【中国人ブログ】忘れられないあなたへ
著名なインターネットユーザーである作業本氏は、日本を訪れた際に心に残ったある日本人についてつづった「あなたを忘れるには、きっと長い時間が必要でしょう」と題する文章を中国版ツイッター・微博(ウェイボー)に投稿した。
日本から帰国してもうずいぶん経つ。3月のある日、私たちは東京の蔦屋書店の前で初めて会った。彼は私に1週間付き添ってくれた通訳だ。
レストランで席に腰をおろし、周囲を見回すと、彼は「たばこですか?」と聞いてきた。「どうしてわかったんですか?」と尋ねると、「ホテルの部屋は喫煙でしたので。ご案内します」との返事。喫煙所で近くにいた人に火を借りて、急いでたばこを吸った。レストランに戻ると、最初に座った少々狭い席から広めの席に変更されていた。
毎朝10時にホテルのホールに集合と決まっていた。あるとき、私が2分早く行くと、彼は廊下で私を待っていた。翌日、8分早く行ったが、彼はすでにそこで待っていた。その翌日は15分前に着いたが、彼はやはりそこにいた。彼はそのホテルに泊まっていないのにもかかわらずである。
どこへ行っても、彼が私の先に立ってドアを開けてくれた。あるとき、私が彼にドアを開けてあげたことがあったが、彼はとても申し訳なさそうに私に感謝した。まるで、彼が間違いを犯したかのように。たばこを吸うときは「自分で喫煙室を探せますから」と言う私に「私がいた方が早く見つけられますので」と言って付き添ってくれた。
京都で日本滞在最後の夜を過ごしたとき、食事が運ばれてくるのを待っている間、彼はふいにきれいに包まれた東京の地図を取り出して私にプレゼントすると言った。私は「もう帰国するのに地図をもらっても…」と思ったが、彼が言うには、地図には私がこの1週間に訪れたすべての場所にマークが付いているので、記念にしてほしいとのことだった。私は涙が出そうになった。
京都を離れる日の昼食後、彼は突然、私をある場所に連れていくと言い出した。「どこに行くのですか?」「あなたが東京で時間がなくて行けなかった文具店です。調べたら、本店が京都にあるみたいなので…」。その日の夜には、ある人と洋食屋で会うことになっていた。彼はその前にラーメンを食べに行こうと言った。私がなぜかと聞くと、彼は「洋食のときはいつも少ししか召し上がらないので、洋食があまりお好きではないのかと思いました。先にラーメンを食べておけば、お腹がすくこともないでしょう」と言った。
これらのことは、彼が本来まったくする必要のないことである。なぜなら、彼の仕事は通訳だけだからだ。私たちは最後に、洋食屋の店の前で別れた。私はそこでどんな会話をしたのか覚えていないが、最後に交わした握手は、親友と別れるときのように感じられた。日本で出会ったたくさんの人の中には、テレビでしか見たことのない人もいた。有名店で食事もしたし、権威のある場所にも行った。だが、私が書きたいと思うのは彼のことだけだ。
私は面と向かってお礼を言うことになれていない。ここに記したことは、おそらく彼が見ることはないだろうし、再会することもないだろうが、幸い書き残しておくことはできる。桜が咲く前に日本に別れを告げたが、今ごろはすでに色鮮やかに咲いていることだろう。あなたが変わらずに、楽しくまじめに人生を送ることを祈っています。そして私は、あなたのことをきっと長い間忘れられないでしょう。