アドウェイズ、体験型広告の台湾VMFiveと提携--新作アプリ予約サービスを拡充
アドウェイズは12月16日、アプリをインストールすることなく広告主のサービスをユーザーに体験させることができるプレイアブル広告「AdPlay」を提供する台湾VMFiveと、広告サービスの共同開発において包括的に業務提携すると発表した。
アドウェイズが提供する、リリース前の新作アプリの事前予約ができるサービス「予約トップ10」とAdPlayを連携させ、リリース前のアプリを予約トップ10上で体験できる「ティザープレイ」のベータ版サービスを提供する。予約トップ10を利用している開発者はオプションとして同サービスを利用できる。
アドウェイズでは、まずは日本版の予約トップ10で同サービスを開始し、今後は韓国、中国、台湾、北米に順次展開するとしている。
なお、全世界対応のスマートフォンアプリ向け効果測定システム「PartyTrack(パーティートラック)」とAdPlayとの連携も完了しており、アドウェイズはアプリリリース後の効果的な広告運用までを支援できる状態にあるという。
両岸CEOサミットが台北で
2014年台湾海峡両岸CEOサミットが15日、台北市内で開幕。台湾の理事長、蕭萬長・前副総統(右)があいさつする。左は中国大陸側の理事長、曽培炎氏。
台湾海峡両岸の著名な企業経営者が集う、両岸CEOサミットが15日、台北市内で開幕し、蕭万長・前副総統があいさつした。蕭・前副総統は、両岸の経済協力は後戻りできない趨勢だとした上で、台湾内部での疑念を解消するため、今後両岸の経済協力は人々がそのメリットを感じられ、利益を共に分かち合えるという二つの目標を達成せねばならないと強調した。
蕭・前副総統はさらに、この目標を達成するために、地域及び世界の市場の共同開発、企業提携のネットワーク構築、中小企業提携の強化、サービス業の提携とイノベーションの四つを両岸は重視していくべきだと主張した。
このCEOサミットには、世界最大の半導体ファウンドリー、台湾のTSMCのモリス・チャン董事長、中国大陸のネットショッピング大手、アリババグループのジャック・マー会長らが出席。米ニューヨーク証券取引所で今年上場を果たしたアリババグループのジャック・マー会長は、イノベーションは若者がすべきことだとし、若者に機会を与えることと、若者自身の奮起を呼びかけた。同サミットは16日まで。
EMS5社、来年AIO出荷量は増減分かれる[IT]
電子時報系の市場調査会社、デジタイムズ・リサーチはこのほど、来年のオールインワンPC(AIO)の世界出荷量は1,340万台で、前年比0.8%増えるとの予測を示した。台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手5社の出荷量は、緯創資通(ウィストロン)と和碩聯合科技(ペガトロン)、仁宝電脳工業(コンパル)が増える一方で、広達電脳(クアンタ)と英業達(インベンテック)が減る見通しという。15日付工商時報が伝えた。
今年のAIOの世界出荷量は前年比8.8%減の1,330万台で、2010年以降で初めて前年を下回る見込み。デジタイムズ・リサーチは「比較対象となる13年の数値が買い換え需要を背景に高かったことや、ソニーがPC事業から撤退したことが要因」と説明している。
15年は、米アップルの「iMac(アイマック)」の出荷増などを背景に、AIO全体の出荷量は小幅で上向くとみる。EMSのAIO出荷量で上位5社を占める台湾企業は、緯創が5.7%、和碩が3.1%、仁宝が20%それぞれ増え、広達が1.0%、英業達が9.0%それぞれ減る見通しだ。
台北と高雄の空港に無料インターネット電話端末設置
台湾でインターネット電話のスカイプを運営する連科通訊はこのたび、台北松山空港と高雄国際空港に端末を設置し、台湾に到着した海外からの旅行者らが無料で使用できるサービスを開始した。
国内外の携帯電話や固定電話と無料通話が可能で、同様のサービスでは世界初の試みだという。高雄空港の関係者は、家族や出迎えの相手などとの連絡が便利になると期待を寄せている。
連科側は空港のサービス向上とイメージアップにつなげたい考え。同サービスは松山空港で来年4月30日まで、高雄空港で同5月31日まで提供される。
2014年に台湾で最も稼いだ歌手はジェイ・チョウ 総収入約24億円
2014年の台湾歌手の収入ランキングが発表され、6億4800万台湾元(約24億3500万円)を稼いだジェイ・チョウ(周杰倫)が3年ぶりにトップに輝いたことが明らかになった。13日付の蘋果日報が伝えている。
2位はジョリン・ツァイ(蔡依林)で、6億1998万元(約23億3000万円)。2012、2013年と2年連続でジェイを抑えていたが、今年は僅差で敗れた。
日本でもアルバムを発売するなどしたショウ・ルオ(羅志祥)は昨年の1位から順位を落とし3位になったが、金額は前回の6億1100万元(約22億9000万円)とほぼ変わらず、6億1068万元(約23億円)だった。
4位には結婚でも注目を集めたワン・リーホン(王力宏)がランクインし、4億6000万元(約17億3000万円)の収入となっている。
ジャム・シャオ(蕭敬騰)は27歳の若さながら4億4145万元(約16億5000万円)を稼ぎ出し、5位に食い込んだ。
収入の内訳を見ると、上位3名は広告収入がそれぞれ3億6000万元(約13億5000万円)、4億3190万元(約16億2000万元)、4億5018万元(約16億9000万元)と、稼ぎの半分以上を占めていた。
桃園県、今月25日に行政院直轄市に昇格
台湾北部の桃園県が今月25日、行政院直轄市に昇格し、先ごろの統一地方選で当選した、最大野党・民進党の鄭文燦氏が初代市長に就任する。桃園県民政局によると、直轄市となって以降も当分住所表記のプレートは変更せず、市民の国民身分証並びに戸籍名簿も依然として有効で特に取り替える必要はない。また、現在の行政区分である郷、鎮、市はいずれも「区」となり、その下にある村は「里」に改められる。
住所表記のプレートは、郷、鎮、市の字の上に、民政局が製作して配布するシールから「区」と書かれた部分をはがし、プレートの上に貼ることで対処する。各地の戸籍事務所も25日以降1ヶ月間、シールが貼られているかどうかを確認して回ることにしている。
外交部「台日関係は今後も発展が望める」衆院選の自公勝利受け
自民党と公明党の連立与党が、14日に投開票が行われた衆院選で3分の2を上回る議席を獲得したことを受けて、外交部の高安報道官は15日、台日双方の関係はこれまでの良好な関係を土台として、今後も発展が望めると述べた。
また、ともにアジア太平洋の国家である中華民国と日本は、自由、民主、法治などの価値観を共有する特別なパートナーだとした上で、経済、貿易、文化、観光など各方面での交流もそれぞれ密接で、両国の国民感情も良好だと語った。
高氏はさらに、経済連携協定(EPA)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの経済貿易分野での提携が継続して進められると期待感を示した。
Skypeの無料国際電話サービス、台北松山・高雄国際空港で
網路家庭国際資訊(PChomeオンライン)傘下でインターネット電話サービス「Skype」を手掛ける連科通訊(PChome&Skype)が、台北松山国際空港と高雄国際空港で旅行者向けに無料国際電話サービスを始めた。両空港の国際線到着ロビーに専用コーナーを設け、Skypeの国際電話を無制限・無料で使えるスマートフォンを設置。世界300以上の国や地域にかけられる。
サービスの提供期間は、各空港との契約により台北松山空港が来年4月30日まで、高雄国際空港が来年5月31日までとなっているが、利用状況や反応によっては延長も検討するとしている。
茨城・神栖の台湾女性殺害事件中国大陸出身の犯人を台北で逮捕
茨城県神栖市の住宅で今月5日、この家に住む台湾女性が死亡しているのが見つかった事件で、台湾の警察は、この女性の殺害に関与した中国大陸出身の女を14日に逮捕したと明らかにした。事件をめぐっては、9日にも大陸籍の男が日本で逮捕されている。
調べによると、逮捕された女は5日に日本を出国し台湾へ入った後、8日に台湾在住の女性の息子に電話で「女性が交通事故で死亡した」とうそをつき、15万台湾元(約56万円)の医療費を振り込むよう要求したという。
女は14日午後に台北松山空港から中国大陸へ逃走を図ろうとしたが、日本側から連絡を受けていた台湾の警察に取り押さえられた。
逮捕された女は、中国大陸籍の男と共謀し女性の身動きを取れなくした上で殴打した後、女性の口座から25万円を引き出したことなどを認めているという。女は送検され、捜査が続けられている。
台湾の人がクリスマスに欲しいものは? 「旅行」と「キス」が上位に
台湾楽天市場はこのほど、クリスマスに欲しいものに関するランキングを発表し、「旅行」と答えた人が58%に上り1位に、2位は39%の回答を得た「キス」であったと分かった。同社では、台湾の人々が精神面の満足を重視している実態が明らかになったとしている。台湾の複数メディアが伝えている。
1位が旅行になったことについて楽天は、台湾では一人あたりの平均年間労働時間が世界で三番目に長い2144時間に上っている点に触れ、ストレスの多い環境がその原因なのではと分析している。
3位と4位にはそれぞれ「グルメ」(32%)とスマートフォンなどの「スマートデバイス」(多機能情報端末)(28%)が入った。
また、現金などの金銭をもらいたいという人は26%に達し、同時に調査を実施した欧米、アジアの7カ国の平均の15%を上回った。同社が2日に発表した調査でも、プレゼントの平均予算は2451元台湾元(約9300円)である一方、もらいたいものの希望金額は4231元(約1万6000円)となり、台湾の人々の堅実な一面も見える結果が出ている。
台北市、自転車の安全運転認定始める
自転車の安全な運転の認定が台北で始まった。台北市交通局はこのほど、同市教育局と協力、台北市の各行政区から中学校一校を選び、自転車サークルを組織することにした。これは欧州で自転車の学習が学校内に導入されていることを参考にしたもので、8月にまず中心的な人員の訓練を終え、9月からこれらの人員が各学校でサークルを立ち上げた。
来年7月までの今年の学年度では、合計374人がサークルに参加して関連の法律やマナーを学んでいる。訓練の内容は、自転車関連の法規、安全、メンテナンス、実地訓練などで、学科と技術がそれぞれ10時間の合計20時間。認証試験では筆記試験と路上試験があり、路上試験ではバランスの制御、障害物の回避、狭い道でのバランスなど7つの課題が設けられる。交通局では、台湾には自転車の免許制度は無いが、今回の試みを通じて基準となる作業規範と合格認定制度を築きたいとしている。先ごろ、学生20人が路上試験に参加、合格証書を受け取ったとのこと。
今冬初の低温注意報、16-18日は10度以下も
中央気象局は15日午後、今年の冬初めての低温注意報を発令した。16日から18日にかけて、台南以北、及び北東部の宜蘭県の海沿いなど、そして離島の金門、馬祖では気温が10度以下に下がる恐れがあるということ。
中央気象局では農作物、魚の養殖、山の傾斜地での畑では寒害対策を取るよう呼びかけ、湯沸かし器は十分に換気をしながら使用することで一酸化炭素中毒を防ぐよう注意を促した。
「香港新世代」が突き付けた、中共一党支配を異常と見る視点
香港デモの拠点は完全に撤去された。香港人の大多数は中華民族で、中共による強権的統治を嫌い大陸から亡命した者が多い。その洗礼を受けていない若者の目には、中共の一党支配は異常に映る。「香港新世代」の新しい視点だ。香港デモは「同じ中華民族が、もし共産主義の洗礼を受けてない状況に置かれたなら、何を選び、何を求めるのか」を示した好例だと位置づけることができる。
◆「香港新世代」の息吹――「価値観」における世代間ギャップ
香港の総人口700万人強のうち93.6%が中華民族(中国系華人)で、そのほとんどは中国大陸の広東省から来ている。第二次世界大戦が終結し、1946年から大陸で国共内戦(国民党と共産党の内戦)が再燃すると、少なからぬ中国人が戦火を逃れてイギリス領だった香港に逃れた。
1949年に現在の中国、中華人民共和国(新中国)が誕生すると、中国共産党による統治を嫌った中国人がやはり香港に逃れているが、最も分厚い層を構成しているのは、新中国誕生後、毛沢東の独裁の下で「反革命分子」狩りが始まって以来の亡命者たちだ。
1950年に朝鮮戦争が起きると、敗北した国民党の残党が大陸内でうごめき始めたため、毛沢東は1951年から「三反(さんはん)(反汚職、反浪費、反官僚主義)運動」を、52年からは「五反(ごはん)(反賄賂、反脱税、反国家財産横領、反手抜き・原料詐称、反国家経済情報窃盗)運動」を開始して、数百万人を逮捕投獄した。
実際は「反革命分子」に脅威を与えるための運動だったと言っていい。
1956年になると、毛沢東は人民に「言いたいことは何でも正直に言っていい。党を批判しても構わない」という趣旨の運動を展開しておきながら、翌年、毛沢東を批判した者をすべて労働改造所(反革命的思想を持った者を投獄し学習させる収容所)に送り込んだ。釈放されたのは改革開放が始まってからである。
こういった毛沢東思想の洗礼を受けた者たちの一部は、欧米だけでなく香港や台湾に逃亡した。
香港にいるこの年代の人々は、中国共産党による一党支配の怖さを経験しながら、一方では改革開放(78年)以降、「金儲けをしてもいい」というトウ小平の号令によって、突然「銭に向かって進み始めた中国大陸人民」と、心理的にあまり変わらないところがある。
すなわち、「中国共産党の一党支配体制」の洗礼を受け、「許されなかった金儲け」を経験している分だけ、「金儲け」に邁進する。
特に中国大陸は「経済」により香港市民を大陸に食い込ませる戦略により香港市民を取り込んだため、中高年層は、民主を求めてはいるものの、中国大陸なしには経済的に生きていけない状況になっている。
ところが香港の中国返還後に物心ついた若者たちは「一党支配」という世界を知らない。
筆者は、この群像を「香港新世代」と呼ぶことにしたい。
香港新世代は「一国二制度」の下で、今のところ香港では制限を受けていないインターネットなどの世界により、「普遍的価値観」を身につけている。
この普遍的価値観こそは、中国中央が最も忌み嫌う価値観で、これは三権分立や普通選挙の概念を生む。そのため中国では「社会主義的核心的価値観」を必死になって植え付けている。
もしトップダウンの思想教育がない状態で、「中華民族」を「人類の思考空間」に放ったとしたら、おそらく香港デモの中核となった「香港新世代」が持つ価値観こそが、中華民族の価値観となるだろう。
これは「中国」という国家の枠組みで考えると、歴史上初めて出現した現象かもしれない。
香港新世代は、中華民族でありながら、そして自分を中華民族と認めながら、「香港人」として西側自由諸国の普遍的価値観に基づいて、「他者」として中国中央を見ている。
その新世代の目には、中国共産党による一党支配は、到底受け容れられるものではないだろう。
これは中国以外の外国で生まれ育った中華民族に共通した感覚であるかもしれないが、香港新世代の場合は「中国」という国家の枠組み内での、ひと塊としての群像である。
香港が中国に返還された1997年に、仮に0歳~5歳だったとして、2014年、新世代の年齢は17歳~22歳。
まさに今般の雨傘デモに参加した年齢層だ。
この世代の価値観と、中共の圧政から逃れてきた中高年層との間には、埋めることのできない断絶がある。
オキュパイ・セントラルという手法による失敗以外に、実はこの「断絶」こそが、今後を含めて抗議運動の趨勢を決めるものであり、また、史上初めての発信となるであろう。
それは台湾の若者による「ひまわり革命」とも共通の要素を持っており、この価値観とパワーを、世界がどうのように受け止めていくかが、東アジアの方向性を決めていくと言っても過言ではない。
◆香港基本法における制約の壁を破れるのか?
しかし問題は、香港政府には中国中央と取り交わした「香港特別行政区基本法」(略称:基本法)があるということだ。
この基本法が制約するものは、大きく分けると二つある。
一つ目は、「一国二制度は2047年を期限として一国一制度に移り、香港は完全に、100%中国大陸化するということ」で、二つ目は、「基本法の解釈権と改正権は全人代(全国人民代表大会)常務委員会にある」と、基本法に明記してあることだ。
1984年、英中両国は共同声明を発布し、90年に基本法を承認し合っている。英国も、英国植民地としての香港政府も、「この条件で香港を中国に返還します」と誓ったのである。
だから、基本法と中国返還を「是」としない香港人は、海外に亡命してしまった。
全人代常務委員会は今、基本法に基づいて、基本法を「中国に都合の良い方向で」解釈し、中国大陸における選挙と同じ方式(候補者を中国共産党礼賛者に絞るという方式)の「民主選挙」を実施させようとしている。全人代はこれを2017年から実施させるべく解釈権と改正権を行使しているが、仮に2017年から実施しなかったとしても、2047年には「必ず」100%、中国大陸方式に切り替わる。
そのことを基本法は約束している。
戦争や革命でもない限り、あるいは中国共産党の一党支配が崩壊しない限り、1997年から50年間だけ「一国二制度」を保つのみ、という条件は変わらない。ただ単に、2047年に突然一夜にして「一国二制度」から「一国一制度」に全てを変えるのか、それとも2047年までに全人代常務委員会の解釈権と改正権に基づいて漸近的に徐々に「一国二制度」から「一国一制度」への橋渡しをしていくかの違いがあるだけなのである。
たしかに香港新世代は2010年に中国中央が2015年から香港においても実行させようとした愛国主義教育の抗議デモには成功した。2015年からの実行を延期させることに成功している。
しかし民主主義国家で遂行している普通選挙を行わず、「候補者に制限を加えた上で、一人一票の選挙を行う」というのが、中国大陸で実行されている「民主選挙」で、この方法により中国共産党は、大陸における一党支配体制を今日まで維持してきた。この中国式の「民主選挙」方式は一党支配維持のための最も根本的な手段である。
実は全人代常務委員会は2007年に「2017年から香港の行政長官選挙を一人一票の民主選挙にする」と宣言している。しかしこの「民主選挙」とは「中国式の民主選挙」のことを指し、まさか「候補者に制限を加える」とは、新世代は考えていなかっただろう。
だからこそ「騙された」という思いが強く、なおさら強く抵抗している。
しかし中国中央がこの「中国式民主選挙」を覆すことは絶対にない。
となると、「真に民主的な普通選挙を要求する」としてデモを展開してきた新世代たちは、「基本法を撤廃せよ」と言っているのに等しいことになる。
香港特別行政区にとっては憲法のような基本法を、中国中央が撤廃させるはずがない。
それでもなお発信する新世代の価値観。
勝利のない闘いのようでありながら、もしかしたら新しいパワーを、世界に広げていく可能性を秘めているかもしれない。
香港新世代の政治意識の高さは、時代がもたらした新しい現象だ。
異質な体制が迫っているが故に、彼らは命を賭けて民主的投票行動を手にしたいと渇望しているのではないだろうか。
翻(ひるがえ)って、日本は体制も事情も全く異なるが、それにしても今般の52%という、戦後最低の投票率は注目すべきだろう。
その原因として、自ら勝ち取った民主主義ではなく「アメリカから与えられた民主主義」にすぎないからとか、政治に希望を抱いていないからとか、日常を「平和だ」と感じていて政党選択の必然性を感じていないからなど、理由はいろいろあるだろう。そのような中、とりわけ今般の低投票率は、選択すべき二大政党としての野党が育っていないことに最大の原因があるように思われる。選挙する側もされる側も、日本には香港新世代が望んでやまない普通の民主選挙があることを噛みしめ、その権利を最大限に発揮できるようになることが強く望まれる。
馬英九総統また「馬脚」・・・会談申し込んだ民進党・蔡党首が「オープンでない会談は無意味」と<ひじ鉄>
台湾の馬英九総統が民進党の蔡英文主席(党首)に会談を申し込んでいた件について、蔡主席は14日に、拒否する意向を確定した。蔡主席は「会議は主要な政党や市民グループが共同で行うべき」、「2人だけで会談しても、今の段階で特に意味はない」などと説明した。馬総統については、政策決定の不透明性も批判の理由になっていたが、最大野党の党首との「密室会談」を申し込んだことで、あらためて“馬脚”をあらわすことになった。
馬英九事務室の馬〓国報道官によると、馬英九総統は蔡英文主席に対して意見交換のための会談を申し込んでいた。しかし、蔡主席が「無意味」との考えを表明したので、「蔡主席の意思を尊重し、今後は馬英九総統から会談を申し込むことはしない」ことに決めた。(〓は王へんに「韋」)
蔡主席は同件について、「会議は主要な政党や市民グループが共同で行うべきだ。全市民が参加する会議と位置づけられるからだ」、「2人だけで会談しても、今の段階で特に意味はない」と説明。
さらに、11月29日実施の統一地方選挙後の民意の変化として「台湾について、新たな考え方をするようになった。人々は台湾の重要な政策決定について参画したい、せねばならないと考えている。台湾が直面する多くの重要な問題については、多くの人が話し合いのテーブルについて考え方の距離を縮め、共通認識を凝縮せねばならない」とする考えを示した。
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◆解説◆
馬英九総統は大陸側とのサービス貿易協定を強引に発効させようとして、3月から4月にかけて反対する学生らが立法院(国会)議会場を占拠する事態を招いた。
台湾では従来、「中華人民共和国は国家として認めない。したがって、大陸側との協定は外国と結ぶ条約ではない」という“政治上の建て前”が優先され、大陸との協定に国会の批准は必要でなく、「国会が明確な反対意思を示さねば、行政が実施できる」ことになっていた。
馬英九政権は、大陸側との経済交流を大きく推進させるサービス貿易協定の発効を急いでいた。反対や疑問の声が大きな同協定について、国民党議員側が国会で「審議終了」を宣言したことが、学生らによる議場占拠を招いた。
馬英九政権についてはそれまでにも、「国民の意見を問う」としながら、約束を反故した「前歴」があった。台湾で4番目となる龍門原発(核四)の建設問題で、2013年3月には「8月を目途に住民投票を行う」と表明したが、現在に至っても住民投票は実行されていない。
さらに、国民党議員で立法院長(国会議長)である王金平氏が民進党など野党に配慮した議会運営を続けたために同院長と対立。馬総統は2013年9月に王院長の国民党籍を剥奪したが、裁判所は王院長の身分保全の仮処分の申請を認めた。
学生らが立法院を占拠した際、馬総統に解決に向けた具体的動きはあまり見られなかった。王院長が独断で、学生側に対し「大陸側との協定については、立法院などが監視できる法令を作る。それまではサービス貿易問題の審議は行わない」と約束したため、学生らは王院長の約束を「信じる」として退去を決めた。
現在も、大陸側との協定について立法院の監視を必要とする法令は成立しておらず、大陸側とのサービス貿易協定も審議が進められていない。
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台湾では1990年に民主化が実現したが、制度上の不備がまだかなり存在するとの指摘がある。90年代に民主化を推進した李登輝元総統も、自らの大きな業績である当時の民主化を「第1次民主改革」と表現し、「第1次民主改革はすでに限界に達した。台湾にとって第2次民主改革が、喫緊の課題」、「(第2次民主改革で)中央に集中しすぎている権力を民衆に返還せねばならない。政策が本当の意味で民衆の願いにより決定されるようにせねばならない」などと主張している。
政権担当者、しかも支持率が低迷しつづけている指導者としては、現行の民主制度には不備があるとの指摘する声が存在するだけに、「多くの人が民主的と納得するやり方」を心掛ける必要があるが、馬総統のこれまでのやり方を見る限り、強引さや、「密室における談合」風な政策決定が目立つ。
蔡英文主席は馬英九総統の「体質的問題」を感じ取り、2者による会談を拒絶したと考えられる。
台湾では総統に強い権限を持たせている。就任できるのは2期目までだ。そのため、2期目の選挙に臨まねばならぬ1期目は民意の動向には比較的敏感だが、「次の総統選の出馬はない」と決まった2期目には、民意を気にせず自らが望む政策を実行したくなる「誘惑」にかられやすいという。
2期目に入ってからの馬英九総統の言動は、まさに「そうだった」と評することができる。蒋介石政権が色濃く持っていた「言葉の上では自由主義を強調。実際には典型的な強権政治」という体質への“復古”すら感じさせる政治手法だった。民主主義が持つ非効率性をある程度は覚悟しつつ、国民の大部分に為政への「納得」を実現せねばならない民主主義の“宿命”に逆行する「反動」とも言える政権運営だった。
だからこそ、支持率が10%にも満たないとのアンケート結果が連続した低支持率の政権にならざるをえなかったとも言える。馬英九総統は、民進党の蔡主席に改めて「密室会談」を申し出て、“ひじ鉄”を食らわされたことで、あらためて政治についての発想で「馬脚」を出したと言える。
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民進党の蔡英文主席は1956年生まれ。台湾大学を卒業後、アメリカのコーネル大学ロースクールで法学修士、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士を取得した。2000年に政界入り。
08年には民進党初の女性党首(主席)になったが、10年の新北市市長選、さらに12年総統選に敗れて辞任した。14年には党内の対立を解決するとの観点から、再び党首に推され就任した。
台湾では2016年に総統選が実施される。蔡英文主席はこれまで「選挙に弱い」との見方もあり、民進党が「蔡英文体制」で総統選に臨むことを疑問視する声もあった。しかし、11月29日の選挙で「大勝」したことで、蔡英文主席が改めて総統選に出馬する可能性が高まったとの見方が強まりつつある。当選すれば、台湾初の女性総統ということになる。