自民大勝、1面トップ=台湾主要紙
15日付の台湾主要紙は、衆院選で自民党が大勝したニュースを1面トップで報じ、日本の政治に対する台湾側の関心の高さを示した。
自由時報と聯合報は、自民党の勝因について、野党が安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の対案を提示できず、特定の支持政党を持たない有権者も自民以外の選択肢がなかったと分析。民主党の海江田万里代表の落選も詳しく伝えた。
中国寄りの中国時報は、安倍政権が今後進める集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法制整備の行方を注視。また、安倍政権の今後の外交政策について、2015年に第2次大戦終結70周年を迎えるため「中国、韓国との関係改善に向き合わざるを得ない」と指摘した。
李登輝氏「総統制を止め、内閣制への移行が必要」
李登輝元総統は13日、与野党が協力して現在の総統制を議院内閣制に改めるべきだとの考えを示した。
李氏は議院内閣制を実現した場合、2016年に予定されている総統選挙実施の必要がなくなると強調。そうすれば(政治家らが)台湾の政治に打ち込めるとし、同制度下で行政院長(首相)の政治手腕に問題があれば辞任を要求でき、(総統制の)4年間の任期終了を待つ必要がなくなると語った。
また、自身が総統だった際に議員内閣制を導入しなかったことに関しては、「当時は改革する力がなかった」とした上で、台湾が民主的社会になった時、はじめて同制度が機能すると説明。市民の問題を解決するのが本当の民主改革だと述べた。
原油価格急落、交通料金相次ぎ引き下げ[運輸]
国際原油価格の急落を受け、台湾では相次ぎ交通機関の値下げラッシュが始まりそうだ。交通部の葉匡時部長が11日に明らかにした。中・長距離バス各社は相次ぎ運賃の引き下げを発表。また航空各社は国内線運賃の値下げ幅を拡大する。交通部はまた、在来線の台湾鉄路(台鉄)も特急に相当する自強号の運賃値下げも検討している。一連の値下げはいずれも交通部が主導しており、政策努力を市民にアピールする狙いもあるとみられる。
原油価格の下落が止まらない。国際的な指標である米ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格が11日の取引で1バレル60米ドル(約7,100円)を下回り引けた。台湾中油(中油)は14日、ガソリンと軽油の価格をきょう15日から前週比で1リットル当たり1台湾元(約3.8円)、1.1元それぞれ引き下げると発表した。
蘋果日報は、交通部がバス業者を集めてガソリン価格の下落に合わせた対応策の検討を要求したと報道。中・長距離バス路線を運営する国光客運と和欣客運は相次ぎ15日から閑散時間帯に運賃を引き下げると発表した。国光は台北~台南市新営や基隆~南投など計3路線で30元引き下げる。和欣も、台北と台中・台南を結ぶ路線、台南と新北市板橋・台中を結ぶ計5路線で運賃を10元下げる。12日付聯合報などによると、統聯客運も月末をめどに運賃の引き下げを発表する見通し。
中央通信社によると、航空燃料のケロシン価格が下落していることを受け、交通部民航局は国内の航空各社に対し運賃の割引措置の拡大を要求。国内路線を運航する華信航空(マンダリン)と遠東航空(ファーイースタン)、立栄航空(ユニ・エアー)は、インターネットによる早期予約で航空運賃の割引率を45%に拡大する。復興航空(トランスアジア)は、割引率を最大で50%とした。現状は各社とも割引率を30%としている。遠東航空は12日から、華信と立栄、復興の各社は15日から実施する。
葉・交通部長は11日、地元ラジオ局の取材に答え、台鉄東部幹線で運航されている速達列車「プユマ号」の運賃を値上げする一方、自強号の値下げを来年にも行う意向を明らかにした。葉部長によると、チケットが取りにくい人気のプユマ号については混雑時間帯とそれ以外の時間帯に分けて3~9%の引き上げ幅を検討している。代わりに自強号の運賃を引き下げることで、利用者の分散化を狙うとしている。
■中油は釈明
エネルギー料金の引き下げも焦点になっている。今年の黒字化が見込まれる台湾電力(台電)は11日、「速やかに利用者への還元措置を検討する」とのコメントを発表した。同社をめぐっては立法院(国会)での質疑で原油価格の下落で火力発電コストが低減し通年の損益が黒字に転換した場合、利用者に何らかの形で還元すべきだとの意見が出ていた。
一方、中油に対しては、ガソリン・軽油価格が原油市場での下落幅を反映しておらず、価格決定が不透明だとの批判が出ている。これに対し同社は、「原油の売買に置いては秘密保持が求められている」とした上で、「監督機関や立法院経済委員会には原油調達に関する資料を提出しており、不透明との批判は当たらない」と反論するコメントを出した。料金引き下げを求める世論と立法委員に対し、釈明に追われた形だ。
新北地検、台湾女性に強制わいせつの日本人を起訴
新北地方法院検察署(新北地検)はこのほど、新北市内の路上で女性の体に触れるなどした日本人の男を強制わいせつの疑いで起訴したと明らかにした。複数の台湾メディアが伝えている。
日系衣料品店の店長だったこの男は今年8月13日、台北メトロ(MRT)新埔駅近くの路上で、歩いていた女性の背後から抱きつき、足などを触るなどした疑いがかけられている。
男は調べに対し「DVD店に行く途中に道に迷った」と供述し容疑を否認していたが、現場周辺にDVDを販売する店舗がなく、犯行後に逃走する男の様子が付近の防犯カメラなどに写っていたため、検察側は強制わいせつの罪での起訴に踏み切った。
検察側によると、最高で懲役5年の刑が科せられる可能性があるという。
統一地方選での躍進を反映?民進党主席のマフラーが人気に
先月下旬に行われた統一地方選で躍進した最大野党・民進党の蔡英文主席のマフラーが人気を集めている。15日付の自由時報が伝えた。
台湾では、2009年元旦の国旗掲揚式典において、馬英九総統が国旗をモチーフにしたマフラーを身につけたことをきっかけに、新年に同じマフラーを着用する市民の姿が一種の風物詩となっていた。
だが、馬総統の支持率低迷に伴い、国旗をデザインしたマフラーの売り上げは2011年以降激減。今年は与党・国民党が統一地方選挙で惨敗した影響もあって、販売数はさらに減少している。一方で、民進党の蔡主席の顔をあしらったマフラーの販売が開始され、市民から好評を受けているという。
桃園県、今月25日に台湾6番目の「直轄市」に昇格へ
台湾北部の桃園県が今月25日に行政院(内閣)直属の「直轄市」に昇格する。台北、高雄、新北、台中、台南各市に次ぐ6番目で、初代市長には先月29日の市長選で当選した野党民進党の鄭文燦氏が就任する。
直轄市は財政面で優遇が受けられるほか、市長が政治的に強い影響力を持つとされる。昇格に伴い、現在の行政区分である市、郷、鎮が区に、村が里にそれぞれ変更され、市民生活では行政サービスの手続きが一部簡略化される。
先月の市長選では、事実上の再選を狙った与党国民党の呉志揚桃園県長が落選し政権交代が実現。地元住民からは魅力ある都市作りへの期待の声が高まっており、鄭市長の政治的手腕に注目が集まっている。
台北の子供遊園地が80年の歴史に幕 16日に新施設が開園
日本統治時代に開園し、多くの市民に愛された子供向け遊園地「台北市立児童育楽中心」(中山区)が16日、新たな娯楽施設「台北市児童新楽園」(士林区)の正式オープンに伴い、80年におよぶ歴史を閉じる。
実質的に最後の営業日となった14日は閉園を惜しむ家族らでにぎわい、子供のころの思い出を留めようと、園内を写真に収める大人たちの姿も見られた。
日本統治時代の1934(昭和9)年に開園した児童育楽中心は、台湾で最も古く、唯一の公営子供遊園地として知られていた。70年にはかつて日本人によって建設された円山動物園の付属遊園地となり、幅広い世代から愛されたが、周辺に存在する古跡の保存と、隣接する基隆河の流れに対する影響から、2008年に別の場所への移転が決まっていた。
新たにオープンする児童新楽園は総面積約5ヘクタールで、およそ20億台湾元(約76億円)を投じて造られた。ジェットコースターや海賊船など13の遊具が楽しめ、入園料や一部の商店での支払いを交通ICカード「イージーカード」(悠遊カード)で行うシステムも導入される。
中華電信が来年ネット商店事業に進出、食品販売など
通信大手の中華電信がインターネット商店を開設する。モバイル決済が利用でき、有機野菜・食品・油脂製品など、食の安全問題に関連する商品を主に扱う。早ければ来年の第1・四半期(1~3月)にもオープンする。今後、水道・電気・ガスなどの公共料金支払いにも対応する計画だ。資訊工業策進会の推計によると、台湾のネット商店の市場規模は今年7645億元、来年には1兆元を超える。通信大手3社のうち、遠伝電信(FAREASTONE)と台湾大哥大(Taiwanmobile)はすでにネット商店事業に進出している。
深刻な大気汚染時に企業を臨時休業へ
労働部は14日、地方自治体の首長に対し、深刻な大気汚染の発生が想定される際、地震や台風接近時などと同様に企業を臨時休業できるようにする権限を与える方針を明らかにした。
台湾は冬と秋に季節風が強まり、中国大陸の大気の影響を受けやすい。労働部の関係者は、現在台風、地震、洪水などの自然災害発生時に実施している臨時休業措置を、大気汚染にも適用させると話している。
同措置が実施された際、雇用主の事情によりやむを得ず従業員の出勤が必要な場合は、特別手当の支給を求めるとしている。
チャイナエア「金點設計獎」を獲得
チャイナエアラインが今年新しく導入した新型旅客機ボーイング777-300ERのキャビンは、カフェのようでもあり、書店のようでもあるハイセンスな空間。
台湾の航空会社、チャイナエアラインが、今年導入した新型旅客機、ボーイング777-300ERのキャビンデザインで、2014年度ゴールデン・ピン・アワード(金點設計獎)を受賞、来年、台湾代表として、イギリス、デザインミュージアムロンドン主催の「The Brit Insurance Designs Awards」に参加するという。
金點設計獎(Golden Pin Design Award)は、33年の歴史を持ち、台湾で最も権威があるとされるデザイン界の栄誉賞。今年は初めて、応募資格を世界の中華圏に拡大、中国大陸、香港、マカオ、シンガポール、マレーシアなどから、1901点の応募が寄せられていた。
チャイナエアラインは、新型旅客機のキャビンデザインにあたり、誠品書店などを手掛けた台湾の有名建築デザイナー、陳瑞憲氏を主席デザイナーに招き、宋時代の美学を主軸にして、東西文化が融合した全く新しいキャビン環境を作りあげた。
チャイナエアラインは、777-300ER 型機では、180°リクライニングできるフラットベッドシートを導入したビジネスクラス、シート背中が固定され、後ろを気にせずリクライニングできるプレミアムエコノミークラスを設けたり、横並びの3席を1つのソファとして使うファミリーカウチをアジアで初めて導入するなど、快適なキャビン空間に意欲的。
台湾・台東の図書館、3歳の双子姉妹が11カ月で計500冊以上の本を借りる
台湾台東県にある図書館で、3歳の双子姉妹が今年に入って2人合わせて500冊あまりを借りて読んだことが明らかになった。台湾メディア・聯合報の報道を中国新聞網が11日報じた。
同県の鹿野図書館が作成している今年1月から11月までの図書貸し出しランキングで、3歳の双子姉妹が266冊の3位、255冊の5位にそれぞれ入った。2人合わせて521冊を借りて読んだことになる。
姉妹は「本のイラストが楽しい」と語る。両親が一緒に本を読んでくれ、読み始めると止まらなくなるようだ。寝ているときも物語の夢を見るという。
両親は「あまり早い時期に電子製品に触れさせたくないので、小さいころから娘たちと一緒に本を読むようにしている。本を読む楽しみを感じてくれれば。読んだものは忘れてしまうかもしれないが、少なくとも読書が好きになってくれればいいと思う」と語った。
なお、ランキングで1位になったのは328冊を借りた女性。1日1冊のペースで読める理由についてこの女性は「読んでいるうちにどんどん速くなった。読みたいとさえ思えば、読書の時間がないなどということはあり得ないのだ」と語っている。
”ミスターGT-R”が選んだ意外な新天地
”ミスターGT-R”と呼ばれたトップエンジニアが選んだ新天地は台湾の自動車メーカーだった。
複数の自動車メーカーを持つ台湾の裕グループ。その傘下で自動車エンジニアリング会社の華創車電技術中心(ハイテック)は12月12日、日本法人・華創日本(ハイテックジャパン)の発足説明会を都内で開いた。そこに日本法人のCOO(最高執行責任者)及び華創車電の副社長として現れたのが、元日産自動車のエンジニアである水野和敏氏だった。
経営危機の淵からV字回復を成し遂げた日産自動車のカルロス・ゴーン社長が、開発が中止状態だった「日産GT-R」の復活を対外的に宣言したのは2001年のこと。それから2年後、全権委任という破格の条件で開発責任者に指名されたのが、水野氏だ。
■ ゴーン社長から手を握って頼まれた
当時、ゴーン社長は彼の手を握ってこう語りかけた。「全権を任せる。私が社内を統一するから、お前が”ミスターGT-R”になれ」。水野氏は1972年の入社以来、日産一筋で車両全体のパッケージング設計を専門としてきた。レース部門に出向し、監督を務めた経験もある。その後、車両開発主管兼チーフ・プロダクト・スペシャリストとなり、退社したのは13年。関係者の間では去就が注目されていた。
そして今回、明らかになったのが台湾メーカーへの転身だ。国内外に自動車メーカーが数多くある中、なぜ台湾に目を向けたのか。水野氏は、自動車市場の現状と「開発圏」というエンジニアらしい着眼点から、その理由を会見で語った。
.
水野氏が副社長に就く華創車電は、裕グループの裕汽車が製造する「LUXGEN(ラクスジェン)」の開発を行うエンジニアリング会社だ。この車は世界的に見てどのくらいのレベルにあるのか。
「ラクスジェンのIT装備は、サイドビューモニターもあったり、リヤビューもワイドビューで2画面になってるし、アラウンドビューも全車標準でついてる。タッチスイッチなんて当たり前。こうした点では欧州、日本含めても世界で一番進んでいる。自動車本来の性能であるハンドリングや動力性能、乗り心地についても、技術の母体が日本から来ているので、だいたい日本車と同じくらいの実力を持っていると思う。これから 欧州車のトップレベル並にもっていく」
国内市場ではクルマ離れと言われて久しい。だが、水野氏はそうした見解を真っ向から否定する。
「日本人はクルマに興味を持たなくなっているし、セダンは復権しないと言われている。それはまったく違う。セダンの販売台数は減っていない。確かに国産車のセダンは減ってる。だが欧州車がその分増えている。クルマ離れなんてしていない。だけど、みなさんはクルマ離れが起きている、興味がなくなっている、セダンはもうダメだと言っている」
■ 欧州車の強さを直視せよ
「どうして欧州車がこんなに強くなったのかを、もっと直視する必要がある。私が痛切に感じるのは欧州全体の力だ。今まで欧州の自動車産業というのは西欧、ドイツやフランスやイタリアの個々の自動車メーカーと思っていた。ところが1989年にベルリンの壁が崩壊してから20年経ち、東欧に質の高い人的資源やコストの安いインフラができあがった。
西欧の先進技術と東欧の質の高い人的資源とコストの安いインフラが合体し、欧州圏という自動車の開発体制ができている。この新しい開発圏が成り立ってどうなったのか。昔のフォルクスワーゲンは、ゴルフが出た1年後にジェッタが出て、1年半後にワゴンが出るというように、一定の期間が必要だった。
今は違う。半年から1年以内に全車種がそろう。しかも販売価格が下がって、開発スピードが上がっている。欧州車の強さの源泉は開発圏にある」
.
欧州車を支える開発圏。日本の自動車メーカーも一国でつくるのではなく、開発圏を持つべきというのが水野氏の見解だ。そして、台湾メーカーがパートナーとして相性がいいと説く。
「今後の国際競争力は、ものを作るのではなく、ものを考えて打って出る思考力、そこにどれだけのパワーを持っているかが重要だ。日本は高度で先進的な技術を持っている。また、「おもてなし」という最高の接客サービスの手法もある。一方、台湾はITで世界一。これは人的な質が高くなければできない。質の高い人的資源をITだけではなく、工業製品にどう生かすか。これが台湾の次のテーマになっている。
日本と台湾が組むとすれば、欧州圏より強い人的開発圏ができるはずだ。開発圏を作るためには、共通の価値観と道徳観が必要になる。道徳観は大事なファクターだ。台湾に行くと、駅にゴミ一つ落ちておらず、地下鉄の中にもない。公共の概念、人に対する道徳観で価値観を共有できるというのは、グローバルにものを作っていく場合に大事なエッセンスだと思う」
■ 台湾本社と日本法人の役割分担
水野氏が兼務する日本法人のCOOと華創車電の副社長は明確な役割分担があるという。
「日本法人では基盤となるプラットフォームやプロジェクトの先行開発を行う。基盤プラットフォームを作る際、欧州メーカーや日本メーカーと手を組んで、基盤技術のレベルを上げようというのが、一つの大きな役割だ。そうして作ったプラットフォームを基に、華創車電がセダンやSUV、ワンボックスといった車種体系をつくる。デザインやクルマとしての商品供給のメインはあくまでも台湾本社だ。
台湾は、欧州や日本のメーカーと手を組むのに若干地の利のハンデがある。日本の方が自動車メーカーとのコンタクトエリアとして優位性があるので、(ハイテックジャパンが)窓口になる。開発実験では、スタビリティ(安定性)の懐の深さや質感、精度感を出すところを日本でやっていく。ここでやった仕事を台湾の本社がきちんと商品として結びつける必要があるので、本社の副社長として開発のとりまとめもやらせてもらうことになった」