大阪で故宮の特別展開催へ 日台の「汝窯青磁」が一堂に会す
大阪市立東洋陶磁美術館で2017年前半に行われる日台交流展の開催に向けて、国立故宮博物院(台北市)で29日、汝窯(じょよう)青磁水仙盆など5点を同院が貸し出すための調印式が行われた。
故宮博物院は今年末に初の分院である「南院」(嘉義県)のオープンに合わせて東洋陶磁美術館所蔵の高麗青磁や伊万里焼など計336点を公開する予定で、交流展はその返礼として開催される。
展示作品は6点のみだが、清朝(1644~1912)末期以降、各地に散逸した汝窯青磁水仙盆が初めて揃うことになり、主催者側はこの得難いチャンスを逃さないでほしいと語っている。
汝窯で焼かれた青磁は「青磁の最高峰」として知られ、世界でも70点ほどしか残っていない。故宮博物院では21点を収蔵しており、数などの面で世界一を誇る。また、現存する汝窯青磁水仙盆もわずか5点で、東洋陶磁美術館に収蔵されている1点を除き、いずれも故宮にある。
今年の台湾企業の年末ボーナス、平均は1.34カ月分=求職サイト調査
求職サイト、1111人力銀行が30日発表した調査結果で、今年は86.5%の企業が年末ボーナスを支給し、平均は1.34カ月分になることが分かった。
17.4%の企業が、今年のボーナス総支給額は昨年を上回ると回答しており、同サイトの広報担当者は、世界的な景気回復と台湾の観光成長により、多くの産業で業績が向上したことが、支給状況に反映されたとみている。
調査は昨年12月15日から今月16日まで、同サイトの企業会員を対象とした電話聞き取りによって行われた。有効回答数は540件だった。
台湾では通常、年末ボーナスは春節前に支給される。
竹中平蔵氏、所得や労働力人口問題での日台協力の可能性について言及
慶応大教授の竹中平蔵氏は30日、台北市内で行われたアジアの経済発展を話し合う「天下経済フォーラム」に出席し、日台間の経済協力関係はすでに密接になっており、将来的には所得の停滞や生産年齢人口減少の問題が両者が力を合わせる新たな契機になると述べた。
竹中氏は、アジアの中産階級人口が現在の約1億人から2020年には18億人に増加する可能性に言及した上で、中所得国が先進国入りするには多くの分野での革新が必要だと指摘した。
また、人口に関して、台湾の出生率は1.1で、日本経済研究センター(JCER)のデータで、10年後に台湾の生産年齢人口は子供と高齢者を合計した数を下回ると予想されていることを挙げ、日台間には共通課題もあり、互いに学び合っていくべきだと話した。
日本統治時代建設の水道施設跡でサクラが見頃迎える
日本統治時代の1908(明治41)年に水道施設として建てられ、現在は市民の憩いの場となっている自来水園区(台北市中正区)でカワヅザクラとヤエザクラが見頃を迎えている。
園区では近年に植えられた53本のカワヅザクラと38本のヤエザクラが開花の時期に入っており、同園を運営する台北自来水事業処は31日から来月15日までが最も花見に適しているとして、市民に観賞を呼びかけている。
桃色の花を咲かせるカワヅザクラの花びらは一般的な桜よりも大きく、台北市内ではあまり見られないこともあって、同園で最も人気の高い品種だという。
また、園区内には31本のソメイヨシノも植えられており、2月末に満開になる予定。
台湾の原爆被害者死去 98歳、過去に日本政府と和解
第二次世界大戦中に滞在していた長崎で原子爆弾の被害を受けた嘉義市の医師、王文其さんが27日、敗血症のため死去した。98歳だった。
王さんは1945年8月9日、爆心地から約700メートル離れた実習先の病院で被爆。当時重症を負ったものの、放射能の後遺症はなく、嘉義に戻った後は診療所を開設し暮らしていた。子供も7人もうけており、戦争の恐ろしさを常に伝えていたという。
王さんは2011年、日本政府を相手取った集団訴訟を起こし、翌年3月に和解が成立。受け取った約150万円を地元の社会的弱者支援団体に全額寄付していた。
息子の王柏東さんは、長崎の原爆や、1947年に発生した「二・二八事件」に巻き込まれながらも難を逃れた父親も、病魔には勝てなかったと話した。
山口県美祢市、台湾・南投県との協力継続に期待 ランタンフェスタなどで
山口県美祢市の訪問団は30日、台湾中部・南投県の林明湊県長を表敬訪問し、双方の観光産業の発展やランタンフェスティバルなどについて意見交換を行った。
美祢市の村田弘司市長は、南投県の協力によって台湾のランタンを展示した、昨年9月の「美祢ランタンナイトフェスティバル」が好評だったとして、感謝を述べるとともに、引き続きの協力を求めた。また、今年のイベントに林県長を招待したいとしている。
一方、林県長は、台湾と日本の関係は深く、ローカル線の集集線など、日本統治時代に建設されたものも多いとした上で、山口県で運行されている観光用蒸気機関車の成功に倣い、集集線にも蒸気機関車を走らせたいと希望を語った。
美祢市は2011年11月に南投県と「友好交流の促進に関する確認書」を締結しており、各方面で交流を進めているほか、2012年には台北市に交流事務所を開設するなど台湾での観光誘致に力を入れている。
台湾・中国大陸ペアが準V/全豪テニス女子複
テニスの全豪オープン第12日は30日、オーストラリアのメルボルンで行われ、台湾のセン詠然(25)は中国大陸の鄭潔と組んだ女子ダブルス決勝で、米国とチェコの選手のペアに4-6、6-7で敗れ、念願の四大大会初優勝はならなかった。(セン=擔から手へんをとる)
センは、2007年の全豪オープン、全米オープン、2011年の全豪オープンでもダブルス決勝(2011年は混合ダブルス)に進んだが、いずれも準優勝に終わり、頂点に立つことはなかった。
試合後の記者会見で、センは悔しさのあまり声を詰まらせるも、「いい大会だった」「(最後まで)諦めなかった自分を誇りに思っている」などとコメントし、今後の健闘を誓った。
日本でも話題 台湾の女子高生制服イラスト集「制服至上」第2弾が発売
台湾のイラストレーターが手がけ、昨年7月には日本語版も出版された台湾の女子高生の制服を描いたイラスト集、「制服至上」。その続編となる「制服至上2」が28日、台湾で発売された。
作者はフランス・アングレーム国際漫画祭にも参加したことがある蚩尤(しゆう)さん。前作では台湾北部を扱っていたが、「制服至上2」では10万票を超える投票によって選ばれた台湾南部の高校55校の制服を描いている。
100枚近くのフルカラーイラストで構成された同書には、現在使われている制服に加えて、日本統治時代のセーラー服や弓道部のほか、儀仗隊やブラスバンド隊、台湾原住民(先住民)舞踊部などを再現した作品も収録されている。
表紙のイラストの背景は、「世界で最も美しい地下鉄駅」の1つにも選ばれたことがある高雄メトロ(MRT)の美麗島駅がモチーフ。「制服至上2」では、ほかにも日本時代に開業した南部初の百貨店「ハヤシ百貨店」や、金城武出演のCMで有名になった台東県池上郷の伯朗大道など、南部ならではの景色が登場する。
東野圭吾作品、台湾で圧倒的な人気=国立図書館貸出ランキング
国立台湾図書館(新北市)が30日に発表した2014年の貸出ランキングにおいて、日本の小説家・東野圭吾氏の作品が「フィクション」「貸出予約」の2つのカテゴリーでそれぞれ1位に輝いたことが分かった。台湾の複数メディアが報じている。
フィクション部門はランキング上位20作中7作が東野氏の作品で、1位となった「さまよう刃」のほか、「幻夜」「ゲームの名は誘拐」「悪意」「殺人の門」「流星の絆」「白夜行」がランクインした。
また、同ランキングは日本の作品が席巻しており、「魔術はささやく」(宮部みゆき)、「30点かあさん」(たかぎなおこ)、「本日も独りでできるもん」(森下えみこ)などもランク入りを果たしている。漫画部門では「深夜食堂」(安倍夜郎)が首位だった。
台湾図書館は台湾最大の公共図書館で昨年は約293万人が訪れており、貸出ランキングは市民の好みを反映したものとなっている。
日本統治時代に植えられたコーヒーの木生かし、地域おこしへ
台湾南部・屏東の台湾原住民(先住民)集落出身の女性が、日本統治時代に植えられたコーヒーの木を生かして地域振興につなげようと努力している。
女性は地域を統率する頭目の娘で、「公主」(お姫様)と呼ばれる存在。元は美容師の仕事をしていたが、12年前に故郷に戻った際にコーヒーの木を目にし、この産業で集落の生活環境を改善しようと思い立った。
コーヒーの道に入った女性はより香り豊かな豆を生産しようと、研究や実験を繰り返し、豆の特色を生かす処理法にたどり着いた。夫が女性の元を離れようとも、女性は地域を守ることが自分の使命だと集落に留まることを選んだ。
集落では現在、約30ヘクタールの広さでコーヒーが栽培されており、女性は「公主珈琲」というブランド名で市場開拓を進めている。
日本統治時代、日本人によって現地にアラビカ種のコーヒーの木が大量に植えられ、天皇に献上されるほど品質が高い豆が生産されていた。現在でも、当時植樹された樹齢100年以上の木が20本あまり残っており、住民に集落の宝として大切に保護されている。
馬・総統、志願兵制度推進の姿勢を強調
馬英九・総統(左)は30日、総統府で、国軍の上級幹部に階級を授与する式典を行った。
馬英九・総統が、国軍の志願兵制度を積極的に推し進めていく姿勢を強調した。馬英九・総統は30日、国軍の重要幹部の階級授与式を執り行った際、最重要課題の一つとして志願兵制度の推進を挙げ、国軍建設における歴史的な任務であり、内外への影響も大きいと述べ、志願兵募集をいっそう重視するよう求めた。
国軍では一昨年、退役間近の陸軍兵士が上官らによる不当な訓練で死亡する事件が起き、社会の大きな反発を呼んだ。馬・総統は、「このため志願兵の募集は難しいと考えていたが、政府が昨年から兵士の待遇改善や尊厳への重視、将来の選択肢の充実など対応措置を整えたことで、志願兵増加と退役者減少で予想以上の成果が出ている」と喜んだ。
馬・総統は、国軍幹部に対して、部隊内の理にかなった管理と兵士たちの生活環境改善を要求、また、専門的指導力で求心力を高めるよう希望した。馬・総統はその上で、「もう一度強調する。国軍兵士の人権は間違いなく守られなければならない。しかし、国軍の効率と紀律をその犠牲にしてもいけない。来年末には志願兵制度への完全な移行を完了させられると信じている」と述べた。
なお、国防部は30日、新旧の国防部長の引継ぎが行われました。厳明・部長が退任し、新たに高廣圻・部長が就任した。
台湾で国民党への好感度、中国共産党をやや上回る・・・世論調査、「最大の嫌われ者」は馬英九総統
台湾の世論調査会社「台湾指標民調(TISR)」がこのほど発表した政治家や政党についての評価や好感度の調査結果によると、与党である国民党に対する好感度指数は34.9ポイントで、中国共産党に対する30.8ポイントをやや上回った。最大野党の民進党への好感度指数は49.9ポイントだった。政治家個人については、、好感を示した人の割合が最も多かったのは陳菊高雄市長(72.5%)で、最も低かったのは馬英九総統(好感=28.8%)だった。
調査の対象期間は「1月後半」。好感度指数は、ある対象に対して「大いに好感を持つ」と答えた人の割合をA%、「大いに好感を持つ」をB%、「やや好感を持つ」をa%、「やや好感を持つ」をb%として、「50+0.5×(A-B)+0.25×(a-b)」の数式で算出した。好感を持つ、それも「大いに好感を持つ」人が多いほど、数値は50よりも大きくなる。反感を持つ人、とりわけ強く反感を持つ人が多いほど、数値は50を下回っていく。
国民党に対する好感度指数は34.9ポイントで、中国共産党に対する30.8ポイントをやや上回った。最大野党で14年11月の統一地方選挙に大勝した民進党への好感度指数は49.9ポイントだった。
なお、民進党の支持率も、基準である50ポイントに届かなかったことも、注目に値する。この調査結果によれば「台湾人の民進党を見る目は意外に冷静」だ。14年11月の統一地方選挙での大勝の理由は「馬英九政権が失策を重ねた」という“敵失による高得点”によるとの判断も成り立つ。
台湾では2016年に総統選挙が実施される。現在のところ、民進党が有利との見方が強いが、実際には予断を許さない状態と考えてよい。
政治家個人に対しする好感/反感で、好感を示した人の割合が最も多かったのは陳菊高雄市長(好感=72.5%、反感=13.4%)だった。好感度が最も低かったのは馬英九総統で、好感=28.8%、反感=65.9%」だった。国民党では、王金平立法院長(国会議長)が「好感=63.6%、反感=20.2%」で、好感度が最も高かった。王立法院長は馬英九総統と同じ国民党所属だが、馬総統と厳しく対立している。2014年に発生した学生による議会占拠の際にも、独断で学生側に「改善策」を約束したことが、問題解決のきっかけとなった。
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◆解説◆
台湾では中国共産党に対する不信感や警戒感が根強い。民主的に政権担当者を選ぶようになった台湾が大陸との関係で「現状維持」を続けていることが、その第一の証拠と言える。共産党側の主張を受け入れて「統一」すれば、「万一の戦争」という破滅的な事態は避けることができるかもしれないが、「その後、何をされるか分かったものではない」という“恐怖感”がぬぐえない。
「台湾と中国は別の国」と考える人が多いにも関わらず、「即刻の独立宣言」が世論の主流にならないのは「そんなことをしたら、中国共産党が何をするか、分かったものではない」と思えるからだ。結局は、実質的には中国の統治とは無関係な“独立的存在”でありながら、形式的には「中国からの独立」を宣言することはしない、あいまいな状態である現状を維持していくというのが、現時点における“民意の選択”だ。
台湾の多くの人にとって、複雑な気持ちをぬぐうことのできない“海の向こうの政党”である共産党への好感度と、選挙により与党となった国民党への好感度がそれほど変わらないという、異常な結果となった。