中国元国家副主席で曽慶紅氏の腹心が、汚職摘発を指揮する中央規律検査委員会により取り調べを受けていることがわかった。習近平政権は、敵対する江沢民派の右腕である曽氏への汚職取り締まり策「トラ狩り」の厳しい包囲網を敷いているようだ。
このたび取り調べ中と伝えられたのはチベット自治区人大常委会副主任の楽大克氏(55)。中央規律検査委員会は6月26日、公式サイトで楽氏を「厳重な規律・法律違反」の疑いで調査していると発表した。
海外の中国語ニュースサイト・博聞社によると、20年前に江西省国家安全庁の一般幹部だった楽氏を副庁長に大抜擢したのは、江西閥の長で同省出身の曽氏。
曽氏の腹心が相次ぎ失脚している。昨年には元江西省トップで全国人民政治協商会議の蘇栄副主席と、大手国有企業「華潤集団公司」の宋林董事長(次官級幹部)、今年1月には中国国家安全部の副部長・馬建氏への調査が公表された。
メディアなどからの逆風も強まっている。共産党機関紙「人民日報」や中央規律検査委員会は続けて、清時代に権力濫用し不正を犯した歴史人物・慶親王を批判する文章を掲載した。「(名前が一字同じの)曽慶紅氏のことを指している」と海外の中国語メディアは報じ、また曽氏一族の巨額汚職を相次ぎ伝えた。
江沢民派重鎮で「大トラ」と揶揄され、絶大な権力を誇った中国元最高指導部メンバー周永康には6月11日、無期懲役の判決が下っている。