日本の製造業は本当に衰退しているのか? 「攻める方向が変わっただけ」
中国版ツイッター・微博(ウェイボー)で約6000人のフォロワーを持つ中国の経済学者クリストファー・ジン氏が3月29日、昨今衰えが指摘される日本の製造業がなおも高い競争力を持っていることを示すデータを紹介したところ、多くのユーザーが注目した。
ジン氏は「日本の製造業は没落したのか?」としたうえで、国連工業開発機関(UNIDO)が発表した世界135カ国・地域における製造業の競争力評価レポートで、日本が1位となったことを紹介した。このデータによると、ドイツが2位、米国が3位、韓国が4位、台湾が5位、そして中国が7位となっている。
このツイートに対して、微博ユーザーは「彼らは苦労を乗り越えてきたから」、「メイド・イン・ジャパンの品質には承服せざるを得ない」、「良く知られているブランドはみんな日本のもの。日本の技術がない場所はない。中国は代理製造しているだけ」、「日本の製造業が没落していると思っている人は本当はいないでしょ」、「成長速度が緩やかになっただけ。没落したとは言えない」、「サッカー場の広告や、試合後のインタビューの背景を見ると、日本のブランドがまだまだ多い」といったコメントが寄せられた。
一方、「日本の電子消費財ブランドの影響力は下がりつつある」と意見するユーザーもいたが、「攻める方向が変わっただけで、一部の分野では日本が絶対的なリードを持っている」、「ソニーは消費財ブランドとしてはアップルや小米に敗れ去ったが、サプライチェーン上流の高価値部品メーカーとしての地位は依然として揺るぎない」との反論が出ている。
また、中国について「7番目なら大したものだ」との感想が複数見られる一方、「中国はいまだに世界の工場から世界のオフィスへの転換が実現しないまま、コスト高によって世界の工場としての地位から転落しようとしている」、「本当の意味での知財権保護ができず、パクリの氾濫を認め続けるようであれば、『メイド・イン・チャイナ』は単なる夢物語で終わる!」という危機感を示すユーザーもいた。
「日本の製造業が衰退している」かどうかは、どの側面を見るかによって大きく評価が変化すると言えるだろう。中国のネットユーザーの多くは、消費者の目に留まりやすい部分の製品については、中国や韓国メーカーの台頭によって確かに日本製のシェアがピーク時より顕著に減少しているが、製品内の細かい部品など、消費者の目にはつかない部分では依然として日本製が優位を持っていると認識しているようだ。