来年1月からの本格運用スタートに向けて、10月から通知が始まる「マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度」。国民一人ひとりに番号が割り当てられ、様々な行政手続きをする際にこの番号が必要になってくる。
マイナンバー導入で、まず証券口座や銀行の投資信託口座、積立金・年金型保険、100万円以上の国内入金・海外送金などが紐付けられ、2018年からは銀行の預金口座も紐付けられる予定だ。これにより、政府は不透明なお金の流れを捕捉して、税金逃れを摘発しやすくなる。
そうしたなか、一部の資産家は少しでも税金を減らすべく、その対策に奔走しているという。実際のケースとして、銀行の預金口座が紐付けされる前に、手元に多額の現金を置いて文字通り「タンス預金」をしたり、現物資産の「金」購入を増やしたりする例も増えている。
また、国内から「海外の銀行口座」に資金を移す動きも加速している。それも国内口座から海外口座に送金するのではなく、スーツケースに現金を隠し持ったり、身に着けたりして自らの手で持参するケースが多いのだという。
さらに、「海外不動産」に手を伸ばす資産家も少なくなく、その手口も巧妙だ。金融事情に詳しいジャーナリストが語る。
「個人名義で購入すると名寄せされてしまうので、たとえば米国ではLLD(有限責任会社)という法人を何社も立ち上げて、それぞれの名義で保有することで捕捉されないようにするなど万全の態勢を敷いている資産家もいるようです」
ただし、国境を超えた税金逃れは各国の税務当局も監視の目を強めているため、今後そうした“税金逃れ”は世界的に難しくなる傾向にある。だからこそ「いまのうちに」と必死になっているのだろう。
※マネーポスト2015年秋号