日本のサービスに否定的だった中国人、訪日して考えが一変
中国のインターネット上にこのほど、日本を観光に訪れた中国人がつづった文章が掲載された。
日本に行く前、私は同僚や友人が日本人のサービスを褒め称えるのを何度も聞いていた。私は、「ただペコペコして、ニコニコしているだけでしょ?何がすごいのよ」と納得がいかなかった。しかし、実際に体験してみると、日本のサービスは私の予想をはるかに超えていた。時におおげさじゃないかと感じることもあったが、それは確かに人を気持ちよくさせる。
全日空の飛行機に乗ったそのときから、私たちは“ペコペコ”を体感した。その上、ひざまずくことも。私の横に座っていた客が欲しがった飲み物が無くなってしまった。すると、キャビンアテンダント(CA)は地面にひざまずいて(かがんで)、長いこと何かを説明していた。聞き取れはしなかったが、謝罪し許しを求めていることは容易にわかった。笑顔も“秘技”である。
日本人の接客は、彼らの細やかさをよく表している。そして、そうした客を思うサービスは、時に予想を上回る喜びと驚きをもたらす。レストランで畳の席を利用したとき、私たちが入口で脱ぎ散らかした靴が、店を出るときにはきちんとこちら向きにそろえられていたということは、一度や二度ではない。
有馬温泉のホテルのロビーではこんなことがあった。一組の老夫婦がソファに腰かけ、窓の外の景色を楽しんでいると、窓から差し込む日差しが強いことに気付いた従業員が、景色が隠れない程度に少しだけブラインドを下げた。庭に出ると、カメラの三脚が置いてあった。誰かが忘れていったものかと思ったが、実際はホテルが記念撮影をする客に使ってもらうために設置したものだ。思いつくことはすべて形にしている。本当に行き届いたサービスだ。
ほかにも、日本での買い物は店の大小にかかわらず、不快になることはない。たとえ水を1本買っただけでも店員は「ありがとうございました」と言い、道を尋ねれば手元の仕事を中断し、店の外まで出てきて説明してくれる。三越デパートでは、中国のように“親切すぎる(おせっかい)”ことはないものの、店を出るときは深々とお辞儀をする。何も買わなかったのが申し訳なくなるほどだ。
日本は競争のプレッシャーが大きいため、従業員に対する要求が厳しいのだと言う人がいる。しかし、私はそれは複数ある要因のうちの1つに過ぎないと思う。社会全体の発展レベル、国民の素養、歴史や文化などの伝統が、こうしたサービスの基礎となっているのだ。