政治意識は地方選にも変化をもたらし、統一地方選として同時に行われた市議選や町内会長に当たる里長選などに若者が立候補したのも特徴だ。学生運動のリーダー、林飛帆氏(26)は「若者たちは運動の経験を通して馬政権が抱える課題を理解し、政治を変えたいという意識が高まった」と運動の広がりに期待する。
台北市長選で無所属候補勝利…与党国民党が大敗
台湾の22県市の首長や地方議員らを選ぶ統一地方選挙が29日、投開票され、焦点の台北市長選では、無所属で新人の柯文哲(クォーウェンジョオー)氏(55)が与党・国民党の連戦・名誉主席の長男、連勝文氏(44)を大差で破り、初当選した。
台北は国民党が1998年から16年にわたって市長ポストを維持してきた同党の地盤。最大野党・民進党は独自候補の擁立を見送り、柯氏を支援した。
台湾の大手テレビ局TVBSによると、国民党は中部の台中、北部の桃園の両市長選でも民進党に敗れ、大敗した。北部の新北市長選では現有ポストを守った。
統一地方選は馬英九(マーインジウ)政権の2期目に対する中間評価の位置づけだ。国民党の大敗は馬総統の政権運営への厳しい評価を意味しており、2016年の次期総統選への影響は避けられない情勢となった。江宜樺・行政院長(首相に相当)は29日夜、辞意を表明。馬総統も記者会見を開き、「国民党は大きな挫折をした」と語った。今回の大敗は、馬政権下で急速に進んだ経済中心の中台接近への警戒感や食品安全問題などへの社会の不満の高まりなどを反映した結果とみられる。