中国から盗まれた疑いの「ミイラ入りの仏像」、オランダ人所有者は返還の意向示すも、身分非公開を希望
オランダメディアによると、中国福建省大田県陽春村から盗まれたものではないかとの疑いがある、オランダのドレンテ博物館に保管されているミイラ入りの仏像に関し、所有者が「中国からの盗品であることが証明された場合は仏像を返還しても良い」との意向を示している。中国新聞社が伝えた。
仏像の所有者はアムステルダムの建築家で、1996年に約1万8100ユーロ(約235万円)で購入した。かつて1000万ユーロ(約13億円)で譲ってほしいという希望者もいたが、売らなかったという。「この仏像が本当に福建省から盗まれたものであるならば、返還しても良い」と述べている。
さらに、「中国メディアはこの仏像が福建省で1995年の旧暦10月に盗まれたとしているが、私は95年にオランダでこの仏像を見た証拠を持っている。私自身は盗まれたものと同一の仏像であるとは確定できない」とし、「お金は私が払っても良いので、さらに詳しいDNA検査などを行い、真実を明らかにしてほしい」と述べた。
また、所有者は「私の身分は絶対に明かさないでほしい」と強調。その理由として、国際的な大論争になり、怒り狂った中国人が自宅にまで押しかけて来るような事態に発展してほしくないからと説明した。
仏像は昨年1月から8月までドレンテ博物館で展示された後、昨年10月から今年5月までの予定で、ハンガリーの自然史博物館で展示されていた。しかし、福建省から盗まれた「章公祖師像」ではないかとの疑いが発生したため、展示は3月20日に中止され、オランダに戻された。
展示が中止されたのは、中国から盗まれた仏像に似ていることを知った所有者が、仏像がハンガリーで差し押さえられるなどのトラブルに巻き込まれるのを避けるため、ドレンテ博物館を通じて展示中止を依頼したためだという。
一方、福建省大田県博物館の陳其忠(チェン・チージョン)館長は仏像が盗まれたとされる95年ごろの状況について、「当時は仏像に限らず、古民家の柱や軒が頻繁に盗まれており、文化財の盗掘から販売まで一貫して行う組織が生まれるなど、相当荒れていた」と語っている。