フランス人が、自身のブログ「Cecile et Brice au Japon」で、和紙作りの見学に行ってきたことをつづった。
筆者は、日本人の友人に誘われて、初めて和紙作りの現場を見に行くことになり、とても嬉しかったという。天気もよく、ドライブがてら山の中へと進むと、犬が歓迎してくれたようだ。
大きな家に入ると、和紙職人が丸型の和紙を作っている最中だった。筆者は「サトウキビから作られており、その繊維が見えるようなつくり方をしているのが印象的だった。これをどう使うのかは疑問に思ったが、カレンダー用の数字を印刷するためのものだということが分かった」と語り、日本らしい和紙のものづくりに興味を持った様子だ。
それから、家の中を案内してもらったところ、そこには「紙を乾かすための部屋、紙を収納する部屋、紙を作るための部屋などがあった。中でも、家主みずからが作ったという、木でできた台所の美しさに驚いた」と述べ、初めて見る日本の和紙づくりの現場や、日本らしい住居の佇まいへの感動を見せた。
続いて筆者が話を聞いてみると、「サトウキビからだけでなく、いろいろな種類の植物から和紙を作っていることが分かった」とし、和紙づくりの奥深さへ驚きを見せた。また、「こうぞや麻からなるものもあり、家主の広大な庭にはそれらの樹々が植えられていた。和紙の中で筆者がいちばん惹かれたのは、ボルドー色に美しく染まった和紙だった」とも述べた。
今回の訪問では、「和紙職人が、ひとりで住まい、すべてを和紙のために捧げるかのような暮らしをしていることに心を打たれた」と筆者は語る。また「自然由来の素材以外は一切使用しない」というところにも職人のこだわりを感じたようだ。
日本独特の手づくり和紙は、フランスでは滅多に見ることができないアート作品のようなものだろう。光に透き通る紙を初めて目にするフランス人も多いだろう。また、昔は和紙を貼った障子が扉代わりになっていたという話など、石造りの家に住む国では信じられないことなのかもしれない。
そんな和紙が作られてゆく過程や、原料の由来となる樹木を知る機会は、筆者にとって日本の伝統文化を知るうえで貴重な経験になったに違いない。
われわれ日本人も滅多に触れることがない和紙づくりの現場。そこでは、日本の四季折々の暮らしと真摯に向き合ってこそ、和紙という伝統産物が育まれてゆく現実を垣間みることができるだろう。現代的なものだけではなく、こういった日本の美しい伝統文化を外国人に知ってもらうことは、日本人にとってもうれしいことである。